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Quartet de Baugéを中心としたリサイタル(1月30日)

2003年にフランスのロワール川沿いの町Baugéにある古城で開催されたブリテンのオペラ公演で演奏したメンバーの中から生れたのがボージュ弦楽四重奏団で、今日はそれが中心となり仲間を集めて五重奏曲と八重奏曲が演奏された。メンバーは全員イギリス人でロイヤルオペラ管弦楽団の現あるいは前楽団員が多い。

曲目
George Onslow (1784-1853): 五重奏曲 作品74
Louis Spohr (1784-1859): 八重奏曲 作品32

この作曲家たちは初めて聞く名前なので20世紀の作曲家かと期待していたが、残念ながら19世紀だった。
オンスローはイギリス人の末裔であるが生れも育ちもフランスのオーヴェルニュー地方の都市クレルモン-フェラン(Clermont-Ferrand)で、フランスの作曲家とされている。生前はかなりポピュラーであったらしく、ベルリオーズは彼のことをベートーベン亡き後の器楽曲の王とまで言ったという。

一方、スポールはドイツのブラウンシュヴァイク(Braunschweig)生れの作曲家およびヴァイオリニストで、この人も生前はかなりもてはやされたという。作品は交響曲、協奏曲、オペラ、オラトリオなど多岐にわたっており、Jessonda (1823)というオペラなどはロイヤルオペラの前身である劇場でも上演されたそうである。今日の音楽界への貢献として著名なものは、指揮する際に指揮棒を使うこととヴァイオリンに取り付ける顎乗せ台で、彼の発明ということである。

さて、曲の方であるが、五重奏曲は確かにベートーベン的響きでロマン派の音楽を髣髴とさせるもの。まるで馴染の曲のように何の違和感もなくすっと耳に入ってくる。第4楽章は楽想が才気煥発にほとばしるユニークなものでなかなか面白い。

八重奏曲は楽器構成がちょっと変わっていて、ヴァイオリン1、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1、ホルン2、クラリネット1というものである。こういうユニークさがめったに演奏されない一つの理由であろうが、発表された当時はシューベルト的フレッシュさという評判を取っていたという。曲はじっくり聴くとなかなか味のあるもので、弦と管のバランスがよく、ホルンとクラリネットが実にうまく弦楽器と溶け合った響きを出す。演奏者たちもかなり楽しめる曲であろう。今回の管楽器奏者たちはロイヤルオペラ管弦楽団のヴェテランたちで、まろやかでやわらかい音色がほんとに心地よい。

(追記)
かつてポピュラーではあったものの、その後人気をなくした作曲家というのは数多く存在するという。近年の商業主義というか、何か目新しい曲や演奏を録音する傾向にあるのであるいはこういう曲も再び日の目を見るときが来るのかもしれない。最近のモーツァルトのように。
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by dognorah | 2006-01-31 08:52 | コンサート

再びピアノリサイタル(1月25日)

今日はピアノ3重奏団の演奏の予定でしたが、ヴァイオリニストが急病のためキャンセルとなり、別のピアニストが代役です。昨日依頼があったというShort noticeで、よく引き受けたなぁと思っていたら、実はこの人26日にレスターでコンサートをやる予定で、ほぼ同じプログラムを持ってきたのでした。

ピアノ:Bobby Chen
曲目
 ハイドン:Sonata Hob XVI:50
 ドビュッシー:版画から2曲
        Pagodes
        Jardins sous la pluie
 Zhang Zao:Introduction and ‘Pieces in Yunnan Style’
        (UK premiere)
 ストラヴィンスキー:組曲「ペトルーシュカ」から
        Chez Pétrouchka
        La Semaine Grasse

c0057725_47036.jpgBobby Chenはマレーシア生れ、10代のころにイギリスに来てユーディ・メニューヒン学校に入学、卒業後はRoyal Academy of Musicに進み、その後は積極的にリサイタルやコンチェルト活動をやっています。年の頃27-8歳というところでしょうか。顔は日本人だと言われても違和感がありません。昨年は2度もウイグモアホールでリサイタルを開催している実力派です。

ハイドンは月曜に別の曲を聴いたばかりですが、今日の曲はバッハに近いちょっと重さを感じさせる部分もあります。月曜と同じく1曲目を聴いただけでこのピアニストが確かなテクニックと音楽性を持った人であることがわかります。音の透明感がすばらしい。

