「ほっ」と。キャンペーン

<   2006年 02月 ( 15 )   > この月の画像一覧

ヴェルディのマクベス公演(2月24日)

ロイヤルオペラハウスの公演です。
c0057725_2243665.jpg私はシェークスピアが苦手で、ヴェルディがオペラ化した3つの物語もあまり積極的には見てきませんでした。このマクベスも2002年のプレミア時はパスしたものですが、今回はハンプソンとウルマナ(左の写真)が出演するのに魅かれて見に行きました。

キャスト
マクベス: Thomas Hampson
マクベス夫人: Violeta Urmana
バンクォー: John Relyea
マクダフ: Joseph Calleja

指揮: Yakov Kreizberg
演出: Phillida Lloyd
デザイン: Anthony Ward
振り付け:Michael Keegan-Dolan

歌手はハンプソンとウルマナはもちろんのこと、レリーアもカレジャもすばらしく、非常に質の高い配役だったと思います。

ハンプソンは昨年「仮面舞踏会」で圧倒的な名歌唱を披露してくれた記憶もまだ生々しいのですが、相変わらずの張りのある美しいバリトンを大きな声量で力いっぱい歌ってくれました。演技も、王やバンクォーを殺した罪の意識に苛まれて幻影を見る場面での目の据わり方など鬼気迫る表情はぞっとするくらいの迫真力です。

ウルマナは2004年の「運命の力」でレオノーラを歌い、相手役のリチートラと共にすばらしい印象を与えてくれた人ですが、今回はそのときよりかなりお太りになったものの、相変わらずよく伸びる高音と美しい声でこれも声量たっぷりで満足すべき歌唱でした。演技的には、マクベスに殺人を示唆する場面での悪女振りがややも物足りなかった感じがします。このあたりはビデオで見たMara Zampieri(シノーポリ指揮のもの)がすごかった記憶があります。

バンクォーを歌ったレリーアはROHではよく脇役に借り出されるバス-バリトンで私も過去に何回も見ていますが今日ほど印象深いことはなかったので今回はよほどの上出来だったのでしょう。カーテンコールでも盛大な声と拍手を貰っていました。

マクダフを歌ったカレジャは私は初体験の人です。マルタ島生れのテノールですがバリトンやバスの中で歌われるテノールの声が新鮮なこともあって大受けしていました。テノールにしては体格のいい人で、甘い声で声量もあり、ほんと上手かったと思います。私的には注目株ですね。

指揮者も初めて聴く人ですが、非常にまともな音楽作りと思います。ヴェルディらしい演奏が楽しめます。オケも頑張っていい音を出していたのですが、第4幕でトランペットが耳を覆いたくなる音のはずし様。まあご愛嬌です。写真はカーテンコールの出演者です。
c0057725_2261160.jpg

舞台の方ですが、多くの場面が正方形の浮きパネルのような凹凸のあるグレーの壁で囲まれた小さめの空間の中で演じられます。奥の壁は時には一部が開いたり全部が上方に移動して更なる空間を必要に応じて付け加えますが、デザイン的には結構シンプルです。他の装置としては金色のパイプで格子状に構成された台が頻繁に出てきて、静止していることもあればくるくる回転運動をすることもあります。その他の小道具としてはベッドぐらいなもの。あ、それから手を洗うための水道が舞台袖に作られ、ちゃんとジャージャー水が出ていました。舞台装置はこのように象徴的で簡素なものですが、衣装は割りと凝っていて王様は金ぴかの衣装、その他もちょっと古めかしく一応古い時代がわかるようになっています。

この女性演出家の仕事を見るのはこれが初めてですが、血を見せるのが好きな人です。謀反を起こしたコーダーの領主が処刑されて領地がマクベスに与えられるのですが、処刑された領主の血だらけの腰だけ隠した裸体がこれ見よがしに掲げられます。さらに、殺されたダンカンも上に説明した金パイプの台に置かれたベッドの上でほぼ同じ血だらけの姿で見せられます。マクベス夫人もナイフで自殺するということで最後は衣装の胸の辺りが真っ赤です。陰惨さを強調したかったのでしょうか。血ではないですが、マクベスに「女から生れたものには負かされない」という予言をする場面では、魔女の一人が仰向けに横たわり腹から取り出されたへその緒つきの赤ん坊にその台詞をしゃべらせるという気持ちの悪いこともやります。後、マクダフの子供を刺し殺す場面もあります。女性演出家というのは結構リアルなところがあるのでしょうか。
魔女は3人ではなく合唱隊全員がそうです。原作にある髭はつけないで黒い色をちょっと塗っている程度です。この魔女が、予言が実現する場面では黒子のように舞台に出てきて手伝います。例えばダンカンが殺されてみんなが嘆いている場面で王冠を持って現れ、マクベスにかぶせたり、バンクォーが殺される場面では子供を地下に隠して助けるなど。

