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ロイヤルオペラハウスにHDカメラ設置

ソニーの最新型高精細ヴィデオカメラ5台と関連設備がロイヤルオペラハウスに設置されたそうです。これにより、今後はすべてのステージパフォーマンスを高精細品質で残せることになって、これは世界の劇場で初めてとのこと。

このためBBCは今後の放送用にこれを使わせてもらうという。従来のように機材を持ち込んで録画する必要がなくなったので、それで浮く費用を他の番組制作に使えるとのこと。ラジオも然り。そして今後はもっと多くのオペラやバレーをBBCで放送できるようになるだろうとうれしいコメントを出しています。これと直接関係ないことながら、5月と6月には昨年から今年にかけて上演されたリング4部作を再放送するという。ドミンゴが出たPROMSのコンサート形式のヴァルキューレも含まれるようです。

ROHは今後そのリソースを使った独自のCDやDVDを発売していくという。その方針と関連して、Royal Opera House Heritage Seriesというレーベルを立ち上げ、まず過去の遺産をリリースする方針を発表しました。最初のオペラCDはサザーランドが歌った「ランメルムーアのルチア」でセラフィンが指揮したものと、ク-ベリック指揮の「オテロ」だそうです。
CDに限らずDVDが各種出てくるのが待たれますね。
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by dognorah | 2006-03-31 07:14 | オペラ

来シーズンのロイヤルオペラ

来シーズンの演目や出演者の詳細が発表されましたが、メインステージの演目について感じたことをコメントしてみたいと思います。

Faust (Gounod) 再演
9月のオープニングを飾ります。指揮はMaurizio Benini。
マルガリーテはAngela GheorghiuとKatie van Kootenのダブルキャスト。KootenはYoung Artists Programmeを卒業して早速主役です。実力が認められてきたんですね。タイトルロールはPiotr Beczala。John Relyeaがメフィストフェーレ。

La Juive (Halevy) – Concert
9月です。
作品も作曲者も初めて聞く名前です。珍しくバービカンホールで演奏します。
Daniel Oren指揮。Dennis O’Neill他。

La Finta Giardiniera (Mozart) New production
9月、10月。
これも初めて聞く初期の作品。久々にGardinerが振るのが話題になりそう。

Lady Macbeth of Mtsensk (Shostakovich) 再演
9月、10月。Pappanoが振りTomlinsonが出演。

La Boheme (Puccini) 再演
10月、11月。ハンサムな指揮者Jordanが振る。
ロドルフォはAlvarezとLopardoのダブルキャスト。
ミミはKootenとHei-Kyun Hongのダブルキャスト。Kootenは二つ目の主役だからすごい。

The Queen of Spades (Tchaikovsky) 再演
11月、12月。Semyon Bychkovの指揮。
Vladimir Galouzine、Katarina Dalayman、Gerald Finleyなどが出演。

Carmen (Bizet) New production
12月、1月、2月。PappanoとPhilippe Auguinが分けて指揮。この演目は久しぶりの上演です。
カルメンはAnna Caterina AntonacciとMarina Domashenkoのダブルキャスト。
ドン・ジョゼはJonas KaufmannとMarco Bertiのダブルキャスト。カウフマンは久しぶりなので楽しみです。カルメンをやるAntonacciはまだ聴いたことがない人です。

La Fille du Regiment (Donizetti) New production
1月、2月。これも知らないオペラです。
Natalie DessayとJuan Diego Florezの共演が見もの。

Il Trovatore (Verdi) 再演
1月、2月。Nicola Luisottiが指揮。
マンリーコはAlvarezとZoran Todorovichのダブル。レオノーラは今期トスカを歌うCatherine Naglestad。

Madama Butterfly (Puccini) 再演
2月、3月。これもNicola Luisottiが指揮。
Liping ZhanとAndrew Richardsの共演。ZhanはDVDを持っていますが蝶々さんに適した姿格好ですね。

Orlando (Handel) 再演
2月、3月。これも初めて聞く名前です。指揮はMackerras。
カウンターテノールのBejun MehtaとソプラノRosemary Joshua。

The Tempest (Ades) 再演
3月。作曲者自身による指揮。Keenlyside、Bostridge、Spenceの共演が見ものか。

L’Heure Espanole (Ravel) / Gianni Schicchi (Puccini)
3月、4月。Pappano指揮。
ラヴェルのオペラは始めて聞く名前です。どっちもNew productionです。
Christine Rice + Bonaventura Battone (L’Heure Espanole)。
Bryn Terfel + Dina Kuznetsova (Gianni Schicchi)。
ターフェルは来期はこれだけですね。

