<   2005年 06月 ( 27 )   > この月の画像一覧

Frida Kahlo展 – Tate Modern

Tate Modern美術館で開催中の美術展に行ってきました。
c0057725_4415353.jpg彼女は1907年生まれで1954年に若くして亡くなったメキシコの画家です。母親はインディオの血を引く混血、父親はドイツ人です。この複雑な混血によって彼女は生涯を通じて自分のアイデンティティに真剣に悩むところがあります。ハイティーンの時には乗っていたバスと市電が衝突して重傷を負い、生死をさまよう体験をします。しかしベッドに臥せって時間をもてあましたときに絵を描き始めましたので、それは彼女の人生を決めた出来事になったのです。後年結婚しますが、流産とか、夫が自分の妹を含む複数の女性と関係を持ったことから離婚を経験します。このようないろいろなトラウマ的出来事が彼女の作品に影を映しますが、その事情を知るものには大変わかりやすい絵になっています。インディオあるいはメキシコ土着文明からは神を含むすべての現象、生命の根源は太陽であり、滅亡と再生産もそれに依存していることを強く認識していました。西欧の血からは合理的な思想を受け継ぐものの今一のめり込めないところがあったようです。セックスに対する関心も高く植物や果物を描く場面でもそれが強く感じられる作品も多いように思います。そういった諸々の思想を人物画や、静物画など多彩のテーマで表現していった特異な作家というところでしょう。それが死後50年以上たった今彼女の業績が見直されてこの展覧会となりました。見ていて気持ちのいい絵ではありませんが、強烈な個性を感じました。
写真は展示されていたものの中から任意に3枚を選んだものです。
[PR]
by dognorah | 2005-06-30 04:44 | 美術

ロイヤルオペラのランチタイムコンサート

6月27日開催。
c0057725_133833.gif(1) フルート独奏
フルート:Timothy Kipling(左の写真)
ピアノ:Mark Packwood

このフルーティストはイギリスを中心に活躍している中堅の独奏者である。
ピアノ伴奏者は、ソプラノのゲオルギューやテノールのホロストフスキーなどのリサイタルで伴奏を受け持つ人である。

プログラムは、
 Richard Rodney Bennett (1936- )作曲:Summer Music
 Cecile Chaminade (1857-1944)作曲:Concertino
曲は可もなし不可もなしというところだが、音楽としては十分楽しめた。フルートはベテランという感じで美しい音色を聞かせてくれた。

c0057725_1372496.jpg(2) バリトン独唱
バリトン:Jared Holt(左の写真)
ピアノ:Mark Packwood
このバリトンはニュージーランド生まれで、Royal College of Musicを出たあとVilar Young Artists Programmeに参加、来月でそれも終了する。端役ばっかりとはいえすでに何回もロイヤルオペラの舞台で歌っており、私もこれまで4-5回聴いている。今後の活躍が期待される。

プログラムは、
 Gustav Mahler (1860-1911):亡き子を偲ぶ歌
この悲しい内容の歌を今にも泣き出しそうな表情で心を込めて歌って、感動を与えてくれた。ちょっと小柄な人だが声は朗々と美しく響く。
[PR]
by dognorah | 2005-06-29 01:37 | コンサート

岡田博美ピアノリサイタル – 6月27日

Wigmore Hallで開催されたリサイタルを聴きました。
プログラムは、
 ベートーベン:ピアノソナタ 嬰ハ短調 Op.27-2 月光
 ベートーベン:ピアノソナタ ハ長調 Op.53 ワルトシュタイン
  (休憩)
 ドビュッシー:エチュード 第1巻と第2巻

c0057725_21192071.jpgすべての曲でとても楽しめました。
月光というポピュラーながらもめったに演奏会では取り上げられない曲、実演を聴いたのは初めてでした。彼の響かせる和音はとても美しく、ゆっくりしたテンポで奏でられる第1楽章から聞き手の心をしっかりと掴みます。第2楽章も含めてかなり短い曲ですがゆっくりしたテンポにもかかわらず更に短く感じてしまい、ああもう終わりかと残念がらせるところがあります。第3楽章の怒涛のような楽想で初めて華麗な指捌きが聴けるわけですがフォルテの各和音がきちんと弾かれながらも荒れ狂う波のよう情景がしっかりと描き出され、苦悩するような心の内面が伝わってきます。

