カテゴリ:バレー( 44 )

ロイヤルバレーの「オネーギン」

3月31日、ROHにて。

ONEGIN:Ballet in three acts
Music: Pyotr Il'yich T chaikovsky Arranged and orchestrated by Kurt-Heinz Stolze
Choreography and libretto: John Cranko (after a verse-novel by Alexander Sergeyevich Pushkin)
Staging: Jane Bourne
Set and costumes: Jiirgen Rose (Munich, 1972)
Lighting: Steen Bjarke
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
The Orchestra of the Royal Opera House

ダンサー
Eugine Onegin: Johan Kobborg
Tatiana: Alina Cojocaru
Olga: Caroline Duprot
Lensky: Ivan Putrov
Prince Gremin: Bennet Gartside
Madam Larina: Genesia Rosato
Nurse: Gillian Revie

第1幕第2場でのタチアナがラブレターを書くシーンでのコボーグとコジョカルのPDDは息を飲むすばらしさで、感動の涙を流してしまいました。最初にオネーギンが背後からタチアナの腰を抱えてリフトするところでのコジョカルのまるで天女のように自然に空を飛ぶような姿形でまず完全に彼らのダンスに惹き込まれ、その後は至福の時間でした。私生活上でもパートナー同士である彼らならではのぴったり合ったダンスです。第3幕で言い寄るオネーギンを拒否するタチアナのシチュエーションで踊られるPDDもなかなか見応えのあるものでしたが、やはり恋心に想像を膨らませている第1幕の方が数段訴えるものが多く優れた出来になっています。コジョカルは読書が唯一の楽しみであるタチアナがオネーギンを見て心をときめかせる乙女になる過程や、決闘でオルガの婚約者レンスキーを射殺したオネーギンへの決別の意思表示、グレミン夫人という立場で成熟した女性、オネーギンの求愛を断固拒否した後の複雑な心境など見事に表情や演技を使い分けて表現していて、可憐な容姿と華麗なバレーと相俟ってほんとに惚れ惚れするダンサーです。
今日のオケは第1幕がやや堅い音だったものの第2幕以降はとても美しい演奏で、チャイコフスキーを堪能しました。指揮者はちょっと頑ななところがあって、観客の拍手は完全に無視し、間をおかず次の音楽を演奏する人です。ちょっとぐらいダンサーに挨拶させる時間を与えてもいいだろうにとは思いましたが、彼のポリシーなのでしょう。

下の最初の写真はCojocaruとKobborg、次の写真はDuprotとPutrovです。
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by dognorah | 2007-04-01 22:55 | バレー

パリオペラ座バレー「ドン・キホーテ」

2007年3月26日、バスティーユにて。
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Don Quichotte
ballet en un prologue et trois actes d'après quelques épisodes du roman de Miguel de Cervantès

キャスト
musique Ludwig Minkus - arrangements et orchestration John Lanchbery
chorégraphie et mise en scène Rudolf Noureev d'après Marius Petipa
décors Alexandre Beliaev
costumes Elena Rivkina
lumières Philippe Albaric
Orchestre de l'Opéra national de Paris
direction musicale Pavel Sorokin

主演ダンサー
KITRI (et DULCINÉE) Myriam Ould-Braham
BASILIO Emmanuel Thibault
ESPADA Audric Bezard
LA DANSEUSE DE RUE Alice Renavand
DON QUICHOTTE Richard Wilk
SANCHO PANÇA Fabien Roques
GAMACHE, prétendant de Kitri Eric Monin
LORENZO, père de Kitri Alexis Saramite

この演目を見るのはは15年以上前にエディンバラ・フェスティヴァルで見て以来です。
パリのバレーは事前に誰が踊るのかわからないのでこちらの日程に合わせて切符を買うしかないのは不便ですね。ロイヤルバレーは3ヶ月前から出演者がわかっているのに。
会場に行って出演者リストを貰って驚きました。ロイヤルのPrincipalに相当するÉtoileの格付けダンサーが誰も出演しない!これはロイヤルバレーではちょっと考えられないことで、ある意味観客を馬鹿にしているように思えます。
それにも拘わらずキトリとバジリオのダンスには大変感心しましたが。特にバジリオを踊ったエマニュエル・ティボーはテクニックを駆使したスケールの大きいダンスで非常に気に入り、ファンになってしまいました。第3幕の白鳥の湖ばりのフェッテも二人とも見事に決まっていましたし。下の写真は主役二人です。
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あと、第2幕第2場でソロを踊ったMiteki Kudo(日本人父を持つハーフらしい)もなかなか印象的なダンサーでした。
舞台装置はよくできていて美しいものです。
特筆すべきはオーケストラで質の高い音楽にはうっとりさせられます。指揮者にブラヴォー!
題名役とサンチョ・パンサはどうでもよく、単なる狂言回し役なのであまり出しゃばらない演出の方が楽しめるようです。出演者が多いもののちゃんと統制がとれていて、全体としてはまるで宝塚レヴューを見ているような肩の凝らない楽しさがありました。