Stiffelio (Verdi) 再演
4月、5月。Mark Elder指揮。
Jose Cura + Sondra Radvanovsky。やっぱりクーラでしょうね。

Pelleas et Melisande (Debussy) New production
5月。Simon Rattleが今年のザルツブルグ・イースター音楽祭で振るプロダクションをそのまま持ってきます。彼の指揮はガーディナーと同様久しぶりです。KeenlysideとFinleyがAngelica Kirchschlagerと共演。Kirchschlagerはバラの騎士のオクタヴィアン以来久しぶりです。

Fidelio (Beethoven) New production
5月、6月。Pappano指揮。レオノーレはKarita MattilaとYvonne Howardのダブル。フローレスタンはEndrik WottrichとSimon O’Neillのダブル。ロッコはHalfvarson。マッティラのDVDを持っていますが本当に男といわれても異論なし。

Don Giovanni (Mozart) 再演6月、7月。Ivor Volton指揮。
フィガロで好評を博したErwin Schrottがタイトルロール、レポレロにJonathan Lemalu、そしてDonna AnnaにNetrebkoが2度目のお勤めです。これは楽しみ。

Kata Kabanova (Janacek) 再演
6月、7月。
Mackerrasの指揮。Janice Watson、Felicity Palmer、Kurt Streit、Chris Merritt、Toby Spenceなどが出演。

Thais (Massenet) – Concert
6月。Andrew Davis指揮。
Renee FlemmingとThomas Hampson共演の豪華キャスト。

Tosca (Puccini) 再演
7月。Mikko Franck指揮。
今期に続いてこれもVioletta Urmana、Salvatore LicitraとMark Delavanという豪華版。

Rigoletto (Verdi) 再演
7月。Renato Palumbo指揮。
Alexandru Agacheのタイトルロール。彼は1994年にもこの役で出演したそうです。マントヴァ公爵はチビコロながら歌の上手いGiuseppe Gipali。ジルダはPatrizia Ciofi。

Cosi Fan Tutte (Mozart) 再演
7月。Colin Davisの指揮。
フィガロでロジーナを歌ったDorothea Roschmannなどが出演。

以上ですが、結構豪華な歌手が出るものの相変わらず偏っているという感じがします。指揮者についてもそうですね。
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by dognorah | 2006-03-31 01:46 | オペラ

能とオペラの融合(3月28日)

c0057725_24511.jpgN-Operaという能とオペラを融合させた舞台(マクベス)のロンドン初公演を見ました。日本人の演じる能と欧州人の独唱者、欧州人と日本人による合唱とアンサンブルが見事に調和してとてもすばらしいパフォーマンスでした。場所はRoyal College of Musicの中のBritten Theatreです。

作曲:浅井暁子
台本:Kazuko Matsuoka
演出:Kan Yuki
照明:Miwa Sakaguchi
衣装:Kana Hashizume

出演者
マクベス
 能:Ryoko Aoki
 テノール:Tyler Clarke
マクベス夫人
 能:Shintaro Ban
 ソプラノ:Kimberly Robinson
マクダフ
 能:Hiroko Akai
 バリトン:Håkan Ekenäs
バンクォー
 能:Maiko Aoyagi
 バス:Lukas Jakobczyk

合唱
Maho Ino (S)、Eva Karell (S)、Susanne Hawkins (A)、James Armitage (A)、Hiromitsu Maeda (T)、Ben Eastley (T)、Alan Tsang (B)

器楽
Makiko Nishio (Percussion I)、Nicholas Reed (Percussion II)、Eri Kaishima (Percussion III)、Andrew Aaron (Piano)

指揮:Sofi Jeannin

舞台は蝋で作った白い柱が7-8本立っている(Wax Art by Yoshiki Ban)以外は後ろの蝋柱数本をを隠す紗のカーテンが上下するのみの簡単なもの。

幕が上がると、マクベスは黒の羽毛で作ったと思われる衣装で座っている。能面は前においてあるがマクベス自身による謡が終わるまでは装着しない。マクベス夫人は同じデザインで赤色、バンクォーとマクダフは白い装束で、この3人は能面はつけない。髪の毛はすべてヴォリュームのあるものがデザインを違えて付けられている。