ワルトシュタインは過去に何度か聴いたことはありますが、好きな曲でもあり今回も最初から曲にのめりこむことが出来ました。非常にダイナミックな演奏でありながら情感たっぷりで、しっかりベートーベンを聴いたという満足感が得られました。

最後のドビュッシーは、死の3年前に発表された作品で、これも演奏会で取り上げられるのは珍しいのではないかと思います。私は、内田光子さんが1989年に録音したCDを持っていますが、私の数あるドビュッシーのCDコレクションの中ではかける頻度は少なく、地味な存在ではあります。内田光子さん自身の解説によりますと、この曲はショパンのエチュードとは全く違った目的で書かれたもので、練習曲としてピアニストに供されたと言うよりも、作曲家自身の20世紀音楽の新しい道への練習であったようです。この曲が完成される6年前に発表されたシェーンベルクの作品11の無調音楽に影響されたらしい。
調べてみると岡田さん自身も1997年にこれを録音していますので、もう得意曲のひとつなのでしょう。落ち着いてドビュッシーらしからぬ、しかしどことなくドビュッシーを感じさせる曲であり演奏でした。内田さんによると、この曲は古典的な曲のように左手が右手の伴奏的な動きをするのではなく、左手も右手と同様な難度を要求されるそうですが、もちろんそういうことは微塵も感じさせない演奏でした。

今回初めて存在を知った岡田さんは40代半ばぐらいの年齢と思われますが、落ち着いた演奏態度で安心して音楽に没頭させてくれる人でした。ロンドン在住とのことで今後も聴けるチャンスは多くありそうで楽しみです。
[PR]
by dognorah | 2005-06-28 21:21 | コンサート

ウインブルドンテニストーナメント(2)

今日は中日の日曜で試合はお休みです。この1週間TVでいろいろな試合を楽しませてもらいましたが、その感想などを述べてみたいと思います。

男子第1シードのフェデラーはここまであまり危なげなく勝ち進んでいます。でも圧倒的に強いという印象はそれほど持っていません。彼はあのレベルですから昨年よりうまくなったかどうかは微妙。それに比べてランクの下の方の人は確実に実力を上げているので、その差は縮まっている印象です。でもやはり優勝候補の筆頭でしょう。エラーの数はそれほど少なくないのですが、スーパーショットの頻度はやはりかなりのもので、相変わらず見ていて気持ちがいいです。

第2シードのロディックも昨年と比べて成長している節は見えません。むしろサービスの速さでは昨年より落ちている感じです。昨年は最高時速146マイル(234km)付近をばんばん出して我々を驚かせたものですが、今年はせいぜい130マイル台です。じゃあストロークがより安定したかというとそうでもなく、2回戦で対戦したイタリアのブラッチアリが同程度のサービスを連発して力強いストロークで攻めてきたときは負けるんじゃないかと思ったくらいです。主催側もまさかフルセットになるとは思わなかったみたいで、時間の読みを誤って日没中断にまでなってしまった。二日にわたったとはいえ、この試合はすごく面白かった。とてもエキサイティングでしたね。

第3シードのヒューイットはまあ順調に来ているので往年の力を取り戻しつつあるようです。このまま勝ち続けて準決勝でフェデラーと対戦するでしょう。これは楽しみです。

第4シードの全仏覇者ナダルはあっさりと2回戦負けで、本人が戦前に語っていたようにやはりローンコートはかなり不得意なのでしょう。

第5シードのサフィンは意外にもスペイン人のロペスに負けてしまいました。しかしこの試合でのロペスは絶好調で、4回戦で当たるアンチッチも戦々恐々でしょう。同国人のナダルが観客席からこの試合を見ていましたが、「なるほど、ローンではああするのか」といったかどうかは不明ですが、かなり先輩の試合を感嘆して見ていました。

