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カテゴリ:観光( 6 )

バーデン・バーデンにて

旅行日:2009年7月26-28日
ドイツの有名な温泉町を初めて訪問しました。

まず、交通に関する情報。
26日(日)はロンドン・スタンステッド空港を17時25分に発って現地に20時頃到着。そのライアン・エアーの到着に合わせたかのように20時15分発のバーデン・バーデンおよびカールスルーエ行きのバスがあります。
バーデン・バーデンまで所要30分ぐらいで到着。空港のインフォメーションで訊いたらそのバスをバーデン・バーデン列車駅で降りてそこからタクシーでホテルへ行けとのことなのでそうしましたが、後で知ったら何のことはないバスがホテル前(Festspielhaus駅)に停車するのでした。タクシー代を損してしまった。酷いインフォメーションだ。プンプン。なお、バス代は2.6ユーロでした。距離の割には安い。28日の帰りはちゃんとホテル前から乗りましたが頻度は少なく、1時間に一本です。ホテル前からの最終便は19時51分発。これは最終便のせいで、各駅停車するので所要時間は45分ぐらい。
ロンドン行きは22時発でスタンステッド到着が時差の関係で22時25分。実際は少し遅れて22時40分頃到着。

ホテル
市内のどこに泊まっても全ての見所は徒歩で訪問できます。私はオペラが主目的だったのでオペラ劇場(Festspielhaus)の道路を挟んだ向かいにあるBayerischer Hofという三つ星ホテルに宿泊。メイン道路に面しているので、裏側の部屋だったにも拘わらずちょっと騒音が気になるが部屋は清潔で広さも十分で快適。ドライヤーもティッシュペーパーも備え付けてあります。夜中には交通もピタッと止まりました。朝食付きで一泊9200円でした。静かさが絶対だったら中心部の歩行者天国付近のホテルが良いでしょう。
なお、このホテルに付属のレストランはイタリアンですが大変おいしい。値段は手頃なのでオペラがある夕方とオペラ終了後は大勢の客で賑わいます。私は到着した日曜の9時頃ランプステーキとワインをカラフで500cc頼みましたがとても満足しました。ステーキは肉質も焼き具合もよろしく、付け合わせのペンネのアルデンテ振りには感動しました。翌日もオペラの前後に食べましたがお薦めできるレストランであることを確認しました。帰国日はさすがに他のレストランも試してみたくて、はずれ承知でドイツレストランに行きましたがやはりいまいちの味でがっかり。

温泉体験(1):Friedrichsbad
由緒ありそうな年代物の建物で、各部屋とも味がある。
入場料は3時間21ユーロ。水着なしで入るのが基本。タオルとサンダルが用意されているので完全手ぶらで行って大丈夫。男性用と女性用に別れている。最初から最後まで係員が常時気を使ってくれる。服を脱いでロッカーに入れ入場時に渡された腕時計式のICタグでロックする。このICタグは時間も管理してくれる。時間が超過すれば追加料金を支払えばOK。
その後の部屋は全部で17カ所あり、シャワーに始まって各種サウナ、各種温度管理された浴槽などを経て最後は28℃の大きな円形プールがあり、ここで初めて男女が裸で対面する形式。ここの温泉の入場者数はあまり多くなく、私が行ったときも大プールには男女それぞれ数名ずつだった。それはともかく海外で混浴は初体験でした。各部屋とも医者のアドバイスで何分入浴がお薦めか書いてあって砂時計も備えられています。熱いサウナの場合はなかなかその時間いられなくて短めに飛び出しましたが、全てゆっくり過ごしても時間をオーヴァーすることはありません。最後のシャワーの後は係員が待機していてシーツのように大きい暖かいタオルを体に巻き付けてくれます。更にリラックスルームもあって、中にはいるとベッドに誘導され、タオルを体に巻き付けた後毛布も巻き付けてくれて一眠りも可能です。その後はローションを塗ったり、頭髪を整えたりして更衣室へ行くことになります。最後に体重を量ってみたらいつもより3-4kg少なくなっていて、それだけ汗を流したんだなぁとびっくり。