プロローグのその他のダンサー
LA FEMME DE CHAMBRE Anémone Arnaud
LE VALET Bruno Lehaut
TROIS FEMMES Miho Fujii, Eléonore Guérineau, Carole Maison
DEUX AIGLES Alexandre Carniato, Julien COlette

第1幕のその他のダンサー
DEUX AMIES DE KITRI Fanny Fiat, Muriel Zusperreguy

LES FILLES DE BARCELONE Sandrine Marache, Laure Muret, Natacha Quernet, Lucie Clément, Charline Giezendanner, Daphnée Gestin, Céline Palacio, Anémone Arnaud, Leila Dilhac, Miho Fujii, Carole Maison, Juliane Mathis, Sofia Parcen, Aubane Philbert, Maud Rivière, Pauline Verdusen

LES PÊCHEURS Bertrand Bélem, Stéphane Elizabé, Mallory Gaudion, Mathias Heymann, Adrien Bodet, Grégory Gaillard, Mathieu Botto, Fabien Révillion

LES MATADORS Gillsoart, Yong Geol Kim, Julien Meyzindi, Sébastien Bertaud, Vincent Chaillet, Axellbot, Julien Cozette, Yann Chailloux

第2幕第1場のその他のダンサー
LE GITAN Yong-Geol Kim
DEUX GITANES Lucie Clément, Pauline Verdusen
LE ROI DES GITANS Auber Vanderlinden
LA REINE DES GITANS Anémone Arnaud

LES GITANS Leïla Dilhac, Miho Fujii, Emilie Hasboun, Carole Maison, Juliane Mathis, Sofia Parce n, Aubane Philbert, Maud Rivière
Sébastien Bertaud, Adrien Bodet, Grégory Gaillard, Axellbot, Mathieu Botto, Alexandre Carniato, Yann Chailloux, Julien Cozette, Alexandre Labrot, Fabien Révillion

第2幕第2場のその他のダンサー
L'HOMME EN NOIR (pour l'apparition de Dulcinée) Yann Chailloux
LA REINE DES DRYADES Laurence Latton
CUPIDON Miteki Kudo

TRIO Fanny Fiat, Myriam Kamionka, Laure Muret
QUATUOR Marie-Solène Boulet, Sarah Kora Dayanova, Laurence Latton, Alice Renavand

LES DRYADES Lucie Clément, Daphnée Gestin, Charline Giezendanner, Vanessa Legassy, Sabrina Mallem, Céline Palacio, Leïla Dilhac, Emilie Hasboun, Juliane Mathis, Sofia Parcen

第3幕第2場のその他のダンサー
FANDANGO Anémone Arnaud, Leïla Dilhac, Miho Fujii, Emilie Hasboun, Carole Maison, Juliane Mathis, Aubane Philbert, Maud Rivière, Pauline Verdusen
Bertrand Belem, Axellbot, Stéphane Elizabé, Mallory Gaudion, Fabien Révillion, Mathias Heymann, Julien Meyzindi, Mathieu Botto, Julien Cozette

LA PREMIÈRE DEMOISELLE D'HONNEUR Lucie Clément

LES DEMOISELLES D'HONNEUR Marie-Solène Boulet, Sarah Kora Dayanova, Myriam Kamionka, Daphnée Gestin, Charline Giezendanner, Vanessa Legassy, Sabrina Mallem, Juliane Mathis
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by dognorah | 2007-03-30 20:16 | バレー

ロイヤルバレーリハーサル

3月3日、ROHにて。Mixed Programmeでした。
Conductor:Barry Wordsworth
The Orchestra of the Royal Opera House

(1)APOLLO
Music:Igor Stravinsky
Choreography:George Balanchine
Lighting:John B. Read
Staging:Patricia Neary

Apollo:Carlos Acosta
Terpsichore:Darcey Bussell
Calliope:Marianela Nuñez
Polyhymnia:Mara Galeazzi
Leto:Christina Arestis
Handmaidens:Laura McCulloch、Nathalie Harrison