第6シードはわれらがイギリスの英雄ヘンマンだったのですが、今の実力からするとまあ順当負けでしょう。第6シードにしたのは主催側の贔屓であることはみんな知っています。

ということで、月曜からの4回戦は、
   (1)フェデラー対フェレーロ
   (2)ゴンザレス対ユーズニ
   (3)ヒューイット対デント
   (4)アンチッチ対ロペス
   (5)ミルニー対ヨハンソン
   (6)ナルバンディアン対ガスケ
   (7)トゥルスノフ対グロジャン
   (8)コリア対ロディック
となります。この中の(5)と(6)の中の4人から誰が準決勝まで進むか、私は彼らを全くウオッチしていなかったので全然予想がつきません。シードの順位からするとヨハンソンが一番上なのですが。

ところで、25日の土曜日はロンドンへのオリンピック誘致活動の一環としてそれに協力的なオリンピックメダリストなど数十人を招待してセンターコートで見てもらうというイベントがありました。招待客の中にはかつてのアメリカのテニス女王ビリー・ジーン・キングや俳優のショーン・コネリーもおり、最後まで試合を楽しんでいました。特にショーン・コネリーは同じスコットランド人のマレイという18歳のホープを声を上げながら応援していましたね。残念ながらフルセットの末逆転負けしてしまいましたが。これでイギリス勢は全滅です。

女子の方は4回戦の組み合わせは、
   (1)ダヴェンポート対クライシュテルズ
   (2)マレーヴァ対クズネツォワ
   (3)モーレズモ対リコフツェワ
   (4)ミスキナ対デメンティエワ
   (5)ペンネッタ対ピアス
   (6)ウイリアムス対クレイバス
   (7)ペトロワ対ペシュケ
   (8)デシー対シャラポワ
この中では(1)の試合が見ものですね。クライシュテルズが大分復調していますから。でもダヴェンポートにはかなわないかな。
あと、(6)が興味津々です。クレイバスの昨日セリーナ・ウイリアムスを倒しているので姉妹退治がなるかどうかです。あの試合はほんとに面白かった。野獣のように吼えたり悲鳴を上げたりしながらばしんばしん打つセリーナに対して全く表情を変えず黙々と、時には私は何でこんなつまらないことをしているんだろう、みたいな顔をしながら、すごいプレースメントを連発した31歳のクレイバスに感嘆しました。曇天の上8時半を過ぎてかなり暗くなっていたので明日に延期しましょうみたいなことを審判に訴えていたけれど、続けてプレーしてよかったね。2セット連取して(2セット目はタイブレーク)勝ったら初めて笑顔を見せて小躍りして喜んでいました。
[PR]
by dognorah | 2005-06-27 08:04 | テニス

ピアノコンサート – 6月23日

ハイドパークチャペルでのランチタイムコンサートである。

今日のピアノ演奏者は、
 Diana Dumlavwalla
というインド系のカナダ人女性。昨年カナダの大学を出てからロンドンに来て、現在はRoyal College of Musicのマスターコースに在籍している。

プログラム
(1)J. S. Bach (1685-1750)   Toccata, Adagio and Fugue BWV564
  (Busoni 編曲)
(2)Alexina Louie (1949- )   Scenes from a Jade Terrace
                 Warrior
                 Memories of an Ancient Garden
                 Southern Sky
(3)Robert Schumann (1810-1856)  Carnaval全曲