温泉体験(2):Caracalla Therme
ここは近代建築でガラスを使ったモダンなところ。プールのように大きい浴槽がいくつもあるし、それぞれ工夫を凝らした小さめの浴槽もいくつかあって家族連れで大賑わいです。入場料が3時間で14ユーロと安めなのも人気の原因でしょう。ただしここはタオルもサンダルも自前のものを用意してくるのが基本です。タオルのない人には貸しタオルがあって5ユーロ(デポジット10ユーロ)でした。水着に関しては、1階の一般浴場は必須ですが、2階のローマ風呂では完全混浴ながら全裸が基本です。ここだけに興味がある人はロッカーでタオルを腰に巻いていけば良いので水着は不要です。でも、1階の大浴場なども面白いので水着はあった方が良いでしょう。私は何でも見てやろうの精神で1階も2階も隅々まで全て体験してきました。ローマ風呂はほとんどがサウナで、実に様々な部屋が10種類ぐらいあります。大部分は座る場所は木で出来ていて、湿度は20%ぐらい。ここは持参のタオルを敷いてからその上に座ったり寝ころんだりしなければならない決まりになっています。1室だけ例外があって、そこは石の上に座る湿度100%の部屋なので、タオルなしで入室します。お湯をホースで流す設備があちこちにあるので、自分の座りたい場所を洗い流してから座ります。部屋は6畳程度の大きさですが、この部屋は女性に人気があるらしく、私が座っている間にも次々と女性が入ってきて一時は私一人に対して女性5人というときもあって大いに目の保養になりました(^^)
他の部屋は温度が48℃から92℃までいろいろあり、ハーヴオイルの蒸気を発散させたところもあります。また屋外の林の中にログハウスを設置した雰囲気のあるものもありました。お湯を張ってジェット水流が備わっている浴槽もあって直径3mぐらいの大きさです。カップルで来る客も沢山います。ドイツ人は皆裸は平気なのかと思ったら、中には恥ずかしがって出来るだけタオルで体を隠そうとする女性もいましたね。きっと相手の男性から行こうと言われて渋々ついてきたのでしょう。でも堂々と全裸で歩き回っている女性もいて人様々です。風呂ではなく、瞑想室もあります。ブルーの光で満たされていてベッドの枕あたりからサイケな音楽が流れているもので、皆さんそこに仰向けで寝ています。また暖かさが欲しい人のために、デッキチェアの真上にいくつもの赤外線ランプを点灯させた設備もあり、そこもみんな仰向けに寝ていました。更に屋外のテラスもあってデッキチェアの上で日光浴も出来るようになっています。私は日に焼くつもりはなかったので、赤外線だけ試しましたが、素っ裸で寝ていても寒くないのでリラックスできます。
1階と2階で遊び回っているとすぐに3時間は経過してしまいます。とても面白い体験でした。

街の印象
貧しさとか汚さを全く見せない綺麗な街です。周りを山に囲まれているので緑も豊富で、様々なデザインの噴水もあちこちにあります。街の真ん中を水路が通っていて、その両側が遊歩道になっており、散歩には最適です。川でなく水路といったのは川底も石畳にして完全に管理されたものだからです。自然の川だったらどんなにか素敵なことか。主な見所の建物はほとんどこの水路の両側にあります。美術館、劇場、カジノ、教会、ロシア教会、ルーマニア教会等々。
美術館はFrieder Burdaという名前ですが、丁度「青騎士」展が開催中で常設展示はありませんでした。「青騎士」は昨年ミュンヘンでさんざん見たのであまり気が進まなかったのですが、時間があったので入ってみたところ、やはりカンディンスキーの1909年以前の作品には改めて感動しました。レーンバッハ美術館のカンディンスキーは大部分パリのポンピドゥに行っているはずですが、残りはこちらに貸し出されたみたいです。パリにもカンディンスキーを見に行く予定なので丁度よかったともいえます。また今回はAugust Mackeの作品の魅力も発見できたのが収穫です。
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by dognorah | 2009-08-02 10:16 | 観光