ヴェルディは原作を結構端折って作ったものの、ほぼエッセンスは表現できていると思いました。
[PR]
by dognorah | 2006-02-25 22:11 | オペラ

チリの白ワインAresti Sauvignon Blanc

久しぶりにワインのアップを。

c0057725_8351127.jpgAresti Estateのソーヴィニオンブラン2005年で、首都サンチャゴの南150キロぐらいのところにあるRio Clacoという河沿いの谷で栽培されたソーヴィニオンブラン種のブドウから作られます。チリにしてはあまり安くないワインですが、値段の割りに感心したので紹介します。値段は£6.5(1300円)ぐらいです。

色:淡い麦わら色
香り:レモン、りんごなどに混じって心地よいハーブ系の香りがいくつか。
味:フレーバーとしてはちょっと青臭いりんご系ながらエレガントなジュースという感じで、酸っぱさは強くなく爽やか。これ単体でいくらでも呑めてしまうおいしさ。

10℃位でサーヴしましたが適度に引き締まって丁度よい温度でした。
合わせた食べ物は海のものが主体で、
 ・イカ刺身と山芋の短冊切りをわさび醤油と海苔で和えた物
 ・鮟鱇の肝とねぎ、七味のポン酢和え
 ・さわらのムニエル
なかなかのマリアージュで、あっという間に瓶は空になった次第です。
ロンドンはイカの刺身がいつもいまいちですが、今日もその類ながらややましかと思える程度のものでした。
鮟鱇はこちらでもポピュラーな魚ですが、肝となると日本人経営の魚屋でしか手に入りません。グロテスクなものですが今日は結構新鮮そうなものがあったので、湯掻いて上記のようにして食べました。ふわっとした口当たりが缶詰では得られないおいしさです。
さわらもかなり新しく、味は満足です。ちなみに私は魚を刺身以外で食べるときはヒラメでもスズキでも鯛でも鯖でさえもムニエルにするのが好みです。ワインに一番合うからです。
[PR]
by dognorah | 2006-02-22 08:37 | ワイン

チェロリサイタル(2月16日)

Martin Musical Scholarship Fundという有望な若手音楽家に奨学金を授与するシステムがフィルハーモニア管弦楽団によって運営されていますが、今日はその中の獲得者の一人がPurcell Roomでリサイタルを行いました。

チェロ:Bartholomew Lafollette
ピアノ:Caroline Palmer

曲目
ベートーベン:魔笛の主題による7つの変奏曲
ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ ヘ長調 Op.99
チャイコフスキー:Pezzo Capriccioso

c0057725_20435031.jpgBartholomew Lafolletteは1984年フィラデルフィア生れ。1997年から2003年までユーディ・メニューイン音楽学校に在籍、現在はGuildhall School of Music and Dramaでさらに研鑽を積んでいます。2002年から欧米で幅広く演奏活動をしており、ソリストとしてまた室内楽のメンバーとしてウイグモアホールをはじめイギリス中でリサイタルを経験しています。在学中から数々の賞を受賞していますので相当優れたチェリストであることは間違いありません。ややこしい名前の人ですが、かえって覚えられるかも。
なお、ピアノ伴奏を勤めたPalmerは上記Guildhallのピアノ教授です。

2曲目のブラームスがメインですが、よく出来た作品を美しい音色で情緒たっぷりに演奏しました。ブラームスの室内楽は深みがあるし、魅力的なメロディに溢れているし、とても聴き応えのあるものが多いので大好きですが、そういう魅力を余すところなく表現して、しばし楽の楽しみに浸らせてくれる演奏でした。
3曲目のチャイコフスキーは、魅力溢れた小品。生き生きとした表現で聴衆を楽しませ、やんやの喝采。退屈だったのは1曲目のベートーベン。最近の私は、ベートーベンの室内楽は何を聴いても退屈なので、演奏者が悪いわけではありません。