その音の透明感が最大限に発揮されたのが次のドビュッシーでした。和音もまるでパルスのように輪郭がはっきりして、間の取り方もすばらしく、恐らくドビュッシーにはすごく共感しているのでしょう、見事に生き生きした音楽です。彼がドビュッシーを中心にしたプロでリサイタルをやるならぜひ行きたいと思いました。今年の予定では残念ながら近場でのコンサートはありませんが。

Zhang Zaoという作曲家は中国系の名前ですが、どういう人かネットで調べても詳しいことはよくわかりません(同名の詩人ばかり引っかかる)。レスターでやるのとは違う曲ですが、両方ともプレミエだそうです。割と伝統的な全く違和感のない音楽ですが、特にどうということはないものでした。

次のストラヴィンスキーは誰の編曲か不明ですが、ボビーの名人芸テクニックを披露するためのものでしょう。ものすごい指捌きです。それを苦もなくやってのけます。もちろん曲そのものも楽しめますが。
しかしまた一人ピアニストの名前を記憶に刻む必要が出てきたというところです。
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by dognorah | 2006-01-26 04:11 | コンサート

ロイヤルオペラの切符予約

5-7月の演目のオンライン予約が今朝10時から開始。
前回は、9時40分ごろからサイトに入って予約できたという情報をある人から得ていたので、そのころから待機するも、今回はきっちりと10時開始だった。そのためにいっせいにアクセスされたせいでホームページも表示されないビジー状態になったが、オンラインブッキングのボタンはこの辺と当たりをつけてクリックしたらあっさり予約サイトに入れた。狙っていたトスカのゲオルギュー、アルヴァレス、ターフェル出演の分を無事に日を違えて2種類ゲット。裏キャストのNaglestad+Giordano+Rameyも買おうかと思っているが、この演目は一人2枚までと制限されているので、また後ほどアクセスするつもり。
他の演目は、バルトークの「青髭公の城」+シェーンベルクの「期待(Erwartung)」を1回分購入。また、Heppnerが出る「トゥーランドット」も1回分購入した。これはAndrea Gruberとの共演で、裏キャストのGeorgina Lukacs+Yu Qiang Daiもカラフには興味があってもトゥーランドットはどっちもどっちという年増であまり期待できない。
もう一つの演目「ドン・パスクワーレ」は、あまり魅力的な出演者とはいえないのでパス。
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by dognorah | 2006-01-24 20:56 | オペラ

ピアノリサイタル(1月23日)

Royal Over-Seas Leagueという名前を冠した音楽コンクールがありますが、これは要するに英連邦諸国内でのイヴェントで、音楽に限らずスポーツなどあらゆる分野でいろいろ開催されています。
c0057725_2071777.jpg今回のピアニストは昨年のこのコンクールで優勝した人で、Nicola Eimerというイギリス人です。彼女はRoyal Academy of Music出身ですが、フルブライト奨学金を貰ってジュリアード音楽院に留学し2001年にマスターコースを卒業しています。既にバービカンホールでコンチェルトをやったりウイグモアホールでリサイタルを開いたりもしているので、教会のランチタイムリサイタルに出てくるのにはちょっと格が上という感じがします。身長170cmくらいのスマートな方です。

プログラム
ハイドン:ピアノソナタ ハ長調 Hob. XVI35
シューベルト:即興曲集第2巻より2曲
     Thema con varizioni in Bb
     Allegro scherzando in F minor
ショパン:バラード第4番 作品52

ハイドンといえば弦楽四重奏や交響曲をたまに聴くぐらいでピアノ曲なんてほとんど聴いたことがなかったのですが、これは溌剌としたなかなか魅力的な曲です。彼女は表情や弾く動作でいかにも楽しげに曲の雰囲気を出してくれます。音は透明で美しく、技術的には完璧と思いました。

2曲目のシューベルトでさらに彼女の実力を思い知りました。なんというか、シューベルトの細やかな感情表現がすばらしく、ため息が出そうなくらい。ここでも彼女の透明な音がとても効果的です。美しくしかも深遠な世界にいざなってくれます。とても共感できる解釈で、全曲を聴いてみたくなります。