プリンシパルダンサー4人の共演は見事。バランシン1928年の振付はシンプルな舞台とよくマッチして様式美を感じます。引退間近いバッセルを見れたのは望外の幸せ。私が見るのは多分これが最後でしょう。アコスタはピシッと決めて引き締めています。女性3人を相手の演技が終わったら滝のような汗をかいていました。写真は左からバッセル、アコスタ、ニュネス、ガレアッチです。
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(2)CHILDREN OF ADAM(世界初演)
Music:Christopher Rouse
Choreography:Alastair Marriott
Design:Adam Wiltshire
Lighting:John B. Read

The Girl:Leanne Benjamin
The Younger Brother:Steven McRae
The Older Brother:Johannes Stepanek

Gemma Bond, Victoria Hewitt, Sian Murphy, Natasha Oughtred, Samantha Raine, Christina Elida Salerno, Gary Avis, Zachary Faruque, Benllet Gartside, Kenta Kura, Ernst Meisner, EricoMontes

ロイヤルバレーがマリオットに委嘱した作品です。森の中で遊ぶ若者たちという設定。お気に入りの女性と仲良くしている兄を妬んで彼を殺してしまう弟が後悔の念で苦しむ。兄の亡霊が現れて弟を許し二人はデュエットを踊る。30分足らずの作品。集団のダンスがちょっとうるさい感じではあるがきちんと統制は取れている。最後の、兄弟によるPDDは珍しい。美しく仕上げられています。音楽もまあまあ。
写真は、ベンジャミンを挟んで左のタイツ無しがステパネク、右の赤タイツがマクレ。
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(3)THEME AND VARIATIONS
Music:Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Choreography:George Balanchine
Designs:Peter Farmer
Lighting:John B. Read
Staging:Patricia Neary

Alina Cojocaru
Johan Kobborg

Alexandra Ansanelli, Deirdre Chapman, Lauren Cuthbertson, Laura Morera, Ricardo Cervera, Martin Harvey, Valeri Hristov, Yohei Sasaki

Gemma Bond, Caroline Duprot, Victoria Hewitt, Cindy Jourdain, Laura McCulloch, Sian Murphy, Samantha Raine, Gemma Sykes, Zachary Faruque, Bennet Gartside, Ryoichi Hirano, Kenta Kura, Ernst Meisner, Johannes Stepanek, Eric Underwood, Andrej Uspenski

再びバランシン作品に戻って、これぞチュチュバレーの典型とも言うべき華麗な舞台。コジョカルが光っています。Crispyで優雅というか見ていて飽きない動きです。表情もうっとりさせられます。Yoshiさん特別あつらえのチュチュはぴったし決まっているように見えますが、踊っている本人は細かいところで不満があるらしい。舞台はドレープのたっぷり入った布で豪華に囲まれている柔らかい雰囲気のもの。こういう舞台を小さな女の子たちが見るとあこがれるでしょうね。とても楽しく美しい舞台でした。写真は露出を失敗して見苦しいですが、共演者をバックにコジョカルとコボーグです。
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今日のROHのオケはすばらしい音で音楽だけでも楽しめる演奏した。ワーズワースはバレーには欠かせないいい指揮者と思います。
最後に、リハーサルチケットを手配してくださったT氏に感謝いたします。
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by dognorah | 2007-03-06 21:39 | バレー

ロイヤルバレーの白鳥の湖

2月21日、ROHにて。

Swan Lake : Ballet in four acts
Music: Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Choreography: Marius Petipa and Lev Ivanov
(Act III Neapolitan Dance by Fredrick Ashton, Act I Waltz by David Bintley)
Production: Anthony Dowell
Design: Yolanda Sonnabend
Lighting: Mark Henderson
Conductor: Martin Yates
The Orchestra of the Royal Opera House

Odette/Odile: Tamara Rojo
Prince Siegfried: Carlos Acosta
The Princess: Elizabeth McGorian
An Evil Spirit/Von Rothbart: Gary Avis
The Tutor: Philip Mosley
Benno: David Pickering


