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ブラームス交響曲第2番(クライバーのDVDから)

c0057725_8264895.jpgカルロス・クライバー指揮ウイーンフィルの1991年の実演を記録したこのDVD、モーツアルトの交響曲第36番とカップリングされて販売されているものだが、故あってブラームスだけ視聴しての感想を。

この人の指揮では、オペラ「バラの騎士」のDVDを持っているが映像の主対象が指揮者ではないのであまり細かくは観察できない。

大変優雅な指揮の姿に影響されたのかもしれないが、一言で言ってすごく洗練された第2番である。この曲は、ちょっと古いけれどベーム指揮ベルリンフィルの演奏のように朴訥でドイツの田舎の風景を髣髴とさせるような演奏が好きであるが、都会的なクライバーも悪くない。

彼の指揮姿は見ていてとても楽しい。指揮棒の持ち方もフレーズに合わせて臨機応変、親指と人差し指と中指でつまんで振ることもあれば、小指と薬指で握って親指と人差し指で作る輪の中で微妙に方向を変えたり、はたまた指揮棒を逆に握って隠し、手で指揮したりと実に細かく発信するシグナルを変えている。両腕の動きもとても大きく多彩だし、表情も豊かで、オケのほうは演奏しやすかったのではないかと想像する。動作の大きい指揮にもかかわらず、指揮姿はとてもノーブルで見ているほうまでゆったりと音楽に浸れそうな感覚になる。これまでもカラヤンやストコフスキーなどが指揮する姿を捉えたDVDを紹介してきたが、オペラ以外の演奏会でも十分映像は楽しめることがわかったのでちょくちょく入手してみようと思う。
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by dognorah | 2005-05-31 08:28 | DVD

オペラDVD – サロメ

c0057725_024195.jpg1992年のコヴェントガーデン舞台のDVDである。
キャストは;
Salome: Maria Ewing
Jokanaan: Michael Devlin
Herod: Kenneth Riegel
Herodias: Gillian Knight
Narraboth: Robin Leggate
Conductor: Edward Downes
Stage Director: Peter Hall

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主役が全裸になったことで話題を呼び、その後の各地の公演ではみんなまじめに脱ぐようになったとかならないとか(^^; 

そういうことは抜きにしても、このサロメはすばらしい。演技、歌唱、管弦楽、舞台のすべてが高水準である。タイトルロールのマリア・ユーイングは、顔は余り私の好みではないが、体を張った鬼気迫る演技と歌、見事である。この当時42歳、贅肉のない美しい体だ。衣装を着けたままではわからないが。演出のピーター・ホールとはこの2年前まで夫婦関係だったらしい。

1992年といえば、私はロンドン郊外に住んでいたものの仕事で精一杯でとてもオペラを見ようという精神的余裕はなかった。こんなすばらしい公演をすぐそばでやっていたんだと思うと見なかったことはかなり残念だ。
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by dognorah | 2005-05-30 00:13 | DVD

ウエストミンスター寺院の夕べの祈り

c0057725_18523164.jpgWestminster Abbey(写真)でChoral Evensongという催物があり、ウエストミンスター合唱団とセント・ジェームズ・バロックというアンサンブルが出演するというので行ってみた。この中で音楽を聴くという機会はそれほど頻繁じゃないと思ったからだ。

出演者は、男声合唱団と少年合唱団、それに上記アンサンブルとオルガニストである。入場無料ですべての人に解放されていたが、用意された席の半分ぐらいしか埋まらなかった。赤いガウンのようなものを着た修道士たちが大勢取り仕切っていた。クラシック音楽を放送するBBCのRadio 3で生中継されるというので音楽イヴェントだと思っていたが、音楽の合間には聖書の一節を読むなど完全に宗教的儀式であった。聖書を読むときは起立させられたり、一緒に唱和させられたりで、聴衆も結構忙しい。

UKで最も格式の高いこの寺院、天井も思いっきり高く、さすがに音はよく響いて美しいアンサンブルであった。取り上げられた作曲家は、Bertani、Tomkins、Shutz、Monteverdi、Philips、Castello。

こういう場では男声合唱と少年合唱だけでなぜか女声合唱がない。大体教会付属の合唱団で、女声合唱団なんて聞いたことがない。少年合唱隊がその代わりをするものと見える。そういう環境だから昔から教会関係者には少年を性的対象者にするpedophileが多いんだろうなと思った次第。
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by dognorah | 2005-05-27 18:55 | 音楽