いいプログラムだと思う。バッハは最初ちょっと調子が出なかったがすぐにバッハらしい豊かな音楽を弾き始めた。

2番目の曲は、カナダの中国系作曲家の作品である。カナダではかなりポピュラーな存在らしい。作品は、現代音楽らしい鋭い音が随所に散りばめられながらも情景を髣髴とさせる音で佳作である。通常の鍵盤による音と、弦を手でなぞる音、あるいは弦を押さえて鍵盤を打つ音などが混じっているが、違和感なく必然性を感じさせる。ダイアナさんは生き生きと演奏して、曲に対する共感を十分に表現していた。本日一番楽しめた曲である。彼女は大学で開催された現代ピアノ音楽コンクールで入賞したらしいが、なるほどという感じである。

休憩後弾いたシューマンのカーナヴァルは訥々と音をつむぎ、詩情豊かな演奏。非常にテクニックがあるという人ではないけれどとても好感が持てる。
[PR]
by dognorah | 2005-06-24 08:21 | コンサート

ウインブルドンテニストーナメント

6月20日から今年のウインブルドンテニストーナメントが始まったので雑感を少し述べてみよう。

今のところ例年になく上天気で、少なくとも今週は日程の消化が捗りそうだ。ちょっと暑すぎる嫌いがあるくらい。これが開催されるテニスコートはなだらかな起伏の中とはいえ谷底にあり、盆地効果でウインブルドンの他地域よりより暑い。私はそこから徒歩10分程度の高台に住んでいるが、体感的に温度は2-3度違う。

さて、この大会、なぜか年々人気が上昇しているようで、なかなか入場が難しい。個人の場合は前売り入場券は前年の12月末までに郵便で申し込んで、ゲットする。売り出す切符の枚数に比べて希望者が多いので切符の割り当てはテニスクラブ側が何らかの方法でやる。抽選とは書いていない。すべてクラブにお任せなのだ。当たったとしても、どの日のどのコートになるか、希望など一切聞いてもらえない。完全なあてがいぶちで、1回戦のこともあれば決勝戦のこともあるようだ。気に食わなければお金の払い込みをしなければいい、というシステムである。

TVで、センターコートのサイドで真ん中辺のいい席がずらっと空席、というのをご覧になったことはないだろうか。実はあれ、企業が接待用に買い占めたものなのだ。接待相手に切符を贈ったけれど、来なかったというやつ。私が企業に勤めていた頃、こういう席を斡旋する会社から顧客用にひとついかがですか?と売り込みをかけられたことがある。数年前だが相場は一席あたり£700(約14万円)。確かクラブ内での食事とワインつき。このテニスクラブ、なかなかの商売熱心なのだ。

私の場合は今年の割り当ては外れた。そういう場合は当日券を求めて行列すればよいのだが、これがまた大変な行列で、午前中に行くと炎天下を延々と1キロ以上並ぶことになるだろう。センターコートなど希望者が多いので切符売り場に到達しても買えないことが多く、大抵は第3コート以下のマイナーコートを自由に見れる切符で我慢することになる。
c0057725_18362253.jpg

午後5時を過ぎると切符の値段は下がるので、それを目当てに行列の数は減らない。写真は大会が始まってまだ3日目の22日午後6時ごろ撮ったものである。撮った地点は切符売り場から200メートルくらい離れたところである。丘の上の先は見えないが、確かめたところさらに300メートルは続いていた。

昨年は、前半は雨が多く、試合の消化が捗らず、やむを得ず中日の日曜も急遽試合を決行することになった。その決定は前日だったので、すべての席を先着順で売り出すことになり、大勢の人がセンターコートに入れた。私も地の利を生かし、早朝から行列して簡単にセンターコートに入ることが出来た。フェデラー、ヘンマン、セリーナ・ウイリアムスなどを目の前で見た。フェデラーのテニスを見て感じたことだが、昔東京で見たプロ選手のテニスよりさらに技術的に発展している。スピードと玉のコントロールの度合いが違う。だからローンコートとはいえ最近は昔ほどサーブアンドボレーが通用しない。とにかくそれで彼に魅せられて、今でも応援している。