昨年8月に見たボリショイのプロダクションと比較すると、大元の振付は同じプティパながらボリショイが何人もの後世の振付家が変更したため各ダンスの細部はかなり違っており、ボリショイの方がテクニックを見せる場面が多い分見応えがあるような気がします。
ロイヤルバレーでは王子のバレーが第3幕(ボリショイでは第2幕第1場)以外はサポートやリフトのみで自身の目立ったダンスがないし、悪魔もほとんど踊らない。テクニシャンのアコスタが出演しているのにもったいない感じがします。ボリショイでは悪魔もかなりテクニックを見せるし、道化役がBennoの代わりに出てこれも相当なダンスを見せてくれます。第3幕でのプリンセスや各国のダンスもボリショイの方が印象が深いと思いました。

第2幕の王子とオデットのダンスは洗練された様式感が漂う気品を感じますが、これとてボリショイのときの方が感動が深かったと思います。

第3幕の例の32回転の場面では各ダンスがぴたっと決まって見せ場としては満足が得られるものでした。特にオディールの32回転直後のアコスタのダンスは凄い。こういう離れ業を各幕で見せる振付に替えてほしいものです。

筋としては王子とオデットが死んだ後、あの世で結ばれたかのようなシーンが美しいコーダに調和して出てくるのはなかなかいいアイデアです。舞台装置はロイヤルの方がはるかに豪華です。音楽は音も演奏もすばらしく、これはロイヤルの圧勝。観客もボリショイのときに比べるとはるかに品がよく、ロイヤルの上演ではまだまだ大丈夫という感じです。
写真は、指揮者と共に挨拶するロホとアコスタ。おどろおどろしいのは悪魔役のエイヴィス。
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by dognorah | 2007-02-23 04:21 | バレー

バレー「眠れる森の美女」(リハーサル)

10月27日、ROHにて。
知人に招待されて急遽見ることになりました。Friends会員に抽選で販売されるリハーサル券はAmphitheatre席であることが多いのですが、今日はストール席の真ん中でした。前方にプロのカメラマンがずらっといて立ったり座ったりするしシャッター音はひっきりなしに響くのですが、双眼鏡なしで舞台はよく見えます。

出演者
Princess Aurora: Lauren Cuthbertson
Prince Florimund: Federico Bonelli
Lilac Fairy: Marianela Nuñez
Princess Florine: Yuhui Choe
Bluebird: Zachary Faruque
他多数

Choreography: Marius Petipa (1890)
Additional Choreography: Ninette de Valois, Frederick Ashton, Anthony Dowell, Christopher Wheeldon
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
Original Designs: Oliver Messel
Additional Designs: Peter Farmer
Lighting: Maek Jonathan

その知人の解説によると引退したJaimie Tapperの代わりにイギリス人のカスバートソンが充当されたそうです。彼女の現在のランクはFirst SoloistなのでPrincipal dancerのすぐ下。会場でお会いしたstmargaretsさんによるとイギリス期待の若手ダンサーのようです。ダンス自体はかなり上手いと思いますが、最後にちゃんと止まれないとかふらふらすることが多く、まだちょっと技量に不安があります。しかし表現力は結構あり、Act IIでの憂愁に満ちたダンスは背景ともよくマッチした雰囲気作りに成功しており、印象的でした。ボネリはさすがにピシッと決まった安定感ある踊りで、若いカスバートソンをしっかりリードしていました。
今回注目したのは日本生れの韓国人(これも知人から教えてもらいました)であるYuhui Choeという人で、体型的には吉田都さんに似ていますが、なかなか印象的な踊りで、第3幕で演じたPrincess Florineは出番が多いこともあってかなり目立ちました。まだFirst Artistというランクですが美形でもありこれから人気が出てくる人だろうと思います。相手役のZachary Faruqueもイギリス人のFirst Artistですが相当な技量の持ち主で二人のPDDも見応えがありました。
今日の指揮者は初めて見る名前ですが、これがなかなか上手く、しっかりオーケストラをコントロールしていい音楽を作っていました。チャイコフスキーですから聴き応えがあるのは当然にしても舞台に集中している観客にこれだけの印象を与えるのはたいしたものです。下の写真は、ブルーの色の二人がYuhui ChoeとZachary Faruque、その左のライラック色がニュネス、その左がボネリでさらにその左がカスバートソンです(クリックするともう少しクリアになります)。
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by dognorah | 2006-10-29 06:08 | バレー

ボリショイの「白鳥の湖」

8月4日、ロイヤルオペラハウスにて。

Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky
Libretto: Yuri Grigorovich
Production: Yuri Grigorovich
Choreography: Marius Petipa, Lev Ivanov, Alexander Gorsky and Yuri Grigorovich
Designs: Simon Virsaladze
Conductor: Pavel Sorokin
Orchestra of the Bolshoi Theatre