バイロイトという街

ヴァーグナーのオペラのために初めて訪れたバイロイト、夕方から始まるオペラまでは時間がたっぷりあるので毎日少しずつあちこち見て回りました。小さい街なのでそれほど見所はありませんが、少しこの街について印象を語りたいと思います。
ウイキペディアによると現在の人口は約74000人だそうです。とてもドイツ的な清潔な街で、住んでいる人は多分ほとんどドイツ人なのでしょう旅行者を入れてもアフリカ系やインド系の人はとても少ないです。オペラが終わってから一人で夜遅く街を歩きましたが大都市に見られる治安の悪さは全く見えませんでした。かなり安全な街と言えそうです。フランクフルトを流れるマイン川の源流の一つが近くにあり、小川と呼べるRoter Main (赤マイン)川が街の中を流れています。ここより北の方の地域を流れるWeissen Main (白マイン)と合流して本流のマイン川になります。なお赤とか白というのは土質の影響を受けた水の色から来ているようです。
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街の中心はバイロイト駅の南数百メートル付近にありショッピング街はほぼ歩行者天国でいつも人で賑わっていますが、旅行者の多い今の時期でもそれほど混んでいるわけではありません。この伝統的な繁華街の延長上にある歩道橋を渡ったところに大きなショッピングモールがあり、買い物好きのドイツ人の需要を満たしているようです。PCをずらっと並べて電話ブースまで設置された本格的インターネットカフェを一軒見つけましたが日本語の書き込みが出来ないので不便です。私はU3に必要な文章を書き込んでから行ってブログにアップしました。PCの持ち込みは出来ません。1ユーロで40分使えます。その他無線LANで無料アクセスさせてくれるカフェやレストランも2-3見つかり、PCを持ち込んでアクセスしてみましたが普通にインターネット出来るのでこちらの方が便利です。駅前にあるBayerischer Hofというホテルは客には無料で無線LANを提供しています。私の泊まったホテル(Arvena Kongress)はケチで1時間10ユーロ、一日22ユーロも取ります。ロビーには無料で使えるPCが置いてあるのですが日本語は表示さえ出来ない代物です。しかしこのホテルは祝祭劇場までチャーターバスの送迎があり、朝食と昼食が付いているなどその他のサーヴィスはとても満足しました。立地的にも街の中心まで徒歩10分足らずで便利ですし。

割と隅から隅まで歩き回りましたが街の中で私が見たものについて少々述べてみましょう。

Spital-Kirche
まあ特にどうということのない普通の教会
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Stadt-Kirche
一番豪壮な外観ですが内外とも修復中で見るに堪えず、Rathausの屋上から撮った写真を掲げます。
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Schloss-Kirche
これは立派な塔を持っているのですが修復中で写真は撮りませんでした。しかし教会本体の内部は一見の価値ある美しさです。
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Christuskirche
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大変モダンな教会。中は見学していません。

Markgräfliches Opernhaus
1748年に建てられたオペラハウスで、当時の領主(Markgraf)の妻(Markgräfin)がいろいろ面倒を見たのでこういう名前が付いているようです。外観は写真に示すように普通の古い建物という目立たない存在ですが、中へ入ると後期バロック様式の装飾がびっくりするくらい華麗な劇場です。バイロイトでは必見でしょう。
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せいぜい3-400人程度の観客しか座れない大きさですが、舞台は奥行きが27mもあって設備もちゃんとオペラが上演できるようになっています。当時としては破格に大きい舞台だったことから自分のオペラを上演する劇場を物色していたヴァーグナーの注目を惹き、かなり詳細に検討したようです。また、1872年にはここで彼自身が指揮してベートーヴェンの第9を演奏しています。しかし、やはり入れ物が小さすぎるという結論に達し、すぐ近くに彼自身のオペラハウスを造ることにしたのです。従って、このオペラハウスがバイロイトに存在していたことがきっかけで現在のヴァーグナーの聖地がバイロイトになったと思われ、そういう意味でも大変興味深い劇場です。