筋はシェイクスピアの原作にほぼ準拠しているが、歌詞による説明が主で能役者の舞台上の行動は単純化されている。歌詞はすべて日本語で、英語字幕が出る。
感心するのは歌手がほとんど非日本人なのに独唱者も合唱も結構日本語がよく理解できること。筋の進行に従って奏でられる音楽はよく出来ており、能役者の動きも美しく様式化されて、休憩なしの1時間半のパフォーマンスに集中できました。最後のマクベスとマクダフとの一騎打ちの動きもなかなかすばらしいものがあります。なお、マクベスの衣装には進行と共に白い羽がどんどん刺さっていき、最後に討ち取られたときには天井からどさっと大量の白羽が落ちてきます。黒いマクベスの勢力がマクダフの白に圧倒されていく様を表しているのでしょう。

ところでマクベスとマクベス夫人をやる人が男女入れ替わっていますが、ロンドン在住の能役者Aokiさんが主役をやるということでこうなったのでしょうか。

これは既に東京とニューヨークで上演されており、昨年夏にロンドンでお会いした作曲家の浅井暁子さんから、ロンドンでもやりたくて準備している、という話を伺っていましたが、多くのバリアを乗り越えてここまで持ってこられた皆さんの努力には敬意を捧げます。特に、ロンドン在住の非日本人歌手によるパフォーマンスにこだわっていらっしゃった浅井さんの希望がほとんどかなえられたものの、かなり困難なことであったこととお察しいたします。

思えば、昔東京で初めて能というものを鑑賞した時、西洋のオペラをとことん昇華させると能という様式に到達するのではなかろうか、と感じたことがあります。こうして目の当たりにこういうパフォーマンスを見ると、自分の直感は大きくは間違っていなかったのではないかと思います。

最後に、このBritten Theatre、初めて経験しましたがとても立派な劇場で、さすがにロンドンを代表する音楽大学だけのことはあるとひたすら感心しました。オーケストラピットも舞台も広く、客席もこじんまりながら馬蹄形の席配置でランプなどの装飾も凝っています。ストールから天井桟敷まである点も一流劇場並です。座席数約400。
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by dognorah | 2006-03-30 02:07 | オペラ

Josef AlbersとLászló Moholy-Nagy展

Josef Albers(1888-1976)とLászló Moholy-Nagy(1895-1946)はともにヴァイマールにあったバウハウス(Bauhaus)で1923年から5年間教えていたが、お互いに刺激もし合って似たような美術作品を作ることもあった。ナチスの台頭と共に二人は別々の経路でアメリカに亡命するが、新世界では二人は交わることなくそれぞれ独自の世界を構築して行き、ともに現代美術に多大の影響をもたらしたとされている。この展覧会はその二人のバウハウス時代からアメリカでの創作活動までを時代順に回顧するものである。

その時代のバウハウスといえば既にカンディンスキーが教官として指導しており、モンドリアンも別の形で抽象主義を唱えて雑誌を発刊していたこともあって、この二人からはかなり影響を受けたはずである。事実、当時使われた教科書にこの二人の作品を紹介した本などがありそれも今回展示されていた。

(1) ジョゼフ・アルバース
c0057725_7393778.jpg当初から光をどう捉えるか、どう作用させるかに関心があったようでいろいろの試みをしている。もちろん写真作品も多数残されている。バウハウス初期時代の作品で、ステンドグラスのように彩色ガラスを並べての裏側から光を当てるオブジェはなかなか魅力的な作品である。代表例として左にPark (1924)を示す。

この、ガラスを使うというアイデアは形を変えて維持され、例えば、下の写真に示すように、Upward (1926)とかAquarium (1934), Structural Constellation (1950)など技術手法はそれぞれ違うもののマテリアルとしてのガラスまたは透明性のあるプラスティックには一生執着し続けている。
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一方、絵画の方は展示されている主な作品はほとんどがアメリカに移ってからのものであるが、魅力的な抽象画をものにしている。例えば、Evening: An Improvisation (1935), Layered (1940)など。戦後は当初は長方形、次いで正方形の形と色の組み合わせに囚われ、Homage to the Squareという題名のシリーズを死ぬまで四半世紀にわたって描き続けた。例えばStudy for Nocturne (1950)など。後年になると色使いはかなり茫洋としたものが多い。正方形という単純な形に限定してもっぱら色と光の効果を研究して若いころからの課題を死ぬまで追求するという姿勢を感じる。もう一人のラズロ・モホリ-ナギと違って、この人は直線が好きで、ほとんどの作品にそれが感じられる。その他、家具や食器のデザインも手がけており、いくつかは展示されている。ガラスを使ったものにしろ油彩画にしろ、私は比較的初期の作品の方により惹かれる。
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(2) ラズロ・モホリ-ナギ
この人も光に関しては大きな関心があり、カメラを使わないで乾板にいろいろな対象物を置いて露光するphotogramという手法で多くの作品を残している。美術史的あるいは写真芸術的には意味があるのかもしれないが作品そのものは私にはいまいちぴんと来ない。