今年は天気がよすぎる。日曜は通常のごとくゲームはお休みだろうから私に見るチャンスはない。こういうときはTVで我慢だ。BBCはこのイベントには並々ならぬ力を注ぐ。従来のTV放送でも二つのチャンネルを使って同時に二つの試合を中継することもある。しかし、地上波デジタル放送ではもっとサービスがよくて、全時間帯で3つの試合を同時に中継する。テレテキストと連動させて特殊なメニューを表示し、対戦する選手名でその試合を選択できるのだ。これはBBCにとっても便利だ。メジャーな試合二つと、イギリス人選手が登場するマイナーな試合ひとつを組み合わせて、幅広く視聴者の要望に応えることができるというものだ。

女子は私の好きなジュスティーヌ・エナン・アーデンが1回戦で負けてしまってがっかりだ。日本選手も全滅してしまったし。昨年はシャラポアが杉山に勝ってからは彼女を応援していたけれど、今年はもう鼻持ちならないので応援はやめた。あの若さで金を稼ぎすぎてちょっと精神が異常だ。昨日か今日か忘れたが、BBCのインタヴューに出て、インタヴュアーが話している最中に携帯に入ったテキストを見てげらげら笑っている。インタヴュアーも頭にきて「She is a crazy girl!」と毒づいていた。

ウインブルドンでは、ひとつ何とかしてほしいものがある。審判の誤審だ。フレンチオープンはコートの性質上すべての人が納得する判定が可能で、事実疑わしいときは審判がボールの跡を見に行ってから判定している。その大会の後にローンコートの試合だ。余計誤審が目立つ。人間の目での判定など100%正確にはできないことは誰でも知っている。テニスクラブ側が開発したフォールト判定のピーッと鳴るシステムも鳴ったり鳴らなかったりで信頼性は今一だ。ところがBBCの開発したボールの正確な軌跡の映像化でビデオ判定が可能になっているのである。TVでそれを視聴者に披露して誤審の多さを印象付けている。にもかかわらず、主催側はかたくなにそのような技術の採用を拒否している。保守的な日本の大相撲でさえ物言いがつくとビデオでの判定結果が参考にされているのに。ひとつの誤審で一生懸命プレーしていた選手がプッツンしてそれ以降の試合が面白くなくなる例があって、金を出して見ている方はたまらない。
[PR]
by dognorah | 2005-06-23 18:37 | テニス

「Music of Today」コンサート – 6月21日

恒例のフィルハーモニア管弦楽団による現代音楽普及のためのイベントである。会場はロイヤルフェスティヴァルホール。この催しは1年を通じて開催されるが、今日が今シーズンの最後で、特別にイギリスの各音楽学校に在籍している若い作曲家たちの作品を取り上げた。これは半年ぐらい前から準備されていたもので、各作曲家にアンデルセンの童話のどれかからイメージして作曲すること、というルールを与えて芸術監督のJulian Andersonと今日の指揮者Alexander Brigerと共に綿密な打ち合わせの結果開催にこぎつけたものである。4人の作曲家が選ばれたが、すべてヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、フルート1、クラリネット1、ハープ1という楽器構成だったのでそれもルールであったのだろう。

作曲家は次の通り。
(1) Jean-Baptiste Robin (1976- )
パリのコンセルヴァロワールで学んだ後、現在はロンドンのKing’s Collegeに在学中。選んだテーマは「Reflected Faces」
(2) Llwelyn ap Myrddin (1980- )
最初物理学を専攻していたが後に作曲家になることを決意、現在はロンドンのGuildhall School of Music and Dramaに在学中。テーマは「The Nightingale」
(3) Dobrinka Tabakova (1980- )
ブルガリア生まれ。Guildhall School of Music and Dramaを卒業後、King’s Collegeに在学中。テーマは同じく「The Nightingale」
(4) John Douglas Templeton (1982- )
スコットランド生まれ。現在はRoyal Academy of Musicに在学中。テーマは「On Myths of Travel & Broken Snow」