ヴァーグナー博物館であるHaus Wahnfried
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ずいぶん広い館で地下1階地上3階建て。多くの部屋を飾っているのはオペラに関する絵画が多い。後は作曲家や音楽家達の写真や手紙類、役者の衣装など。かなり膨大な資料が保存されていて、見学順路は何回も階段を上り下りさせられる分疲れますが写真を中心に興味深い資料を見ることが出来ました。ドイツ語が読めればもっと面白かったことでしょう。その場でスキャンしてさっと自分の言語に翻訳してくれるガジェットがあれば欧州ではかなり役立つでしょうね。誰か開発してくれないかしら。1階奥のホールにはヴァーグナーが使ったという1873年製のスタインウェーのピアノが置いてあり、今でもここで開催される室内楽コンサートで使用されているようです。常時ヴァーグナーのオペラがスピーカーから流れてきますが、音響の悪さには辟易します。まさかこれが19世紀の音だと言っている訳じゃないでしょうに、もう少しましな装置を使って欲しいものです。部屋の壁沿いには音楽関係の蔵書がぎっしり。裏にある庭園には大きな長方形の石版が埋め込まれたヴァーグナーの墓があります。

Franz-Liszt-Museum
リストは1886年にバイロイトで「トリスタンとイゾルデ」を見た直後に亡くなったので墓があるそうですが、従ってこの博物館もあるのでしょう。ごく普通のアパートの一室のような家です。資料数はあまり豊富ではなく写真を中心にごく短時間で見ることが出来ました。

Kunstmuseum Bayreuth
常設展示品はほとんど無く、企画展が主でしょう。私が行ったときは現代作家の釘を多用した作品が並んでいましたが私に言わせれば「がらくた」です。もう一つ、1979年にバイロイトでプレミエだった「ローエングリン」のDVDが演奏されていました。ペーター・ホフマン主演のもので、モニター画面を見ている限りは楽しめる公演でしたが、プレミエだったので当時の各国の新聞評が多数出ておりコピーが壁に貼ってありました。日本の「音楽通信」というのも張ってあり、読んでみたらこれがメチャメチャ貶しているものでした。貶しているのは演出についてなのですがかなり激しい言葉使いです。しかし理路整然とその理由を箇条書きで記していてなかなか読み応えがありました。

Neues Schloss
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1753年に建てられた領主の居城。各部屋はよく保存されたお城で、オランダ派の絵画と陶器類も多数あります。それほど感嘆すべき見ものはなかったもののまあ悪くはなかったです。庭園(Hofgarten)は公園になっていますがこちらもよく整備されています。
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Neues Rathaus
13階建ての近代ビルですが、その屋上は開放されており、バイロイトの町並みや祝祭劇場(遠くの山の中腹にあります)を一望できます。周囲は結構低い山並みが豊富であることも分かります。
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バイロイト大学付属植物園
最初はバスの情報を持っていなかったので歩いていきましたが、中心から30分以上かかります。街の南端にバイロイト大学がありますが更にその南側にあってかなり広い敷地を使っています。入り口近くにはかなり規模の大きい温室があり熱帯植物たちがこれも地域ごとに区切られて多種類見ることが出来ます。ここでバナナの花というものを初めて見ました。
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動物が上るのを拒否するかのように幹がトゲだらけの木もおもしろい。
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さらに進むと湿度100%近い熱帯を模した部屋があり各種興味深い植物がありました。湿度が不愉快で早々に退散しましたが個人的にはこの温室が見応えがあってお気に入りです。温室を出ると世界の大陸別に様々な植物が植えられています。アジア地域では日本の一角もあって多数の木や草花を見ることが出来ますが、時期的には他地域も含めて全般に花が少ないときなので地味でした。中心付近には池もあり、ベンチに座って観察すると大小様々なトンボが沢山飛んでいます。赤とんぼやシオカラトンボに似たやつとか全体に青色のイメージでヤンマ級の大きなやつなども。バイロイト大学のキャンパスを縦断しましたが夏休みなのでほとんど無人でした。