レイノルズ展

c0057725_9152897.jpgTate Britain美術館で開催中のJoshua Reynolds(1723-1792)特別展を見てきた。イギリスでは有名だが、世界美術史的にはあまり有名ではない肖像画家である。左の写真は1750年ごろローマで描いた自画像であるが(2001年にローマで発見された)、既に彼の画風と実力をはっきりと表した作品である。ここに見られる精緻な表現力と人物の顔に部分照明を当てたような画風は多少の出来不出来はあるにしても生涯変わらない。この自画像は特に精神力が充実しており、今回の100点近い展示品の中でも傑出した一枚である。
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by dognorah | 2005-05-27 09:17 | 美術

ロンドン室内管弦楽団演奏会

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London Chamber Orchestraの定例公演です。場所はSt John’s, Smith Squareのホールでした(写真左上)。1728年建立の美しく立派なバロック様式の教会だったのですが、第2次大戦中にドイツの空襲で一部破壊され、戦後復旧されたものです。内部の空間は大きいけれど(写真右上)、音楽ホールとしては小さいので室内楽や小編成オケ向きです。

演奏者
チェロ独奏:Natalie Clein
指揮:Christopher Warren-Green

プログラム
Tumbalalaika: Folk Song 51
Schubert: Overture in the Italian Style in C D590
Sibelius: Valse Triste op.44
Haydn: Cello Concerto in C
Mendelssohn: Symphony No.3 in A minor op.56 ‘Scottish’

最初のプログラムは、A Chance to Playというもともとは有名なヴァイオリニストのメニューヒンが始めたコンセプトで、小さな子供にオーケストラなどと一緒に演奏する機会を与えるものです。今日は5-6歳の子供が10人ほど登場し、子供サイズのヴァイオリンをオケと一緒に弾くものでした。普段の練習が功を奏してちゃんとまともな音で共演は成功。時間にして5分ぐらいですが、将来この子達の中から音楽家が育てば「5歳よりオーケストラと共演した」なんて文章が履歴のところに載るのでしょうか。

このプログラムに参加希望の子供は常時募集されており、この年齢から積極的に音楽教育を支援するプログラムが存在するのはさすがという感じです。

c0057725_8541781.jpgハイドンのチェロ協奏曲を弾いたナタリー・クラインさん(写真)は1977年生まれ、国際的にずいぶん活躍している方で、美しい音で洗練された演奏をしていましたが、ちょっと線が細い感じです。もう少し力強く、浪々と鳴らして欲しかったなあと思いました。

最後の「スコットランド交響曲」は室内管弦楽団とは思えない豊かな音でがっちりした構成の演奏でした。ヴァイオリンが6名ずつの12人、ヴィオラとチェロが3名ずつ、コントラバスが2名、木管と金管はそれぞれ2名ずつの編成です。小さなホールなので音量的には十分。演奏スタイルはきびきびと速めのテンポでしたが、私はこの曲に関してはうんとロマンティックに遅めのテンポで演奏されるのが好きです。クレンペラー指揮フィルハーモニアあたりが最高です(クレンペラー自身は自分の演奏はロマンティックなんかではないと言っていますが)。
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by dognorah | 2005-05-26 09:16 | コンサート

榎本明子さんのメゾソプラノの夕べ

「An Evening of Songs and Opera Arias」という催物がロンドンのSoho Japanというレストランで行われた。会場はYoshiaki Banという方のオリジナルローソクを使ったLightingディスプレーによって幻想的な雰囲気が醸し出されていた。レストランは定休日ながら飲み物はサーヴされ、榎本さんの呼びかけでワインなど頂きながらリラックスしたムードでプログラムが進行。大きなホールと違って、少人数でこの小さな空間を共有することで聴衆の皆さんと1対1に近いコミュニケーションを取って歌いたいというのが榎本さんの趣旨であった。

演奏者
メゾソプラノ:榎本明子
ピアノ:Annabel Thwaite

プログラムは、
ヘンデル作曲オペラXerxesより:Ombra Mai Fu (Largo)
グリュック作曲オペラOrfeo ed Euridiceより:Che Faro’ Senza Euridice
グラナドス作曲の歌曲:La Maja Dolorosa 1, 2, 3
Dominic Sewell作曲の歌曲:Songs of Memory
              Autumn
              Winter
              Spring
              Summer
マスネー作曲オペラWertherより:Va! Laisse couler mes larmes!
ヘンデル作曲オペラRinaldoより:Lascia Ch’io Pianga
日本の歌曲:宵待ち草、カラタチ、この道