最後のショパンのバラードは、最初ちょっと乗れない感じで、「え?まだシューベルト?」と思ってしまいましたが、まもなく違和感も消えショパンの世界がちゃんと現れてきました。でも、彼女はシューベルトの方がはるかにすばらしいと思いました。

今後、ウイグモアホールかパーセルルームでリサイタルをするならぜひ聴きたいピアニストです。

この教会に置いてあるピアノは真新しいベーゼンドルファーのフルコンサートグランドですがブランドロゴのちょっと上に小さな金文字で貸し出し用と印刷してあり連絡先も書いてあります。貸し出し専用として最初から作られているんですね。教会の説明では、近くの楽器店が無償で貸与してくれているのだそうです。いろいろ条件が設定されているのでしょうけれどありがたいことです。
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by dognorah | 2006-01-24 20:08 | コンサート

マスネーのオペラ「マノン」(DVD)

Abbé Prévostが書いた「L’Histoire du Chevalier des Grieux et de Manon Lescaut」という小説に基づいてHenri Melhac & Philippe Gilleという二人のフランス人が脚色したものにJules Maaenetが1884年に作曲したものです。

プッチーニの「マノン・レスコー」は、同じ原作に基づいて5人のイタリア人が共同で作った脚本に作曲したもので、マスネーより9年遅い1893年でした。

二つの台本は、大筋ではもちろん同じような内容ですが、原作からピックアップした内容は、マノンが追放処分になるまでのエピソードはマスネーのものの方が多く、そのかわりマノンはアメリカに行く前に収監されているル・アーヴルで死んでしまいます。しかし内容はより複雑なので、舞台で見るには断然こちらの方が面白いと思いました。

あらすじ
(第1幕)パリの南にある町アミアンの宿屋で裕福な二人の男モルフォンテーヌとブレティニーが女性をはべらせて食事しているところに修道院に入る途中のマノンが到着し、いとこのレスコーと落ち合う。彼女を見初めたモルフォンテーヌは言い寄って駆け落ちを持ちかけるが、断られてもあきらめきれず、いざというときのために馬車を用意しておいて食事を続ける。そこへ、父親のデ・グリュー伯爵と会うためにナイトの称号を持ったデ・グリューが現れるが二人はお互いに一目惚れし、モルフォンテーヌが用意した馬車をこれ幸いと使ってパリに駆け落ちする。それを知ったモルフォンテーヌは激怒し、復讐を誓う。
(第2幕)二人はパリのアパートで暮らしているがデ・グリューは父親に手紙を書いて二人の結婚を認めてもらおうとする。そこへ二人の居場所を掴んだレスコーがブレティニーと共に現れ、レスコーがデ・グリューを詰問している間にブレティニーが、デ・グリューは父親に強制的に連れ戻されることになっているという情報を漏らしながら金の力で彼女を誘惑する。デ・グリューはその後早々に拉致される。
(第3幕)贅沢なサロンでモルフォンテーヌ、ブレティニー、マノンなど社交界の人々が集まってパーティをしている。その中にデ・グリューの父親もいて息子を牧師に成らせるために修道院に入れたという立ち話をし、それを盗み聞いたマノンはその修道院にはせ参じる。そこではデ・グリューはほとんど浮世をあきらめて修行しており、マノンを見ても、帰ってくれ、というばかり。しかしマノンはあきらめずに誘惑し、まんまと彼を連れ出すことに成功する。
(第4幕)社交場では人々は賭けに興じており、そこへデ・グリューを連れてきたマノンは、人生は楽しまなくて、それには金が必要、と彼に賭けをやらせる。復讐心に燃えるモルフォンテーヌはチャンス到来とばかりにデ・グリューに賭けを挑むが負け続けてしまう。悔し紛れにこれはイカサマだと難癖をつけ、周りの人を味方にして警察にマノンとデ・グリューを逮捕させてしまう。
(第5幕)ル・アーヴルの囚人収容所の外で、父親の力で釈放されたデ・グリューとレスコーがマノン救出を相談しているがうまく行かず、レスコーは看守を買収してマノンを一時開放してデ・グリューに会わせる。マノンは非常に衰弱しており、過去の楽しかったことをいろいろ語り合うが力尽きて彼の腕の中で死ぬ。