Eremitage(Altes Schloss)
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郊外にありますのでバス(2番)に乗っていきました。因みにバイロイトのバスはバスセンターから四方八方に出ており、道路渋滞もほとんど無いので時刻表も正確に運用されています。大体が10分から20分間隔で運行。私は回数券を買ったので片道運賃は知りませんが、往復券4枚で10ユーロでした。これだと片道1.25ユーロですね。
雨の中をわざわざ行ったのに、内部は修復中で見れませんでした。完成は来年6月とのことで「来年またおいで」と言われてしまった。残念だったけれど、広大な自然を利用した庭園はなかなか美しく、そばをマイン川の上流が流れていたりして起伏もあり散歩するにはもってこいの気持ちのいい場所です。雨でなかったらもっと長時間滞在したのですが、早めにバス停に移動。

祝祭劇場そばの彫刻
日本人彫刻家、松阪節三氏のDer Traum(夢)という名の1996年の作品。碑文には松阪氏のサインと共にリヒャルト・ヴァーグナーの自筆文章のコピーが彫ってあります。
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10日間も滞在したのでもっと見ようと思えば見ることは可能でしたが、オペラ(4時開始)がある日はホテル発3時15分の送迎バスを利用することを考えると、午前中ぐらいしか余裕を持って見ることが出来ません。日本人のレピーターと食事時に話した結果皆さんはオペラのために体力を温存しているのかあまり見学はしておられないようで、私などこれでも沢山見た方でしょう。
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by dognorah | 2008-08-26 10:08 | 観光

Open House London(その2)

前の記事の続きです。

イングランド銀行は人気のエントリーで、今年もかなりの行列があり、朝10時に行ったにもかかわらず1時間も並びました。写真撮影禁止なので、外観だけ右に示します。c0057725_955710.jpg
建物を今回初めて認識したのですが、シティのひとつのブロックを完全に占有している大きなビルだということにまずびっくり。1万平米はないでしょうが、でもそれに近い土地を占有しています。地上7階地下3階の構造です。紙幣印刷設備もこの中にあるようです。
1694年設立で、現在の広さは1925年の大改修で確保しています。17世紀の造作は出来る限り保存していますので、内部の部屋はかなり豪華です。もちろんそれはエグゼクティヴたちの部屋だけで一般職員のオフィスはそういうことはないのでしょうけれど。イギリスの公定歩合は毎月一回見直しが行われますが、その会議をする部屋はCommittee Roomと呼ばれ、8角形をした豪華な部屋でした。椅子もかなりの時代物でした。その隣にはすべてのエグゼクティヴが毎週集まって会議をするCourt Roomがあり、ここの壁、床、天井も見事です。絨毯は1939年製ですが全く傷んだという感じはありません。古くてすばらしいデザインのものを日常使用しながらちゃんとオリジナルの美しさを保っているというのがうれしい。これは実はすごく経費がかかります。こういうところに数字には表れない贅沢というか鷹揚さがあり、豊かな社会ということを実感させてくれます。過去の遺産を後々までちゃんと伝えるということに意義を認めていることはその社会の成熟度を現しているのでしょう。ちゃんとやってますよーと一般公開しているわけですね。
中庭も例によってあちこちにありますが、そのひとつは昔教会だったので今でも多くの遺体が地下に眠っているそうです。そのあたりが平気なところはやはり宗教の違いを感じます。
併設の博物館があり、そこは普段誰でも入場できるのですがついでに見てきました。紙幣やコインの歴史など様々な展示がありますが、ひとつ面白かったのはよく映画で見るレンガのような形をした金のブロックの本物がひとつだけ展示してあり、実際に触れることができるのです。これが重くて片手ではなかなか持ち上げられない。約13kgあるそうです。本日のレートで10万ポンド以上の価格であることが表示されていました。1個で2000万円以上するわけです。地下金庫に沢山あるようですが、この建物の地盤の関係で1箇所に積み上げる個数は厳密に制限しているようです。