c0057725_772220.jpgしかし光を対象物に当てて効果を探るという方向は機械仕掛けのオブジェに光を照射して展示するInstallation作品に結実し、この分野で大きな影響を与えたと思われる。例としてLight Prop for an Electric Stage(1928-30)と名付けられたもののレプリカが展示されている。これ自体モーター仕掛けで動く様もあるメッセージを伝えてくれるが、さらに床から光を照射して壁に影を映すと共に、磨き上げられた金属板の反射する光が灯台のように動き回り、独特の空間をかもし出す。このような手法に影響を受けた芸術家は数知れず、昨年私が見たレベッカ・ホーン展で似たような空間を体験したことを記事で紹介したが、まさにモホリ-ナギがその分野の先駆者であったわけだ。


c0057725_711124.jpgこれに対して、絵画は初期のころからカンディンスキーやモンドリアンの影響が見て取れるが独自の世界を構築している。例えば左の写真に示すComposition QIV (1923)など。この初期の絵画で私が最も感銘を受けたBlack Quarter Circle with Red Stripes (1921)が個人所有者の許可が得られず、ディジタル写真が公表されないのは残念だ(カタログには印刷されているが)。この人の絵は初期のものは正方形、長方形と共に円が描かれているものが多いが、後年は円が主流になり、線もほとんどが曲線を使うようになっていく傾向はアルバースと対照的で面白い。円と矩形が無秩序に描かれているようであるが、そばで仔細に観察すると鉛筆の下書きが見えるものがあり、きちんと遠近法的な線を引いて綿密に計算して構成しているのがわかる。そのために、ぱっと絵を見てもある秩序が直ちに感じられ、これも計算したであろう調和した色使いと共にある種の心地よさを与えてくれる。

c0057725_7152060.jpg彼はずっと円や曲線を使って絵画の方向を模索していたと思われるが、特にブレークすることなく51歳で若死にしてしまったのは残念である。左の絵は死ぬ年に描いたNuclearシリーズの一つで、広島への原爆投下にショックを受けて描いたとされる。





Albers & Moholy-Nagy: From the Bauhaus to the New World
Tate Modern
9 March – 4 June 2006
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by dognorah | 2006-03-29 07:41 | 美術

チェロリサイタル(3月23日)

チェロ:Helen Neilson
ピアノ:Christopher Pittas

曲目
バッハ:無伴奏組曲第3番ハ長調 BWV1009
ショパン:ピアノとチェロのためのソナタ ト短調 作品65

ハイドパークチャペルでのランチタイムコンサート。久しぶりに行ったら世話役ががらりと変わっているのにびっくり。どうやら半年任期でアメリカから派遣されるようです。

c0057725_7465318.jpgチェリストのヘレン・ニールソンはフリーランスで独奏や室内楽活動に励む傍ら生徒を取って教えているプロです。スコットランド出身でリーズ大学卒業後Royal College of Musicで更なる専門教育を受けました。

ピアニストのクリストファー・ピタスはギリシャ人でアテネや欧州各地でコンクール入賞を果たしたあとロンドン在住のようです。二人とも20代後半でしょうか。

チェロのヘレンはとても腕のたつ人だと思います。
バッハの無伴奏は深遠な表現で聴く人の心に素直に入り込んでくる音楽を提示してくれます。

ショパンは当然ながらピアノが大活躍する曲ですが、チェロもなかなか聴き応えのする曲で、呼吸のぴったり合った二人の演奏は美しくとても魅力的です。聴いて一遍に好きになりました。曲想的にも変化に富んでいて飽きることがありません。

いつものように聴衆の数が少なく、このように優れた演奏に対して残念なことです。
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by dognorah | 2006-03-28 07:49 | コンサート

ロイヤルバレー公演(3月25日)

今日は3種類の演目を上演するMixed Billです。
(1) Polyphonia
Music: György Ligeti
Choreography: Christopher Wheeldon
Design: Holly Hynes
Lighting: Mark Stanley
Ballet Master: Christopher Saunders
Piano: Henry Roche