なお、写真はちょっと古く、今はロングヘアでかなり印象は違っています。
[PR]
by dognorah | 2006-02-18 20:47 | コンサート

フィルハーモニア管弦楽団の演奏会(2月16日)

曲目
モーツァルト:序曲「La clemenza di Tito」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K453
マーラー:交響曲第4番 ト長調

出演
ピアノ:Piotr Anderszewski
ソプラノ:Sarah Fox
指揮:Charles Mackerras

c0057725_9471493.jpgモーツァルトのピアノ協奏曲を弾いたピョートル・アンデルシェフスキは1969年ワルシャワ生れの中堅ピアニスト(左の写真)です。国際的に結構活躍しているポーランドのピアニストが、ショパンコンクールに出たことがあるという話が無いのが不思議です。
モーツァルトにふさわしいまろやかで透明な音色で、とても気品ある演奏でした。カデンツァでは強弱と緩急を効果的に組み合わせて味のあるテクニックを垣間見せてくれます。マッケラスの指揮も切れがよく、まとまりのある仕上がりとなっていました。好演というべきでしょう。

マーラーの4番は、最初の二つの楽章がちょっと音量を制御しすぎの感がありスケールが小さくて迫力が不足、ややまとまりに欠ける嫌いがありましたが、第3楽章になって大きなスケールでうねり出し、期待したマーラーの世界がたっぷりと出現しました。第4楽章もサラ・フォックスc0057725_948394.jpg(左の写真)の張りのある美しい声もあってスムーズでとてもまとまりのある演奏です。オケはとてもすばらしい音とアンサンブルでした。
昨年夏にPROMSでガッティ指揮のロイヤルフィルの演奏で同じ曲を聞きましたが、マーラーはガッティに軍配が上がると思います。マッケラスはオペラの方がもっと安心して聴ける感じです。80歳を超えてもまだまだ元気ですが。

なお、サラ・フォックスはイギリス生まれでRoyal College of Music出身、やはり中堅歌手といえるでしょう。先般公演されたロイヤルオペラの「ジークフリート」ではジークフリートにブリュンヒルデの存在を教える鳥の役をしていました。時期は不明ですが、次回ROHでドン・ジョヴァンニを上演するときはツェルリーナ役で出演することが決まっているようです。
[PR]
by dognorah | 2006-02-17 09:49 | コンサート

中嶋彰子ソプラノリサイタル(2月13日)

中嶋さんにとってロンドン初のリサイタルが満席のウイグモアホールで開催されました。すばらしかった!さすがにウイーンフォルクスオーパーの花形歌手です。

ソプラノ:中嶋彰子
ピアノ:ニールス・ムース(Niels Muus)

プログラム
Part 1
・Alessandro Parisotti: Se tu m’ami
・Giulio Caccini: Amarilli
・Gioachino Rossini: La pastorella delle Alpi
・Alfredo Catalani: Romanza、Sognai、L’odalisque、Chanson grönlandaise
・Carl Nielsen: Italiensk Hyrdearie
・Andre Messager: Si j’avais vos ailes

Part 2
・Kosaku Yamada: Akatombo
・Yoshinao Nakada: Sakura yokocho
・Richard Strauss: Schlechtes Wetter、Breit über mein Haupt…、Ständchen
・Hugo Wolf: Mignon 1、Mignon 2、Mignon 3、Mignon

真っ赤なドレスで登場した中嶋さん、出てくる姿がプロフェッショナルだと思わせる立ち居振る舞いです。艶然とした微笑もキャリアを感じさせます。安定した音程、よく伸びる声、ホール狭しと思わせる声量、顔の表情の豊かさ、歌の表現力、どれを取っても感嘆しきりでした。聴衆の一人一人に訴えかけるような歌唱はすっと心に入ってきます。

Catalaniの歌はUK初演だそうでイタリアでも最近はあまり歌われる機会が無いとのことすが、彼女が積極的に取り上げるだけあって、とても美しく聴き応えのある歌です。