Cast
Odette / Odile: Svetlana Lunkina
Prince Siegfried: Dmitri Gudanov
The Evil Genius: Dmitri Belogolovtsev
The Princess Regent: Maria Volodina
The Tutor: Alexei Loparevich
The Fool: Denis Medvedev
その他略

振り付けはオリジナルのプティパのものに対して3人が次々と手を加えたもの。台本の名前が載っているというのはシナリオを少し変えたという意味だろう。それだけでなく、チャイコフスキーのオリジナルの曲の順番も少し変えているらしい。

ここのプリマであるSvetlana Zakharovaは前日に出演したので今日はルンキナというプリンシパルが出演。容姿もいいし主役を演じるには十分な実力の持ち主で手足の細かい動きも美しい。王子役とのコンビネーションもすばらしかった。ザハロワは見たことがないので比較できないが。
第2幕の例の32回転はそれほど印象的ではなかった。ちゃんと32回回ったのかどうか。前日の公演を見たstmargaretsさんも書いていたが回転し出してすぐに拍手が起こってしまって気が散って仕方がない。大体拍手が多すぎる。もう少し落ち着いて鑑賞したいものだ。音楽が、ジャンと終わるだけで拍手する人もいるのには閉口する。
王子をやったディミートリ・グダノフは1975年生れのダンサーであるが、非常にスムーズな動きがぴたっと決まっていて安心して見ていられる踊りであった。ジャンプも結構高く足捌きが美しい。第1幕第3場のオデットとの踊りはすばらしく、二人の出来はほぼ完璧ではないかと思った。感動もの。
悪魔も力強い踊りで文句なし。ここまでの3人が本日のPrincipal Dancersである。後印象に残ったのは道化役のデニス・メドヴェジェフ、この人はFirst Soloistであるが軽い身のこなしが気持ちよく、ダイナミックで魅力的な踊りであった。ところでこの役どころは他の劇場のプロダクションでは存在しないのでボリショイ特有のものか(他のプロダクションでは友人Bennoのはず)。

全体としてはさすがにボリショイと思わせるレヴェルの高さで、各場面であるグループの踊りもとても上手い。白鳥の群舞はあまり揃っていなくて美しさがやや損なわれていたが、チャイコフスキーの最高バレー、十分楽しませてもらった。今更ながらこの作品のすごさを認識できたし、このオーソドックスな振り付けに対してマシュー・ボーンがあそこまで仕事をしたというのにも改めて感心した。才能さえあればまだまだ新規振り付けが出来る余地が十分あるということだろう。

舞台装置はかなり簡素なもので、金糸の入った幕を上げ下ろしして各場面の雰囲気を効果的に変えていたが豪華さはあまりない。

ついでに悪口を書かせてもらうと、オーケストラがひどい。各パートのソロはみんな上手いのだがアンサンブルが貧弱で興醒め。特に弦が薄っぺら。ちゃんと第1ヴァイオリンは14人いるのだが。指揮の問題かも。指揮といえば、次のダンスが始まるまでしばらく(10秒くらいか)無音の時間が頻繁にあったがあれも流れが阻害されて頂けない。ダンサーとのタイミングの取り方が問題か。
写真はカーテンコールに応える主役二人(左後方は悪魔役)。照明不足でちょっと粒子が粗いです。
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by dognorah | 2006-08-06 00:09 | バレー

カルロス・アコスタのトコロロ

Carlos Acosta: “Tocororo”, A Cuban Tale 
8月3日Coliseumにて。

Choreography and libretto: Carlos Acosta
Music: Miguel Núñez and Yadasny Portillo
Design: Salvatore Folino
Lighting: Carlos Repilado

Cast
Tocororo: Carlos Acosta
Tocororo as a boy: Lyván Verdecia
Father: Michel Ávalos
Clarita: Verónica Corveas
The Santera: Mireya Chapman
The Moor: Alexander Varona
Sloists and corps de ballet from Danza Contemporáanea de Cuba

Musicians & Arrangements
Bass: José Varona
Percussion: Hammadi Rencurrell
Keyboards: Yadasny Portillo
Batá: Dreiser Durruthy
Tumbadora: Dismer Hechavarría