Dancers
Leanne Benjamin
Alina Cojocaru
Deirdre Chapman
Lauren Cuthbertson
Martin Harvey
Federico Bonelli
Valeri Hristov
Edward Watson

c0057725_6165233.jpgこれはNYシティバレーの作品で、ピアノ伴奏だけで踊る30分程度のバレー。全員地味なブルー系のタイツ姿で、照明もかなり暗め。全部で10部に分かれていて、二人で踊るものから全員で踊るものまでいろいろヴァリエーションがありますが、基本的に体操または曲芸のようなアクションにバレー味をつけた感じで、2002年にオリヴィエ賞を取ったそうですがあまり楽しいものではないと思いました。コジョカルの姿だけ目で追っていました。写真はコジョカルとボネリです。

(2) Castle Nowhere
Music: Arvo Pärt
Choreography: Matjash Mrozewski
Set Designs: Yannik Larivée
Costume Designs: Caroline O’Brien
Lighting: John B. Read
Conductor: Barry Wordsworth
Orchestra: The Orchestra of the Royal Opera House

Dancers
Zenaida Yonowsky
Edward Watson
Belinda Hatley
Lauren Cuthbertson
Isabel McMeekan
Gary Avis
Brian Maloney
Joshua Tuifua

初日なので今夜が公式の世界初演です。
音楽はエストニア生れの作曲家アルヴォ・ペルト(1935-)のものですが何年の作曲かはわかりません(Webで調べたのですが)。彼はソ連の圧制を逃れてヴィーン経由でベルリンに移住、現在もそこにいるようです。この音楽は現代的な響きながらもとても美しい曲です。

振り付けはカナダのマティアシュ・ムロゼフスキという30歳の若手です。かつてはダンサーだったのですが5年前に振付師に転向しました。2004年にROHの2軍的ステージであるLinburyで上演するための小品を発表し好評を博したことから、今回メインステージ用の作品をROHより委嘱されたもの。

c0057725_617304.jpgステージはヤノフスキーとワトソンをフィーチャーしながらも他の3組も入り乱れて踊ります。筋は不明ながら何らかのストーリーはあるようです。女性は4種のおとなしい中間色を使ったロングドレス、男性は黒のフォーマルで、優雅ながらも高度なテクニックも織り交ぜたダンスですばらしい。音楽とのマッチングも非常に調和の取れたもので、20分という比較的短い作品ながら強い感銘を与えてくれました。非常に才能豊かな振付師と思います。舞台挨拶に出てきた姿は、バレーをやっていたとは思えない小太りの若者でした。今後のために名前を覚えておきましょう。写真はヤノフスキーとワトソン。

(3) Requiem
Music: Gabriel Fauré
Choreography: Kenneth MacMillan
Staging: Monica Parker
Designs: Yolanda Sonnabend in association with Peter Farley
Lighting: John B. Read
Ballet Master: Christopher Saunders

Soprano: Catherine Bott
Baritone: Mark Stone
Chorus: The Royal Opera Chorus
Conductor: Barry Wordsworth
Orchestra: The Orchestra of the Royal Opera House

Dancers
Darcy Bussell
Leanne Benjamin
Carlos Acosta
Rupert Pennefather
Sarah Lamb
Laura Morera
Lauren Cuthbertson
Yohei Sasaki
Ricardo Cervera
Valeri Hristov
Viacheslav Samodurov
Deirdre Chapman
Belinda Hatley
Isabel McMeekan
Gillian Revie
Gary Avis
and Artists of The Royal Ballet

このバレーはマクミランが、友人でシュトゥットゥガルト・バレーのディレクターであったJohn Crankoの1973年死去を悼んで制作したもので、ロイヤルバレーで1976年に初演されたものです。今回は33回目の公演で、私は初めて見ましたが甚く感動しました。
音楽はよく知られたフォーレのレクイエムですが、振り付けの美しさ、またそれにマッチしたシンプルなステージと照明は本当にすばらしい。衣装は流線型の模様の入ったタイツが主ですがベンジャミンはタイツが白で白の長いスカートを着け、アコスタは腰巻だけの裸です。ダンスはヴァリエーションに富み、マクミランらしい難度の高いデュエットなどもいっぱいでとても見ごたえがあります。
バッセル、ベンジャミン、アコスタは多数の中でもすばらしい踊りが目立ちます(注目しているからかもしれません)。一人代役で出たSoloist格のペニーファーザーがややリフト等がおぼつかなく、相手役のベンジャミンがひやひやする場面がありましたが大きな失敗はなかったです。
とにかくこれは完成度が高く、もう一度見たいバレーの一つです。
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写真左は、ベンジャミンを支える4人の男性とバッセル、右は、ベンジャミンを肩でリフトするペニーファーザーとアコスタです。