後半は日本の歌2曲で始まりますが、これは儀式みたいなものでしょう。
その後のドイツ歌曲シュトラウスとヴォルフも共にすばらしく、特に、ゲーテの詩に基づく心の内面を表現したヴォルフの歌の深い解釈には感心しました。

ピアノ伴奏を勤めた夫君のムース氏も本職は指揮者ながらピアノのテクニックもかなりのもので、歌とピアノが渾然一体となって各作品の世界を描いていました。
アンコールは、シューベルトとウイーンの歌の2曲でした。
c0057725_1255044.jpg

写真は、拍手に応える二人(ドレスが反射のため赤く写っていませんが)と、サイン回でファンと話す中嶋さんです。
c0057725_126236.jpg

次は彼女のオペラをぜひ聴いてみたいものです。日本語コミュニティー紙で知ったのですが、昨年夏にロイヤルオペラで公演された「イタリアのトルコ人」で一回だけ具合の悪くなったチェチリア・バルトリの代役を務めたそうです。既に縁が出来ているので、近々本格的に登場するのではないかと期待しています。
[PR]
by dognorah | 2006-02-15 01:27 | コンサート

ロンドンの最新のコンサートホール

この直前の記事で触れたCadogan Hallについてのお話です。
これは2004年に新たにコンサートホールとしてオープンした建物です。
建物そのものは約100年前に建てられた比較的新しい教会だったのですが、信者減でイギリス国教会が放棄することを決め、2000年にCadogan Estateという会社がコンサートホールとして運営する目的で買収しました。4年間にわたる大改修で、収容人員こそ少ないものの立派なホールとして見事に再生されたのでした。下の写真は外観と内部です。
c0057725_2021030.jpg

ホールの特徴
ホールの収容人員は約900名です。
これは日本の消防法みたいな法律で、こう決められたそうです。この数は、観客、スタッフ(約70名)、演奏者のトータルです。従って100人ぐらいの演奏者が舞台に上がる昨日のようなイベントでは、観客の数は最大730人ということになります。

音響的に工夫されたこと。
外観は出来るだけオリジナルを保存しながら音響的には現代の技術がたっぷり注がれました。例えば、外側のステンドグラスをそのままにして、内側に新たに防音目的の分厚いガラスを嵌め込む。ストール席は傾斜が付けられて後ろの席でも見易さを確保。ギャラリー席も同様の傾斜が付けられ、なるべく死角を減らす工夫がされた。c0057725_20111512.jpg音響の観点から床や椅子の材料は木が多用された。天井内部は必要な吸音処理が施され、天上と横の壁には不必要な共振を取り除くために円筒形の共鳴箱が多数取り付けられた(左の写真)。
昨日実際に音を聴いたわけですが、共鳴箱の効果か、ややデッドですが残響が適度に抑えられとても聴きやすいです。狭い空間でとてもアットホームな感じです。

その他
ステージは演奏者の数に応じて奥行きを変えられるようにした。窓のカーテンを含む照明コントロールはすべてコンピュータ制御できる。グラウンドレベルと地下レベルに広いロビーとバーエリアが作られ、観客はあまり混みあうことなくくつろげる。
我々コンサートに出かけるものにとってもう一つ見逃せない大きなメリットは、非常に交通の便がいいことです。最寄の地下鉄駅は、District LineとCircle LineのSloan Square駅ですが、なんと駅から徒歩2分程度という近さです。改札口を出て右を見ると100mぐらい先にホールが見えます。

現在ロイヤルフェスティヴァルホールが2年間のスケジュールで改修中ですが、そこを根城にしていた各オーケストラは演奏場所確保にそれぞれ苦労しています。ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団は馬鹿でかいロイヤルアルバートホールを使っていますが、このカドガンホールも根城にすることを決めました。フィルハーモニア管弦楽団なども時々ここで演奏しますが、なんとブルックナーの4番とか7番などの大編成オーケストラ曲が予定されています。小さなホールが飽和しそうな感じですがそれはそれで面白そうなので行ってみようと思っています。
[PR]
by dognorah | 2006-02-11 20:17 | コンサート

ガーディナーのモーツァルト(2月9日)

John Eliot Gardinerが手兵のEnglish Baroque SoloistsとMonteverdi Choirを指揮してオールモーツァルトプログラムの演奏会を催したので聴いてきました。会場はカドガンホール(Cadogan Hall)です。