盛大な拍手にこたえて、アンコールはイタリア歌曲(題は失念)とカルメンのハバネラ。

プログラムの中のDominic Sewell氏はイギリスの作曲家で、聴衆の一人として参加されていたが、榎本さんならびにピアノのThwaiteさんと密接に協力しながら歌曲を作曲しているという説明と共に今夜の曲についての簡単な説明があった。曲の順序はSpringから始まってWinterで終わるのだが、榎本さんが今の季節を考慮してこのように変えたのだろうとのこと。来年の3月にCadogan Hallでこの3人によるコンサートが開催されることも榎本さんより発表があった。
c0057725_21262688.jpg写真は終了後贈られた花束を抱えた榎本さん。
終了後は時間無制限の談笑が出演者を交えて始まる。旧知の方とは久しぶりの再会を喜び合い、新しい方とはまた違った話題で楽しい夜は更けていく。出演者の方々と、随時こういうすばらしい企画を演出されるレストランオーナー高木氏に感謝したい。
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by dognorah | 2005-05-24 21:27 | コンサート

ランチタイムソプラノリサイタル

ロイヤルオペラハウスのCrush Roomでのフリーコンサート。

今日の出演者
 Victoria Nava – ソプラノ
  ロイヤルオペラハウスの若い音楽家に対する支援プログラムであるVilar Young Artistsに所属しているが、この夏で卒業する。これまでロイヤルオペラではUnderstudyとして多くの役をマスターしてきた。主役の急病でアイーダなどを実際に歌ったことがある。30歳前後と思われる。

 David Gowland – ピアノ
  上記Vilar Young ArtistsのDirector of Musical Preparationで、彼女の先生に当たる。独奏者としても欧州各地で活躍しているとのこと。40歳ぐらいか。

プログラム 
ブリテン: 歌曲集On this island(5曲)
1. Let the florial music praise!
2. Now the leaves are falling fast
3. Seascape
4. Nocturne
5. As it is, plenty
 
リスト: 歌曲
1. Die Lorelei
2. Im Rhein, im schonen Strome
3. Ein Fichtenbaum steht eunsam
 
レスピーギ: 歌曲集 Deita silvane
1. I faumi
2. Musica in borto
3. Egle
4. Acqua
5. Crepuscolo

このソプラノはすごい。よく伸びる高音、ビロードのような滑らかな声、豊かな声量を誇る。英語、ドイツ語、イタリア語、どの歌を取っても表現力が豊かである。リストの歌曲はまるでオペラのように劇的であるが、彼女の歌に圧倒された。これから恐らく舞台に立つ機会が増えることだろう。活躍を期待したい。
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by dognorah | 2005-05-23 23:49 | コンサート

ボロディン弦楽四重奏団演奏会 (Wigmore Hall)

5月5日の記事でこの弦楽四重奏団のDVD鑑賞記を書きましたが、そのときに予告したロンドンでの演奏会に行ってきました。この団体の結成60周年とメンバーの精神的支柱であるチェロ奏者ベルリンスキー氏の80歳を記念して開催されたものです。本日唯一の演奏曲目の作曲者であるショスタコーヴィッチが亡くなってから30周年でもあります。

プログラム
 ショスタコーヴィッチ:弦楽四重奏曲第15番変ホ短調 Op.144

1曲のみの演奏なので開始時刻は夜の9時半でした。家で夕食を取ってから行けるのでこういう開始時間は大歓迎です。

この曲はショスタコーヴィッチが亡くなる1年前の1974年の作品で、最後の弦楽四重奏曲です。全部で7つの楽章がありますが、すべてAdagio(第6楽章はAdagio molto)指定です。曲全体を覆う暗い調子の故に、既に全身病に冒されていた彼は自分のためのレクイエムを書いたのだろうと言われています。あるとき彼は奏者に「第1楽章は空中のハエが死んで落っこちるように演奏しなさい。そうすればあまりの退屈さに聴衆は演奏会場から出て行く」と冗談を言っています。

その第1楽章、バッハの音楽の捧げ物の始まりのような緊迫した雰囲気で、しかしもっとゆっくりと弱く第1ヴァイオリンが開始、次いで第2ヴァイオリン、ヴィオラと続きます。今度はヴィオラから始まって第1ヴァイオリンまで。それが繰り返されしばらくしてようやくチェロが入って、やや雰囲気が変化するものの、上記ショスタコーヴィッチの予言が実現するかに見えます。

第2楽章以降はしかし、不協和音によるクレッシェンドが突然中断される形式の奏法が各楽器で繰り返されるなど、緊張感をみなぎらせながらも生き生きした雰囲気が醸し出されます。それは長続きすることはなく、続く各楽章も動と静が交互に表現されて最終楽章は息を引き取るような感覚が表現されて終了。この間約40分。切れ目なく演奏されるので楽章の判断がつきにくい。あらかじめアナウンスされていましたので、終了後は拍手なしです。メンバーが楽屋裏に引っ込んでややあってから拍手が起こり、通常のように聴衆の前に姿を現しました。