以上の写真はすべてJohn Rossというプロの撮ったものをネットから借用してきました。彼は昨日の午前中に行われたリハーサルで撮ったと思いますが、アップが早いのにびっくりです。
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by dognorah | 2006-03-27 06:28 | バレー

エフゲニー・オネーギン(2回目)

3月24日にまたロイヤルオペラに行きました。今回はピット横の席なので指揮者がよく見える代わりに舞台は右側3分の1は見えません。

歌手は総じて前回より調子がよかった上に、今夜の観客が声を出す人が多くてさらに歌手を乗らせて盛り上がった公演となりました。

まず、タチアナを歌ったルークロフトが高音もちゃんと美しく出たのが第1のポイント。ホロストフスキーとスルグラゼは前回とほぼ同じ。ヴィヤソンは前半は前回とあまり変わらず、間近で聴いているにも拘らずあまり声が出ているとはいえない状態でしたが、後半は盛り上がり、決闘を申し込んでパーティをめちゃめちゃにする場面では、あのザルツブルグのアルフレードの映像を思わせる絶叫に近い歌唱でやんやの喝采。それに乗せられて次の決闘直前のアリアは声も感情表現もすばらしくまたもや拍手喝さい。
グレミン王子のハーフヴァーソンはすぐそばで聴いたわけですが声の印象は前回とあまり変わらず、おまけに少し音程がふらつくところがあって、今回の公演ではやや失望というところです。しかしこの人にも盛大に喝采が贈られたので本人は気をよくしていましたが。

今夜のオーケストラは開幕直後が調子悪く、アンサンブルが荒いのにあきれましたが、だんだん持ち直し中盤からは問題なくなりました。指揮者のジョーダンは実に細かく歌手に指示を与えていることがわかりましたが、時にはちょっと歌手のやりたいことと噛み合わず、ヴィヤソンなどそれで調子がそがれるというようなところがあった気がします。
ところが、前回やや退屈だったタチアナの寝室シーンでは、彼の大きなアクションの指揮振りを見ながら美しい音楽とルークロフトの歌を聴いているととても納得という感じで全く退屈などしなくて、これはこの席のお陰でした。

今日はもう一つ、大根という誉れの高いホロストフスキーの演技をじっくり見てやろうと思っていました。舞台に登場した直後から中盤にかけての演技はやはり大根以外の何者でもない。もう少し表情や仕草に変化を付けられないのかと思います。この点はルークロフトのほうも一工夫必要で、初対面のときの恥じらいと硬い空気を表現する舞台が退屈になった責任の半分は彼女にもありそうです。彼女は大体において表情の変化に乏しい。その点はオルガ役のスルグラゼはとてもすばらしいのですが。
ところが第3幕第2場で魅力的な大人の女になったタチアナにオネーギンが愛を迫るところ、ホロストフスキーは表情といい仕草といい迫真の演技でした。ここは監督がちゃんと指導したのでしょうか。やれば出来るじゃん!この場面では声もよく出ているのでほんとに迫力ある舞台となりました。

ということで水曜日の公演とは違ってカーテンコールも非常に盛り上がり、私の席からはカーテンの隙間の向こうでブラボーをたくさん貰ってはしゃいでいるヴィヤソンの姿も見えました。ところで、おとといの公演では別に初日でもないのにルークロフトに花束が贈られましたが、今日は無しです。あの花束はファンからあらかじめ届けられたもので、そうでなければ無いものなのでしょうか。
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写真は歓声に応えるヴィヤソンと、その後ろは左からグリードウ、ハワード、スルグラゼです。グリードウが、俺も早くああいう立場になりたいなぁ、といううらやましそうな目つきをしています。

ところで、今回はあらすじを書くのをサボりましたが、これはロンドンの椿姫さんが面白おかしく書いていらっしゃいますのでそちらを参考にしてください。
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by dognorah | 2006-03-26 00:27 | オペラ

「盗まれたヴァイオリン」弦楽四重奏団リサイタル

ベルゴンツィという盗まれたヴァイオリンの名前を冠した四重奏団である。
団体としてはグリニッジにあるTrinity College of Music出身者たちによって2000年に結成された。名前の由来は、第1ヴァイオリンのKit Massey氏が使っていた同名のヴァイオリンから来ており、悲しいことにそれが盗まれてしまったので、コンサートを通じて広くアピールする目的で付けられたものである。一日も早くそのヴァイオリンに関する情報が寄せられることを祈りたい。

プログラム
バルトーク:6つのルーマニアフォークダンス
      (弦楽四重奏用に上記Kit Massey氏によって編曲された)
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調 作品11