曲目
交響曲第39番 変ホ長調 K.543
交響曲第41番 ハ長調 ジュピター K.551
ミサ曲 ハ短調 K.427

ガーディナーを聴くのは久しぶりです。今まで大ホールでしか見たことが無かったのであまり感じませんでしたが、近くで見ると背の高さが目立ちました。恐らく190cm以上はあるでしょう。
ベートーベンの交響曲第9番をCDで聴いたときは速いテンポにあきれたことがあるのでモーツァルトも早いのかなと思ったら案に相違してゆったりしたきわめてオーソドックスなテンポでした。第39番はモーツァルトの美しい旋律をたっぷり響かせながらも終始緊張の糸が一本ぴんと張りつめている感じで極めて格調が高く、名演といえるものだったと思います。第41番も同様に構成感がしっかりしたもので、速めのテンポに設定した終楽章を劇的に終わり、興奮を掻き立てます。欲を言えば、第1楽章でもう少し溌剌とした躍動感がほしかったところですが、それにしても立派な演奏でした。

そして、休憩後のミサ曲、モンテヴェルディ合唱団の実力を見せ付けてくれます。このオーケストラと同程度の高々40人位の合唱団ですがヴォリューム的にもアンサンブル的にもすごいものがあります。4人の独唱者は必要なときに合唱団の中からメンバーが一段前に進んで勤めるのですが、これがまたうまいのです。ガーディナーはとてもきめの細かいことに、曲の場面に応じて男女の各パートを右や左に移動させてバランスを変化させます。時には器楽奏者まで動かして独唱者のそばに伴奏のフルートが鳴るようにしたりします。お陰で各パートの切れ目で舞台上はとても忙しいものになりますが、演奏は天国的ともいえる美しさと深みのあるもので、それが心の奥に滲み込み、これはマジ感動しました。恐るべし、ガーディナー。コンサート直前に切符を買ったので高い席しか残っていませんでしたが、Money for valueと実感しました。写真は終演後の演奏者たちです。
c0057725_201771.jpg

今夜はこれに加えて余興もあります。このコンサートがずっと前に発表されたときはミサ曲を最初に演奏する予定だったのですが、上記のように順番が変更されました。理由は、2曲の交響曲の演奏を終了後直ちにCD化し、コンサート終了後に会場で販売するためです。休憩時間とミサ曲を演奏している間に簡単な編集とCDに焼く作業を必死でこなしていたわけです。こういう変わった企画に弱い私はもちろんCDを買いました。家に帰ってプレイバックしてみましたが、まあ満足できる音です。39番の方が音はよく、通常の念を入れて作ったCDとほぼ同様の出来です。41番は低音にバランスが移っている感じです。恐らく平行作業のため、39番とは別の人が編集したのではないかと思われます。途中、聴衆の誰かがプログラムをバサっと床に落としたのですが、ちゃんとその音も収録されていましたので、ほんとのライブ録音であることは間違いありません。限定3000枚を販売するようですが、今後SDGというレーベルで同様の企画を実現していくそうです。今回は初めてだったので、収益金はチャリティに寄付されるそうです。下の写真は今回購入したCDとジャケットです。
c0057725_2015398.jpg

ロンドンに住んでいながら、こういう情報を知ったのは おかか1968 の記事でした。読んであわてて切符を手配したわけですが、間に合ってよかった。坂本君さん、ありがとうございました。
[PR]
by dognorah | 2006-02-10 20:03 | コンサート

ヴァイオリンとピアノのリサイタル(2月9日)

台湾出身の若い男女によるリサイタルです。会場はSt Jone’s, Smith Squareでした。
ヴァイオリン:Eric Hui-Ti Wang (1981生れ)
ピアノ:Evelyn Chan

Wangは1996年にイギリスに来てThe Purcell Schoolof Musicで学ぶ。卒業後はRoyal College of Musicに進み、さらにその後Guildhall School of Music and Dramaで修士課程も修了。ソロと室内楽で幅広く活動しています。マイナーなコンクールではいい成績を上げていますが、ブリュッセルで開催されるQueen Elizabeth Competitionでは入賞は出来なかったようです。

Chanは1991年にロンドンに来てThe Purcell Schoolof Musicに入学。その後Royal College of Musicに1996年に進みました。現在はソロと室内楽で活動しており、ウイグモアホールでリサイタルを開いたりCDを出したりしています。彼女の方が少しお姉さんっぽいです。