c0057725_965484.jpg次に訪問したところは、バービカンホールに隣接しているGuildhall School of Music and Drama(左の写真、水辺の地味な建物)ですが、ここはランチタイムコンサートなどでよく卒業生や現役が派遣される学校でかなりレベルの高いところと認識しており、そういう意味でどういう教育をしているのか興味があって訪問しました。音楽大学としてはRoyal Academy of MusicやRoyal College of Musicとともにレベルを競っています。今年創立125年です。
まず、日曜に訪問したにもかかわらず、学生がアクティヴに活動していることに驚きました。聞くと、学校は週に7日開いており、学生は朝7時から夜10時まで練習にいそしんでいるとのこと。この業界は競争が激しいことは十分学生が自覚しているが故と案内の先生は言っていました。学校は名前の通り大きく分けて演劇部門と音楽部門に分かれていますが、オペラ志向の学生にはいい環境と思います。もともとは音楽大学だったのが後から演劇部門が加わったそうです。どういう風に教えるかというソフトの部分は見せるのが難しいせいかあまり説明がなくほとんど学ぶ環境のデモでした。
演劇部門は丁度シェークスピアの「ヴェニスの商人」の舞台稽古をやっていましたがみんな真剣で、台詞の合間に先生が簡潔に注意を与えるので劇の進行はほとんど止まりません。広い稽古場が確保されているのみならず、リハーサル用に舞台装置および美術部門もあり、舞台はFlying tower(手動ですが)併設で、ほぼ本番どおりのリハーサルが出来る環境です。また、衣装部門もあり、必要な衣装は作ってもらえるほか、過去の衣装もすべて保管されてすぐに取り出せるようになっています。
音楽部門はまず、学生が個室で練習できるように8畳くらいの部屋が全部で75室提供されており、すべてグランドピアノが置いてあります。もちろん予約制です。そのほかに小さなアンサンブル用のやや広い部屋が6室、オペラなどを簡単に練習できる中くらいのホールがひとつ、それにコヴェントガーデンの舞台と同じ大きさの舞台がある大ホール(観客席も300くらいある)がひとつあります。
両部門に共通のものとしてすごく充実した図書室があります。台本や楽譜はもちろん、書籍やLP、CD、DVD、VHSなどあらゆる資料がきちんと棚に収められているほか、インターネットでストリーミングを聞くことも出来ます。
私は日本の音楽大学の実情は知りませんが、素人目にも充実した環境で、ここに入ったらまずは自分次第という感じがします。

なお、学生数は数百人で、授業料とCorporate of London(City of Londonの行政府)の補助金および寄付金で運営されています。このCorporate of LondonというのはもともとCityの自治政府でイングランド議会のParliamentよりも古い歴史があります。今では政治的権力はありませんが、伝統はかなり残っており、独自の芸術パトロンとしての活動も盛んなようです。

ということで今年も充実した見学が出来ました。来年がまた楽しみです。
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by dognorah | 2005-09-19 09:14 | 観光

Open House London(その1)