バルトークは10分足らずの楽しい舞踊曲。
チャイコフスキーはアンサンブルよく丁寧に弾かれているが全体の構成力が弱いのか、各楽章がばらばらな感じである。どこといって悪いところはないけれど、リーダーの解釈がやや曖昧か。

ピカデリーにあるセント・ジェームズ教会で3月20日の公演でした。
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by dognorah | 2006-03-25 20:23 | コンサート

エフゲニー・オネーギン(3月22日)

ロイヤルオペラの公演です。

Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Conductor: Philippe Jordan
Director: Steven Pimlott
Designs: Antony McDonald
Lighting: Peter Mumford
Choreography and Movement: Linda Dobell

主な配役
Eugene Onegin: Dmitri Hvorostovsky
Tatyana: Amanda Roocroft
Lensky: Rolando Villazón
Olga: Nino Surguladze
Prince Gremin: Eric Halfvarson
Madame Larina: Yvonne Howard
Filipyevna: Susan Gorton
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チャイコフスキーのオペラは数年前に上演された「スペードの女王」以来久しぶりです。ロシア語だから主役にロシア人を配したのは正解でしょう。

指揮
c0057725_384696.jpg指揮者のフィリップ・ジョルダン(左の写真)は1974年チューリッヒの生まれでまだ31歳、ROHでは過去に「魔笛」と「サムソンとデリラ」を指揮したことがありますが、運動量の激しいエネルギッシュな指揮振りが印象的です。若くして各地でもてはやされていることからしても優れた指揮者であるのでしょう。今回のチャイコフスキーは叙情的なメロディを抑制を効かせながらも美しく流していましたが、第1幕第2場のタチアナの寝室での長いモノローグのあたりがやや散漫で、もう少しテンポ的に工夫してほしかった気がします。

演出
今回の新演出は、なかなかすばらしかったと思います。とても具象的で、ロシアのどこかの田舎にある屋敷の雰囲気がよく醸し出されていて物語の流れがとてもスムーズ。衣装も時代を反映したいいデザインで豪華。本当に水を張った池を出現させるなど舞台装置の方も頑張っています。冬はアイススケートのシーンも出てきますが、まるで本物の氷のように見せるテクニックにも感心。スケート靴は見た目には本物に見えるし、すいすい滑ってもいます。双眼鏡で観察してもよく仕掛けはわからないけれど、エッジの中に小さなローラーを仕込むということをやっているのかもしれません。

音楽が始まると、ヌードの男性が座って何かに悩んでいるかのようなポーズの大きな絵が現れます。この絵は各幕でシーンに応じて変わります。レンスキーが決闘で射殺されるシーンでは直後に暗殺されたマラーを思わせる絵が出たりして比較的わかりやすいのですが、この最初の男性ヌードは謎です。詩人のように想像たくましくしているタチアナの心の中を表しているのか、とも思いますが。

歌手
c0057725_3103453.jpgタイトルロールを歌ったホロストフスキー(左の写真)は、この前の仮面舞踏会では無様な歌で失望させてくれましたが、さすがにお国のチャイコフスキーものでは美しく歌い上げてくれました。第2幕まではかなり抑制を効かせて声の質を保ち、第3幕ではエンジン全開で朗々とアリアを歌ってくれて大満足です。この人はヴェルディにはあまり向かないのでレパートリーを考えるべきだと思います。



c0057725_3122275.jpgタチアナを歌ったルークロフト(右の写真)は何度もROHに出演するイギリス人ソプラノですが、高音部がスムーズに出ないせいで最高の賛辞を貰うことは少ない人です。今回もやや高音部が出にくいところがありましたが、中音部の美声を駆使して全体的には十分美しくまたドラマティックにタチアナの心情を歌っていたと思います。



c0057725_3140100.jpgエフゲニー・オネーギンは初出演というヴィヤソン(左の写真)はレンスキー役でしたが、衣装がとてもお似合いで今回はミスター・ビーンという渾名は返上。ROHに出演するのを見るのは2004年のホフマン以来2度目ですが、そのホフマン役の時と同程度の出来で、結構いいレベルだったと思います。もう少し声を響かせてほしいと思いますが、チャイコフスキーのオペラではこんなものでしょうか。この人こそヴェルディで聴いてみたいのですが、秋に予定しているネトレプコとのジョイントリサイタルまでお預けでしょう。