各曲とも5-10分程度の短い作品である。まとめて感想を述べると、現代の音であるのはもちろんだけれど現代音楽の範疇では特に異端的なものはなく、すべてあるイメージを湧かせてくれる作品に仕上がっている。その分非常に個性的な作品というのはなかった気がする。選ぶ側の趣味も出ているとは思うが。
[PR]
by dognorah | 2005-06-23 01:29 | コンサート

オペラ「リゴレット」- 6月21日ロイヤルオペラ

ロイヤルオペラハウスで現在上演中のものを観てきました。同じプロダクションを実は3年半前(2001年)に一度見たのですが、そのときはクリスティーネ・シェーファーがジルダを歌いました。その公演はタイトルロールのパオロ・ガヴァネルリやマントヴァ公を演じたマルチェロ・アルヴァレスも含めてとてもよかったので、その後何度か行われた再演も無視してきました。ところが、今回、今人気のアンナ・ネトレプコがジルダを歌うというのでもう一度行こうという気になったわけです。

キャスト
Rioletto: Paolo Gavanelli
Gilda: Anna Netrebko
Duke of Mantova: Piotr Beczala
Sparafucile: Eric Halfvarson
Maddarena: Marina Domashenko
Giovanna: Elizabeth Sikora
Monterone: Giovan Battista Parodi
Count Ceprano: Graeme Broadbent
Marullo: Damian Thantrey
Borsa: Rebert Murray

Conductor: Edward Downes
Director: David McVicar
Set Designs: Michael Vale
Costume Designs: Tanya McCallin
Lighting: Paule Constable
Choreography: Leah Hausman

結果は、行って大正解。すばらしい公演でした。特に初めて聴いたアンナ・ネトレプコは深い感銘を受けました。シェーファーももちろんいいのですが、絹のような感じでちょっと線が細い印象がありました。それがネトレプコの場合はビロードのような美声で、最高音部への過程で一部かすれる場面もありましたが朗々と余裕で出し切る感じがとても気持ちよく、うっとりとした次第です。タイプとしては4月19日の記事で紹介した「仮面舞踏会」のアメリア役をやったカリタ・マッティラの声と似ている感じがします。かなりの美形ですが顔立ちがちょっとアジアの血が入っている感じですね。

今回のリゴレット役は私が前回聴いたのと同じガヴァネルリですが、なんか一段とうまくなっている印象を受けました。とても快調に飛ばしていて、第1幕第2場や第2幕最後のジルダとの2重奏は聞き応え十分でした。マントヴァ公のベクザラはハンサム度においてアルヴァレスに譲るものの、より厚みがあってフレキシブルな声で十分対抗できる歌唱です。はっきり前回よりよかった人はマッダレーナ役のマリーナ・ドマシェンコです。容姿が魅力的なのも役柄に説得力があります。第3幕の4重奏はすばらしかった。
しかしキャストを見ているとロシア系の歌手が席巻していますね。オペラ界はテニスと同じ現象か。

ダウンズの指揮ももうお手の物で、劇的でテンポもいいし取るべきところできちんと間を取っているし、ほんとに安心して聞いていられる指揮振りです。
c0057725_1021724.jpg

写真はアンコールに応える出演者ですが、第3幕の出演者だけが舞台に出ています。

この日の公演は同時中継で劇場の外にしつらえられた大画面で映され、一般に無料で公開されました。次の写真はそれを見るために集まった人たちで、休憩時間にオペラ座のベランダから撮影したものです。スクリーンはベランダの下にあるのでここには映っていません。これはBPがスポンサーになって実現したもので年に何回か開催されます。
c0057725_1025992.jpg