この週末、9月17,18日は毎年恒例のロンドン・オープン・ハウスのイベントがあり、周辺部を含むいわゆる大ロンドン圏の何百という施設や建物が一般に無料で見学可能となります。政府、地方行政府、宗教施設、学校、企業、個人に及ぶエントリーがあり、普段は一般の人が見ることの出来ない建物がこのときに限り開放されるのです。政府関係ではParliamentを含む各省庁の建物やロンドン市庁舎、話題の最新建築物、リノヴェーションした個人住宅など私には興味をそそるものばかりです。私は優れた建築物や美しい内装に大いに興味があり、このイベントのことを知ってから毎年見学するのをとても楽しみにしてきました。
c0057725_454521.jpg昨年はSwiss Reというスイスの会社がシティに建てた例の葉巻型のユニークなビル(30 St Mary Axe、写真右)が初公開され大人気を博し、私も大行列をものともせずに見果せましたが、すごいビルではありました。欧州では売れっ子のイギリスのデザイナーFoster & Partnersの手になるものです。それに比べると今年は新建築が少なく、やや地味な印象を受けるのですが、いずれにしても一生かかっても見切れないくらい多くのエントリーがあるので見るものには困りません。新しいビルもいいけれど、ヴィクトリア時代に代表されるような古い建物を当時の豪華な内装をちゃんと保ったままインフラだけ近代化したものは特に好きです。そういうよく手入れされた歴史的建造物は都心部に集中しているような気がして、今年もWestminster地区とCity地区に絞りました。
今回二日間で見たのは次のとおり。
(1)HM Revenue and Customs / HM Treasury
   日本の昔の大蔵省に相当する官庁ですね。
(2)Crown Estate
   王室所有の土地を管理する会社です。
(3)Vitro – 60 Fenchurch Street
   新しい11階建てのオフィスビルです。
(4)Bank of England
   ご存知のイングランド銀行。
(5)Guildhall School of Music and Drama
   バービカンホールに隣接の音楽と演劇の学校です。

第1部では最初の3つをレポートします。

c0057725_414195.jpg(1)は右の写真の一番上のようにブロックの一角を占める大きなヴィクトリア調の建物ですが、内部はその下の写真のように中庭がいくつもあり居住者に精神的安らぎを与える設計になっています。また、内部は階段室の上などに明り取りのドームがあって現代的装飾なども施されているのが好もしい感じです。ただ、全般に装飾はシンプルで、この点においては2年前に見たすぐ隣の外務省がきらびやかな大理石で贅を凝らしているのと対照的です。





c0057725_4201043.jpg(2)は左の上の写真のようにセント・ジェームス公園の北側にある立派な建物の一部を占有していますが内装は木を多用した19世紀前半のデザインをちゃんと保っており(その下の写真)、質の高さが印象的です。関係ないですが、私は90年代前半はアスコット競馬場(王室所有)のすぐそばの家に住んでいましたが、このCrown Estateを通して女王陛下から土地を借りていました。その後周りの人たちと一緒にその土地を買い取りましたが、いつも相手をしてくれたのがこの会社なので結構親しみを感じていて、今回アプローチした面もあります。
(3)は特に特徴のない建物で、上に述べたSwiss Reのビルがよく見えるというだけです。上の写真は今回ここから撮ったものです。

17日の土曜は朝は10度前後と少し冷え込みましたがすばらしい秋晴れでした。セント・ジェームス公園を歩くとサフランの群生が見つかりました。前日の強風で倒れたものも多いのですが、見たのは初めてなので割とましなものを探して撮ってみました。
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by dognorah | 2005-09-19 04:36 | 観光

ミレニアムブリッジ周辺散歩道

先日バラマーケット近くのパブでビールを飲んでいるとき、テーブルの上にいろいろ周辺案内図みたいなものが置いてあるのを見つけていくつか貰って帰った。

その中のひとつに、”Walk This Way - Millenium Bridge”というのがあり、それはセントポール寺院を起点として近くの観光ポイントを網羅しながらミレニアムブリッジ(年号が2000年に替るのを記念して作られた歩行者専用の橋)を通ってテムズ川を南に渡り、Tate Modern美術館の周辺を巡って最後はバラマーケット周辺で終わるという歴史的建造物や記念碑あるいはギャラリーを訪問する散歩へのいざないである。