プログラム
サラサーテ:Concert Fantasy on Mozart’s Die Zauberflote Op.54
フォーレ:Sonata for violin and piano in A Op.13
ウィニアフスキ:Original Theme with Variations Op.15

サラサーテの曲は腕慣らし指慣らしといった感じでしょうか。ポピュラーなメロディをベースにしているので親しみやすいけれど、特に名曲ともいえないでしょう。
メインのフォーレは非常によかった。ヴァイオリンもピアノも丁寧な弾き方で彼の高貴とも思える雰囲気がきちんと表現され、いい演奏をありがとうといいたくなるものでした。聴き応えがありました。会場もかなり沸きました。
ウィニアフスキの曲もヴァイオリニストのテクニック披露的なプログラムで、変奏曲を見事な指捌きで演奏するのですが、曲そのものがもともとあまり感動的なものではないのでまあそんなものかというところです。

このヴァイオリニストは、テクニックを見せびらかすよりもじっくりと音楽を聴かせてくれる方が彼の良さをよりよく伝えることが出来るような気がします。
[PR]
by dognorah | 2006-02-10 09:37 | コンサート

オペラ「フィガロの結婚」公演(2月7日)

このポピュラーな演目、モーツァルトの生誕記念を待っていたわけではないでしょうが、20世紀の末にロイヤルオペラハウスが改装されてからは初めての公演だということです。これに先立って昨年12月から今年1月にかけてロッシーニの「セヴィリアの理髪師」が公演され、観客は自然に原作の筋の流れがわかるように配慮されていたわけです。バルトロがロジーナと結婚するのを邪魔したフィガロに対して復讐を企てるなど以前の話に基づいた台詞が出てきますが、「セヴィリア」を観た直後では何の違和感もありません。

c0057725_22101742.jpg
キャスト
フィガロ:Erwin Schrott
スザンナ:Miah Persson
アルマヴィーヴァ伯爵:Gerald Finley
伯爵夫人(ロジーナ):Dorothea Röschmann
ケルビーノ:Rinat Shaham
バルトロ:Jonathan Veira
マルチェリーナ:Graciela Araya
ドン・バジリオ:Philip Langridge

指揮とチェンバロ:Antonio Pappano
演出:David McVicar
舞台装置:Tanya McCallin

まず演出ですが、マクヴィカーにしては非常におとなしく、登場人物の性格付けもごくオーソドックスと感じさせるものでした。舞台装置も衣装も古典的で、装置的にはなかなかうまく出来ていると思います。この作品は権力の象徴であるアルマヴィーヴァ伯爵が庶民層からめちゃめちゃやっつけられる話なので、この数年後に起こったフランス革命を予見したものという説もありますが、そういう解釈をしなくてもオペラとしてはとてもよく出来た作品で(なぜテノールが使われなかったのか不思議ですが)、私はモーツァルトのオペラの中では一番好きです。そして、今回は十分楽しませてくれた公演でした。

序曲が始まると、すぐに幕が上がり、宮廷内の大広間で、床掃除をする人や窓のブラインドをあける人、台所の用意で忙しく立ち働く人など早朝の忙しい廷内の様子を見せてくれます。序曲が終わる頃に左側の部屋の壁が舞台中央にせり出してきますがそれはフィガロの部屋なのでした。第1幕と第2幕は休みなしに連続して上演されますが、フィガロの部屋から伯爵夫人の部屋への転換が非常にスムーズで、音も無くあれよあれよという間に変わるテクニックはたいしたものです。お陰で音楽も全く止まらずに済みます。第3幕と第4幕の間も休みなしですが、そこはちょっとスムーズさに欠け、間があいてしまいましたが、それでも伯爵の部屋から中庭へごく短時間に変化します。全体的には非常にスマートな出来と思います。