このDVDは2001年にバスティーユのオペラ座公演を録画したものです。
キャスト
Manon Lescaut : Renée Fleming
Le Chevalier des Grieux : Marcello Alvarez
Lescaut : Jean-Luc Chaignaud
Le Comte des Grieux : Alain Vernhes
Guillot de Morfontaine : Michel Sénéchal
Monsieur De Brétigny : Franck Ferrari

Conductor : Jesus Lopez-Cobos
Orchestra & Chorus : Opéra National de Paris
Director : Gilbert Deflo

c0057725_19315927.jpg舞台は天井の高い空間に簡素なセットですが登場人物の服装は古典的で華麗なもので、視覚的にもとても楽しめます。
フレミングとアルヴァレスは絶好調といっていいくらいのよい出来です。絶叫部分もすばらしいけれど、細かい感情の動きもとてもよく表現されています。マスネーの美しい音楽とこの二人のたっぷりのアリアでオペラとしてはプッチーニのものより楽しめると私は思います。ロペス-コボスの指揮もマスネーの透明な感じのメロディをほんとに美しく演奏していて、見始めたら席を立てないお勧めのDVDです。
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by dognorah | 2006-01-23 19:35 | DVD

ヴァイオリンとピアノのリサイタル(1月20日)

ヴァイオリン:Leonard Schreiber
ピアノ:Siu Chui Li

曲目
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ K301
ドビュッシー:ヴァイオリンソナタ ニ短調
ショスタコーヴィッチ:4つのピアノ前奏曲(アレンジしたもの)
サラサーテ:チゴイネルヴァイゼン

St James Church (Piccadilly)におけるランチタイムコンサートです。
c0057725_2052447.jpgヴァイオリンのシュライバーはベルギー生れの22歳、8歳のときにブリュッセルで開催されたベリオコンクールで決勝に残り、11歳のときにはオランダのマーストリヒトで開催された国際ヴァイオリンコンクールで優勝したという天才少年です。その後15歳でイギリスに来てPurcell SchoolおよびRoyal College of Musicで教育を受けて、現在はRCMでPostgraduateに在籍しながら欧州中でコンサートを開いています。

ピアノのSiu Chui Liは恐らく韓国系の人でしょう。7歳よりピアノを習い始め、その後時を経ずしてRoyal College of Musicのジュニア部で学びます。そのあと彼女はGuildhall School of Music and Dramaに進み、さらにその後再びRCMに戻って腕を磨くという経歴です。シュライバー同様主に欧州でソロ、室内楽、伴奏の分野で幅広く活躍しています。スマートな体型の現代的美人です。

ヴァイオリンは特によく伸びる高音部が繊細で美しく並々ならぬ実力を感じさせます。時折中低音部が汚れるのが気になりますが。
モーツァルトではにこやかな表情で演奏し、ドビュッシーではしかめつらしい顔をするという具合に曲に対する姿勢がそのまま顔に現れる人で見ていて興味深いものがあります。そのドビュッシー、演奏レヴェルとしてはかなりのものです。細やかな表現といいメランコリックな雰囲気といいまさにドビュッシーを感じさせてくれる演奏でした。ピアノも確かなテクニックでいいバランスです。特にピチカートと合わせるところなど苦もなく速いテンポで完璧な決め方です。
サラサーテは堂に入ったもので自由闊達にテクニックを披露してくれました。ピアノとのアンサンブルもすばらしくお互いに見なくても阿吽の呼吸で力いっぱい弾き切るという感じで、若い二人の伸び伸びとしたアンサンブルの妙を見せてくれました。今後の活躍が楽しみです。
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by dognorah | 2006-01-22 20:07 | コンサート

ドビュッシー、ラヴェルの全ピアノ作品連続演奏会(4)

c0057725_21371851.jpg全6回のうちの4回目が1月19日に開催されました。
1回目に行った後2回目と3回目はパスしましたので私にとっては今日が2回目です。

ピアノ:Artur Pizarro(左の写真)
   ピアノはBlüthnerを使用。

曲目:1908年から1911年までの作品
ドビュッシー:Children’s corner
   :Le petit negre
   :La plus que lente
   :Hommage à Haydn
ラヴェル:Menuet sur le nom d’Haydn
   :Valses Nobles et Sentimentales
-----------------(休憩)-----------------
ドビュッシー:Préludes Livre I
ラヴェル:四手のためのソナタをアレンジしたもの(アンコール)