この曲、ベートーベンの第15番の第4楽章のような重々しさがあります。好きというわけではないですが、もう一度じっくり聴いてみたいという気はします。

チェロのベルリンスキーさん、DVDで見たとき以上に各メンバーに睨みを効かせている印象でした。80歳とは思えない元気さです。まだ当分現役で大丈夫でしょう。
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by dognorah | 2005-05-22 19:48 | コンサート

愛の妙薬 (L’elisir D’amore)

ドニゼッティのオペラDVDの感想である。
このビデオはちょっと古くて、1992年のリリース。
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出演者は、
 Kathleen Battle
 Luciano Pavarotti
 Juan Pons
 Enzo Dara
 James Levine指揮メトロポリタン
 John Copley演出

舞台はきわめてオーソドックス。メトロポリタンのビデオではよく見る学芸会風のベニヤに風景を描いた背景のものである。

c0057725_22503870.jpgレヴァインはいつものごとく手堅くまとめて楽しく仕上がっている。
パヴァロッティはやはりずば抜けている。衣装はダサいけれど歌唱は最高である。
バトルは、役にふさわしい可愛い容姿で演技もうまく、歌もうまい。高音部もきれいに出ている。しかしこの人の声量はどうなんだろう。私は実演を聴いたことがないので実際のところはわからないが、あまり余裕のある声の出方ではないように感じた。目一杯というところで、聴いていてもあまり歌唱にどっぷりとは浸れない。会場での拍手は暖かく大きいものであるけれど。
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by dognorah | 2005-05-21 22:52 | DVD

ソプラノとピアノの演奏会

今日のハイドパークチャペルのランチタイムコンサートは、ソプラノ独唱だけでなく伴奏ピアニストの独奏も間に挟むというちょっと変わった企画であった。歌曲の場合、ピアノ伴奏者はほんとに伴奏だけで終わるのがほとんどであるが、ピアニストの力量を知らせるにはこういうアイデアはいいかもしれない。

演奏者
 ソプラノ: Zoë Challenor
   12歳の頃からWelsh Nationak Operaで歌い、大学卒業後は各地の地方オペラやリサイタルをこなしている。20代前半と思われる。

 ピアノ: Seth Williams
   ドイツとロシアで学んだ後イギリスのRoyal Academy of Musicでピアノに磨きをかけている。見たところ30台前半か。

プログラムは、ミュージカルのポピュラー曲に始まり、シューベルトやドビュッシーの歌曲に続いてオペラのアリアで締めくくるものであった。ピアノ独奏曲は、ショパンの夜想曲嬰ハ短調とグラナドスのスペイン舞曲である。

ソプラノは全く飾り気がなく親しみを振りまく人で、もう歌うのが楽しくて仕方がないという立ち居振る舞い。聴くほうも最初からとても心が和む。高音部も不安なく出て音程もしっかりした人だ。今日のプログラムを見てもヘンデルからガーシュインまで幅広いレパートリーをこなしている。上背はあまりないが器量がよく性格もよさそうな人なので、結構出演依頼があるだろうという予感がする。

ピアニストは、テクニックはあるし、情感豊かなショパンだったし、私のレベルの聴衆を楽しませるには十分。独奏でまとまった曲を弾いたときにどの程度自分のメッセージを伝えられるかは今日の演奏だけではわからないけれど。

先週から始まってこのところ歌曲を聴くことが多い。来週月曜には昼と夜にも予定が入っている。その夜のコンサートをやる人から、「今は,再びゴールデン歌曲時代が来た」といわれているんですよ、と教えていただいた。

コンサートを終わってから歩いてすぐ近くのハロッズに行った。お目当ては野菜売り場。あった!フランス産ホワイトアスパラガス。今が旬のこれ、イギリスでは栽培されていません。イギリス人にはこれの味なんかわからないのです。したがって高級デパートでしかお目にかかれないのです。1キログラムの束でしか売っていなくて、ちょっと二人には多過ぎるなぁと思いましたが杞憂でした。半分をゆでて、残り半分はオリーブオイルをかけてグリルしました。半分食べて残りは明日に取っておこうと食べる前は思っていましたが、今日のお供の南アフリカ、Stellenbosch地域のシャルドネと共にあっという間にすべて胃袋に。この時期しかないということがおいしさを増幅させます。
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by dognorah | 2005-05-20 08:50 | コンサート