歌手ですが、フィガロを歌ったエルウィン・シュロットと伯爵を歌ったジェラルド・フィンリーは終始すばらしい歌唱で、大満足です。フィンリーは既に名声を確立した人ですが、顔の表情など役になりきった演技と歌唱はさすがです。シュロットはウルグアイ出身の若手で、張りのある若々しい声がとても魅力的です。競争の激しいバリトンですがこれから大活躍する人でしょう。
スザンナを歌ったスウェーデン出身のミア・パーソンも初めて聴く人です。第1幕では高音がちょっと引っかかるような印象で、これをずっと聴かされるのはいやだなぁと思っていたら、時間の経過とともによくなっていって休憩後の第3幕では絶好調の喉になりました。高音までよく伸び、なんともいえない心地よい声と歌唱で感動しました。この人はもう一度聴いてみたい人です。
伯爵夫人を歌ったドロテア・レシュマンは以前魔笛でパミーナを歌ったのを聴いたことがありますが、そのときと同様水準以上をこなしていたと思います。
ケルビーノのリナト・シャハムはイスラエル出身。あまり好きな声ではないです。少年役としてはなかなかいい演技をこなしていましたが。
マルチェリーナのグラシエラ・アラヤ、ちょっと華がありませんが歌はうまい人です。
バルトロのジョナサン・ヴェイラは、同役で以前グラインドボーンで聴いたことがありますが演技も歌もとてもうまい人です。アラヤといいコンビでした。
ドン・バジリオのフィリップ・ラングリッジは最近では「ラインの黄金」でローゲをやっていましたがこの種の脇役では貴重な存在です。
パッパーノの音楽は、序曲が意外におとなしかったものの軽やかにメリハリの効いた演奏で、淀みなく美しいモーツァルトを表現していたと思います。

シュロットとパーソンが魅力的なので、後の公演で安い席が残っているならもう一度行ってみるかもしれません。
[PR]
by dognorah | 2006-02-08 22:17 | オペラ

Blaze Ensembleリサイタル(2月6日)

c0057725_7574284.jpgこのBlaze Ensembleというのは1997年に設立されたウインドアンサンブルです。メンバーは、ピアノ、オーボエ、フルート、クラリネット、バスーン、ホルンが1名ずつ。彼らは普段はCorinthian Chamber Orchestraに属して活動しており、比較的年配の方が多い。リサイタルはピカディリーのセント・ジェームズ教会(左の写真)で行われました。






プログラム
Rimsky-Korsakov (1844-1908)
  Quintet for Piano and Wind in Bb
Jean Francaix (1919- )
  Quartet for Wind
Albert Roussel (1863-1937)
  Divertissiment for Piano and Wind Op.6

リムスキーコルサコフの作品は、ピアノ、フルート、クラリネット、バスーン、ホルンによる五重奏曲。彼らしく各楽器が複雑にメロディを絡ませてアンサンブルの面白さを表現している。第1楽章は結構賑やかで元気のいい曲である。第2楽章はややしっとりとホルンがリードして他の楽器がそれに追随するが、リード役はフルートやクラリネットに移っていく。第3楽章はバスーンがグローフェの大峡谷で使っているようなちょっとおどけたメロディで全体を引っ張る。他の楽器もメロディを絡ませるが最後まで一貫してバスーンが主役である。

2曲目のジャン・フランセクスはフランスの現代作曲家ですが、私は初めて聞く名前。曲はフルート、クラリネット、オーボエ、バスーンで演奏し、あまり現代曲的ではない親しみやすいメロディをもとに各楽器が展開する形式ですが、不協和音が無いだけで音程の取り方などやはり現代曲を感じさせます。

最後のルーセルは、これも私はほとんど聞いたことの無いフランスの作曲家ですが、故国でもあまり人気は無いようです。リムスキーコルサコフと同様音楽ではなかなか食べていけないという理由で海軍に属していました。
曲は、アンサンブルの全員が参加する楽器構成です。彼は上のフランセクスよりもかなり新しい作曲技法を用いていると思います。各楽器の出す音は鋭いし、メロディもストラヴィンスキー的なものを感じます。

奏者は手馴れた感じの人ばかりで、まろやかな音のハーモニーが心地よく聴くほうも音楽に集中できます。私は最前列に座ったために奏者の手前の人とは1m以内の距離で、楽器特有のノイズも全部聴けるという位置でした。オーボエ奏者が「ちょっと近すぎるよねぇ」と話しかけてきたくらいですが、めったに経験できないことで面白かった。バスーンがチェロと同様の金属の足を持っているとか、キーは親指だけで操作するとかを初めて認識しました。
[PR]
by dognorah | 2006-02-07 07:59 | コンサート