1回目のときに受けた印象は変わらず、遅めのテンポで一音一音をとても美しく奏でてダイナミズムはあまり追及しない演奏です。「子供の領分」ではそれが最大限に発揮されて、いとおしい娘を優しく愛情たっぷりに扱う感じがよく出ています。
二人の作曲家のハイドンにちなんだ曲を並べて弾きましたがその前の2曲と同様別にどうということはない曲です。
「高雅で感傷的なワルツ」はラヴェルのきらびやかさがたっぷり表現された演奏でやはりいい曲だなと思わせる出来だったと思います。

休憩後の「前奏曲集第1巻」は、私はミシェル・ベロフやミケランジェリの輪郭がカチッとしてダイナミックな表現に慣れ親しんできましたが、ピサロはこれまでの演奏から予想される通り、ここでも柔らかめのタッチで音の美しさを追求します。それでもドビュッシー、こういう路線があってもいいなという説得力があります。何も強制されるところがなく、それでいて退屈でもなくとにかく聴いていて心地よいのです。
1回目のときと同じく客の入りは半分程度ですが、多くはリピーターでしょう、私と同じく6回分が掲載されたプログラムを持参している人が多く、拍手は盛大でした。
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by dognorah | 2006-01-21 21:39 | コンサート

トランペットとオルガンのリサイタル(1月19日)

トランペット: James Fry
オルガン: Riccardo Bonci

トランペットのフライはオーストラリア生まれで、Royal Academy of Musicを卒業後、イギリスでオーケストラやブラスバンドで活躍している人です。
オルガンのボンチはイタリア生れの30歳、当初はイタリアで音楽教育を受けましたが、その後Royal Academy of MusicのPostgraduate courseを卒業し、欧州全域でソロや室内楽活動をしています。

曲目
Charpentier:Te Deum Prelude
Hovahness:Sonata
Bach:Concerto in A minor after Vivaldi BWV593(オルガン独奏)
Hovahness:Prayer of St. Gregory
Messiaen:Offerande et alleluja finale(オルガン独奏)
Brahms:Es ist ein Ros’ entprungen(オルガン独奏)
Eben:Okna (Windows)、Red and Gold Windowsのみ。

この二つの楽器の組み合わせによる曲が珍しいし、会場のハイドパークチャペルのオルガンを聴きたいと常々思っていたこともあって楽しみにしていました。
コンサートは、トランペットがとても上手で微妙なニュアンスも苦もなく表現するテクニックに感心しました。
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オルガンは上の写真に示すように伝統的な教会とは違うせいか近代的で珍しいパイプ配置ですが、残念ながら音質はあまりよくありません。ちょっと薄っぺらい音で、腹に響く重低音は期待できません。演奏後にオルガン奏者に楽器の評価を聞いてみましたが、楽器そのものはなかなかよいけれどメンテ不足と会場がかなりデッドであることから特定音域でちょっと奇妙な音になるんだ、といっていました。それにもかかわらず、メシアンのオルガン独奏曲はとてもすばらしいと思いました。楽器の持つ可能性をとことん引き出すような曲で、オルガンでもこんな近代音楽にふさわしい音が出せるんだということにまず感心。それでいてオルガンが持つ本来の魅力も備えています。

トランペットとオルガンの二重奏は、アメリカの作曲家ホヴァーネスの作品とチェコの作曲家イーベンの作品が面白いと思いました。
このイーベンのものはエルサレムのヘブライ大学にあるシャガールの12枚のステンドグラスから啓示を受けて作曲されたもので、それらを青、緑、赤、金の4つのグループにくくって4部構成になっています。演奏前にそのステンドグラスの写真を回覧して見せてくれました。参考までに12枚のうちから各色4枚を選んで写真に示します。
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なお、溺死した少女が生前にこれを見て感動したエピソードを聞いてシャガールがイギリスの教会のために製作したものを見学したときの記事がありますので興味がある方は参照してください。
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by dognorah | 2006-01-20 20:59 | コンサート