各ポイントをちゃんと訪問しながら巡ると2-3時間のコースになるだろうか。パンフレットの発行元はSouth Bank Employer’s Groupとなっていて、いくつかの公共企業体が協力しているらしい。
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写真は左側3分の1がパンフレットで、右側3分の2は折込の地図を広げて一緒に撮ったもの。

ロンドンはここ数日大変天気がよく、春らしいそよ風が気持ちいいのでこのお勧めルートに沿って午後のひと時を散歩してみることにした。

一般の観光客向けには、セント・ポール、テート・モダン、シェークスピア劇のグローブ座、バラマーケット、サザーク大聖堂程度が見所で、その他はちょっとマイナーなアイテムだ。

私が初めて内部を見てちょっと驚いたのはサザーク大聖堂で、非常に立派なつくりである。特に内陣のスクリーンは過去の聖人の像が縦横にずらっと並べてあるものであまり他では見たことがない。オルガンが自動演奏されるシステムになっているのも雰囲気を掻き立てる。ステンドグラスもなかなか立派だ。シェークスピアの像とグローブ座創設者の記念碑とステンドグラスもある。

写真を撮りたいと思う人が多いせいか、写真を撮る許可証が2ポンド(400円)、ビデオの場合は5ポンドかかる。これも私の経験では、欧州では例がない。イギリスでは寺院の維持管理費用の捻出に四苦八苦しているのであろう。どこへ行っても窮状を訴え、寄付を要請する張り紙がある。

とにかくよく晴れた金曜の午後、暑くもなく寒くもない状態で運動が出来、普段めったに訪れることのない小さなギャラリーで絵や彫刻を楽しみながらまた歴史を勉強しながら過ごすことが出来た。飛び交う花粉で目が痒くなったのが小さな難点であったが。
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by dognorah | 2005-04-23 22:49 | 観光

ロンドン水族館

ヨーロッパ最大級という触れ込みの水族館があることを聞き見学にいった。
場所は、London Eyeのすぐ隣、旧市庁舎の地下一階と二階部分に作られている。
脱線するが、この旧市庁舎という建物、なかなか壮大なもので中を見ても特に傷んでいる様子は無く、なぜ新市庁舎をTower Bridgeのそばに建設する必要があったのかよくわからない。現在は日本の不動産会社の持ち物らしいが、水族館だけではなくホテルや美術館などいろいろな施設が入っている。

さて水族館は、入口がテームズ川に面した遊歩道にあり、入場した後は半円形にぐるっと右奥まで歩かせられ、そこから地下一階部分に降りる構造になっている。
中は14のゾーンに分けられ、最初は川に住む淡水魚から始まる。海水魚は太平洋、大西洋、インド洋などに分類され、どういうところにどんな魚がいるのかが比較的わかりやすく展示されている。太平洋と大西洋はそれぞれ巨大で2レベル分の深さがあり、水深の浅い部分と比較的深い部分に生息する種類が一緒に入れられてそれぞれが自分の適した環境の中で泳ぎ回る工夫がなされている。自然と同じく鯖など集団を形成して回遊している様が面白い。
太平洋の水槽にはサメが何匹かいて、他の魚と交錯しながら回遊している。なぜ他の魚が食べられないか不思議だが、係員の説明によると定期的に餌をやっており、サメは余程の空腹でないと他の魚を捕らえて食べないという。

この水槽は最近見たCloserという映画の中に登場している。Clive OwenとJulia Robertsが出会う場面である(写真参照)。

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この映画の中のJulia Robertsみたいにポーっとして水槽を見ていると心が休まる感じがする。ヒラメやカレイが底の砂の上で色を変えたり、ひれを小刻みに動かして砂の中に潜り込み、目だけ出しているのも微笑ましい。
工夫を凝らした小さめの水槽が沢山あるがなんといっても大きな水槽の中を雑多な魚たちが泳ぎまわる状態を観察するのが面白い。
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by dognorah | 2005-02-22 04:37 | 観光