[PR]
by dognorah | 2005-06-22 10:04 | オペラ

リコーダーとピアノの演奏会

本日のロイヤルオペラハウスのランチタイムコンサートは珍しくリコーダーという楽器の登場である。しばらく歌のプログラムが続いていたので閑話休題というところ。
この楽器は主にバロック音楽など古い音楽でよく出てくるものだが、今日のプログラムで現代の作曲家でも無視していないことを学んだ次第。

c0057725_271388.jpg演奏者
 リコーダー:John Turner(左の写真)
  イギリスにおけるリコーダーの指導者的存在らしい。ほとんどの室内管弦楽団と共演している。見たところ60歳ぐらいのベテラン。
 ピアノ:Stephen Bettaney
  伴奏、室内楽、コーチとして活躍中で50歳ぐらいの人。

プログラム
 John Parry(1776-1851):Nightingale Rondo for recorder and piano
 Alan Rawsthorne(1905-1971):Suite for recorder and piano
                Four bagatelles for piano solo
Chistopher Ball(1936- ):From the Hebrides. Suite for recorder and piano
 Edward Gregson(1945- ):Romance for recorder and piano
 Anthony Hedges(1931- ):Three concert miniatures

最初と2番目の曲は、よくバロック音楽で聴くような音色とメロディで、やや退屈に感じてしまった。楽器の音も特に魅力的とはいえないし。
ところが3番目のBallの曲はかなり近代的で、楽器の出す音のレンジも広くて鋭いし、ピアノがころころとつぶらだちよく鳴って美しく、バロック嫌いな私でもすごく楽しめた。演奏終了後会場に来ていた作曲家も立って一緒に挨拶。
4曲目のGregsonも同様で、現代の音が主役だ。ピアノの音もより先鋭である。これもよい。やはり作曲家が演奏後に挨拶した。
最後の曲はちょっと時代が戻る感じではあるが、リコーダーという楽器にすっかり慣れ親しんだ我々聴衆はその音楽を堪能した。終了後は声を出しての大拍手で、Turner氏は地味な楽器でも十分楽しい音楽を提供できることを示してくれた。

よく知らなかったが、リコーダーというのは随分種類があって、彼はそれをとっかえひっかえしながら演奏していた。一番大きいのはクラリネットぐらいのボリュームがある。他の楽器に比べて1種類では出せる音のレンジが狭いのでそういう風に発達したものと見える。その辺が近代的なメジャー作品では使われなくなった理由か。
[PR]
by dognorah | 2005-06-21 02:08 | コンサート

藤田めぐみピアノリサイタル

6月9日の記事で紹介した上原彩子さんのリサイタルと同じWigmore Hallで19日に開催され、30度を超える暑さの中行ってきました。今回はピアノはSteinway & Sonsでした。ヤマハほどひどくなかったがピアノはやはり指紋や掌紋だらけなのでホールのピアノってみんなこんなものなんでしょうか。

c0057725_1902854.jpg彼女は内田光子さんと同様お父さんが外交官のため海外で生まれて海外で育ったという経歴です。最後はイギリスのRoyal College of Musicで学びそれ以来イギリスを拠点に演奏活動をしています。妹さん二人がヴァイオリンとチェロを弾くのでトリオを組んで室内楽の活動もしています。年齢は発表がないので正確なことはわかりませんが、昨日見たところでは30歳過ぎでしょうか。舞台での挨拶は丁寧で好感が持てます。上原さんほどの知名度がないせいか、700席程度の会場は約60%ぐらいの入り(上原さんのときは80%ぐらい)でした。この差は恐らく日本人聴衆の数の差ですね。

プログラムは、ラフマニノフの前奏曲集全24曲でした。前半は作品3と作品23を合わせた11曲、休憩を挟んで後半は作品32の13曲です。
私はじっくりこれらの曲を聴いたことがないのでほぼ初めて全曲を聴いたようなものなので曲の解釈がどうのなんて話は出来ませんが、彼女の醸す音はとても美しくロシア的な雰囲気もよく出ていて演奏はとても楽しめました。会場の拍手も盛大だったので皆さんも同じように感銘を受けたものと思います。

彼女はこの曲のCDを出していて、会場ロビーで売っていましたので帰りに買って帰りました。CDを買うのは久しぶりです。
[PR]
by dognorah | 2005-06-20 19:01 | コンサート