c0057725_315957.jpgオルガを歌ったスルグラゼ(右の写真)はグルジア出身のメゾソプラノですが、美しい声がよく出ていて合格。おきゃんな妹役を演じる演技力も立派で、タチアナと共に好対照な姉妹の性格をきっちり表現していました。




c0057725_3164699.jpg第3幕で一曲歌うだけのグレミン王子はバスのハーフヴァーソン(左の写真)が演じていましたが、この人はリゴレットでの殺し屋のイメージが頭にこびりついているせいか、立派な衣装を身につけた姿にびっくりしました。声は相変わらずあのどすの効く低音が健在でしたが、このたった一曲のアリアが結構長く、後半になると声が掠れてきたのはいただけません。調子が悪かったのか、それともあの低音は長く持続しないのかよくわかりませんが、24日にもう一度聴くので確認しましょう。



その他、ラリーナ夫人や乳母を歌った人も歌も演技も立派。決闘の時の世話人を務めたグリードウもいつもの端役ながらちゃんとこなしていました。この人にグレミンを演じさせても面白いかも。タチアナの命名日パーティで余興に歌われるムッシュー・トリケの歌はちょっとレベルが下がります。合唱は今回も文句なし。

帰りの電車で、オペラハウスでよく顔を見るけれどお互いに名前も知らない中国系の人とばったり会い、いろいろ感想を話し合いました。チャイコフスキーの音楽はすばらしいねぇ、と水を向けると、「そうなんだよ。このオペラは大好きなものの一つなんだ」とにこにこ。「ロンドンに住んでてほんとにラッキーだよ」とも。これは激しく同意。
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by dognorah | 2006-03-24 03:39 | オペラ

また壊れたハードディスク

最近メインのデスクトップPCがまともに起ちあがることが少なく、しょっちゅう青い画面が出てくるのでかなりやばい状態だった。それに何をするにも昔ほど早くない。経験からしてこれはハードディスク(HD)が臨終に近づいているに違いないと踏んで、新しいHDを注文していた。それが届いたので何とかデータを失うことなくOSも含めてすべてを新HDに移動できてやれやれ。一日がかりの作業になりましたが。

こういうときに役に立つのが、Acronisという会社のTrue Imageというソフト。私は定期的にOSをインストールしてあるパーティションのバックアップをこれで取っているが、今回は同じソフトのDisk Cloneという古いHDの中味を丸ごと新しいHDに移し変えてくれる機能を使った。このソフトを使うと新しいHDのもとでも、Windows XPは何事もなかったかのようにちゃんと起動し、マイクロソフトに認証を取り直す必要もない。メールなども全くシームレスである。

それにしてもこのHDは本当に信頼性の低い製品だった。たった3年半の間に4台が壊れたのだから。メーカーはアメリカのウエスタン・ディジタル(Western Digital)で、新しいPCを買ったときに120GBのものを2台つけてもらった。HDの機種はPCメーカーが選んだもの。1年後にそのうちの1台が異音を発しながらデータと共に帰らぬ人となった。当時はまだあまりHDに関しては知識がなかったので、初期の動作不良を見逃してしまい、データを救えなかった。
もう一台の方はさらにそれより数ヶ月ぐらいたったときにデータの読み書きが出来ない状態が頻発し、これは何とかデータだけは救えた。
この2台はPCの保障期間(3年)内だったので新品HDが届けられたが、当然ながら同じウエスタン・ディジタルの製品。そして昨年から今年にかけてその2台も壊れてしまった。

もう二度と買いません、ウエスタン・ディジタル!

同じアメリカの会社でマクスター(Maxtor)というのがある。ここの製品も200GBと250GBを買ったことがあるけど、250GBのほうがやはり短期間に壊れた。交換してもらおうと思ったら販売店も壊れていた(; _ ;)

その後は、製造場所はどこであれ日本のブランドをということで日立製を主に使っている。まだ使用期間が短いので信頼性についてはなんともいえないが、ここも全面的には信頼できない事件もあった。昨年2台の250GBを購入したら、そのうちの1台が130GBしかないとPCが言う。日立に問い合わせたら、容量の壁問題でお宅のPCが130GB以上認識できないから云々という。でも、もう一台の方はちゃんと250GBを認識しているんだよ!
しょうがないから販売店に返品したら先方も問題を認めて別のを送ってくれた。2台一緒に買っていたからよかったが、1台だけだともっとすったもんだしただろう。要するに日立でも新品ながら不良品があるということだ。

ほんとにHDは壊れやすいので皆さんも大事なデータを失わないように気をつけましょう。
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by dognorah | 2006-03-23 01:35 | コンピュータ