セヴィリアの理髪師公演(2回目)1月18日

ロンドンは暖かく、夜でも気温が12度くらいあり、コートなしで出かけることが出来ました。
今夜の公演は昨年12月19日から始まったこのオペラの最終日でした。
キャストは前回の報告で記した人たちとほぼ同じですが、唯一変わったのが指揮者です。マーク・エルダーの代わりにロリー・マクドナルド(Rory Macdonald)というROHのYoung Artists Programmeに参加している若手です。ケンブリッジ大学を出て指揮者の道を歩んでいる変り種ですが国際的な活動の場でいろいろな有名指揮者のアシスタントを務めてきたり、グラインドボーンオペラの巡回公演を振ったりしており、今はマーク・エルダーのもとでアシスタントを務めています。
出てきてすぐの序曲では、ちょっとヴィヴィッドさが足りないもたもた演奏でしたが時間の経過と共に落ち着いてきたのか調子に乗ってきて、軽快なロッシーニを爽やかに楽しく振りおおせました。これが彼のロイヤルオペラデビューだったわけですが、期待の若手指揮者ということでカーテンコールでは大拍手と声援を貰っていました。

歌手陣のほうは今日は全員が調子よく、演技の方も散々やった後なので余裕で軽快な動きです。前半は調子が悪かったり病気でキャンセルしたりと問題児だったアルマヴィーヴァ伯爵のトビー・スペンスも今日は実力を発揮です。バルトロ博士のブルーノ・プラティコとドン・バジリオのレイモンド・アセートはますます調子付いて、大きな声量で心地よい歌を歌ってくれました。ロジーナのジョイス・ディドナートは見れば見るほど、聴けば聴くほど魅力的なメゾ・ソプラノであることを今日も再認識しました。つい二日前にウイグモアホールでランチタイムコンサートをやったのをラジオ録音で聴きましたが、それもすばらしい出来でその場に聴きに行けなかったのがとても残念です。

c0057725_1453214.jpgということで、今回は大満足の公演で締めくくることが出来たというわけです。さすがに舞台装置はは何度も見ると飽き飽きしてきて満点をあげることは出来ませんが。最終日まで酷使された床の自動開閉装置はかなりひどいきしみ音を立てていましたね。
写真はカーテンコールに応える若手指揮者マクドナルドとディドナートです。
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by dognorah | 2006-01-20 01:48 | オペラ

テノールリサイタル(1月16日)

ROHのCrush Roomにて、Young Artistsのロバート・マレーによるリサイタルを聴いてきました。

テノール:Robert Murray
ピアノ:David Gowland

曲目
シューマン:歌曲集「詩人の恋」(Dichterliebe)
R・シュトラウス:4つの歌曲作品31から3曲
   Blauer Sommer
   Wenn….
   Stiller Gang
バーバー:歌曲集「過ぎゆきしものの歌」(Mélodies passagères)
モーツァルト:歌曲?(アンコール)

ロバート・マレーは1976年生まれのイギリス人で、ROHの若手育成プログラムJette Parker Young Artists Programmeに参加しています。昨年ここで「美しき水車小屋の娘」を歌ったことは記事にしました。
そのときも大変よかった印象がありますが、今日も細やかな表現を交えてしっかり歌ってくれました。声も私の好きな柔らかく伸びのあるもので、とても楽しませてもらいました。前回は水車小屋を休憩なしで歌いきってタフさを見せてくれましたが、今日も元気いっぱいの健康優良児をアピール。明るくて親しみの持てる人です。
最初の2曲がドイツ語で、3曲目がフランス語です。私の聴いた限りでは特に発音的に問題なかったと思いますが、シュトラウスの曲で一部歌詞にフォローできない部分があり、専門的にはよくわかりません。ドイツ語に関してはご一緒したSardanapalusさんからコメントがあるかもしれません。

プログラムは「詩人の恋」が最後だったのを最初に持ってくるように変更されましたが、その方が激しい表現のシュトラウスをより叙情的な曲でサンドイッチする形になってよかったと思います。

ピアノのゴーランドは、上に述べたYoung Artists Programmeで若手歌手たちをびしばし鍛える先生の立場にある人なので歌手との呼吸もぴったりです。

彼は今のところオペラのステージでは端役とアンダースタディばかりですが、少しは長く歌う役をやってもらいたいものです。魔笛のタミーノ役を代役で歌ったことがあるようですが、評判はどうだったのでしょう。もっとも、それが特段によかったならば既に重要な役を貰っているでしょうけど。
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by dognorah | 2006-01-17 04:28 | コンサート