アコスタの自叙伝をベースにした物語で、トコロロという名前の少年が田舎からハヴァナに出てきてダンサーとして大成していく様をダンスを主体とする演技で綴ったもの。
人気のあるアコスタ見たさに満員の観客が詰め掛けていて、舞台はそれなりに面白かったが、アコスタのダンスをもっとたっぷり見たかった。やや欲求不満。ロイヤルオペラが夏休み中のアルバイトという感じである。相手役のVerónica Corveasはキューバ国立バレー団所属であるがカルロスと高度のテクニックで踊るにはちょっと技量不足か。
写真はカーテンコールの両者。
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by dognorah | 2006-08-05 00:31 | バレー

ロイヤルバレー公演(3月25日)

今日は3種類の演目を上演するMixed Billです。
(1) Polyphonia
Music: György Ligeti
Choreography: Christopher Wheeldon
Design: Holly Hynes
Lighting: Mark Stanley
Ballet Master: Christopher Saunders
Piano: Henry Roche

Dancers
Leanne Benjamin
Alina Cojocaru
Deirdre Chapman
Lauren Cuthbertson
Martin Harvey
Federico Bonelli
Valeri Hristov
Edward Watson

c0057725_6165233.jpgこれはNYシティバレーの作品で、ピアノ伴奏だけで踊る30分程度のバレー。全員地味なブルー系のタイツ姿で、照明もかなり暗め。全部で10部に分かれていて、二人で踊るものから全員で踊るものまでいろいろヴァリエーションがありますが、基本的に体操または曲芸のようなアクションにバレー味をつけた感じで、2002年にオリヴィエ賞を取ったそうですがあまり楽しいものではないと思いました。コジョカルの姿だけ目で追っていました。写真はコジョカルとボネリです。

(2) Castle Nowhere
Music: Arvo Pärt
Choreography: Matjash Mrozewski
Set Designs: Yannik Larivée
Costume Designs: Caroline O’Brien
Lighting: John B. Read
Conductor: Barry Wordsworth
Orchestra: The Orchestra of the Royal Opera House

Dancers
Zenaida Yonowsky
Edward Watson
Belinda Hatley
Lauren Cuthbertson
Isabel McMeekan
Gary Avis
Brian Maloney
Joshua Tuifua

初日なので今夜が公式の世界初演です。
音楽はエストニア生れの作曲家アルヴォ・ペルト(1935-)のものですが何年の作曲かはわかりません(Webで調べたのですが)。彼はソ連の圧制を逃れてヴィーン経由でベルリンに移住、現在もそこにいるようです。この音楽は現代的な響きながらもとても美しい曲です。

振り付けはカナダのマティアシュ・ムロゼフスキという30歳の若手です。かつてはダンサーだったのですが5年前に振付師に転向しました。2004年にROHの2軍的ステージであるLinburyで上演するための小品を発表し好評を博したことから、今回メインステージ用の作品をROHより委嘱されたもの。

c0057725_617304.jpgステージはヤノフスキーとワトソンをフィーチャーしながらも他の3組も入り乱れて踊ります。筋は不明ながら何らかのストーリーはあるようです。女性は4種のおとなしい中間色を使ったロングドレス、男性は黒のフォーマルで、優雅ながらも高度なテクニックも織り交ぜたダンスですばらしい。音楽とのマッチングも非常に調和の取れたもので、20分という比較的短い作品ながら強い感銘を与えてくれました。非常に才能豊かな振付師と思います。舞台挨拶に出てきた姿は、バレーをやっていたとは思えない小太りの若者でした。今後のために名前を覚えておきましょう。写真はヤノフスキーとワトソン。

(3) Requiem
Music: Gabriel Fauré
Choreography: Kenneth MacMillan
Staging: Monica Parker
Designs: Yolanda Sonnabend in association with Peter Farley
Lighting: John B. Read
Ballet Master: Christopher Saunders

Soprano: Catherine Bott
Baritone: Mark Stone
Chorus: The Royal Opera Chorus
Conductor: Barry Wordsworth
Orchestra: The Orchestra of the Royal Opera House

Dancers
Darcy Bussell
Leanne Benjamin
Carlos Acosta
Rupert Pennefather
Sarah Lamb
Laura Morera
Lauren Cuthbertson
Yohei Sasaki
Ricardo Cervera
Valeri Hristov
Viacheslav Samodurov
Deirdre Chapman
Belinda Hatley
Isabel McMeekan
Gillian Revie
Gary Avis
and Artists of The Royal Ballet

このバレーはマクミランが、友人でシュトゥットゥガルト・バレーのディレクターであったJohn Crankoの1973年死去を悼んで制作したもので、ロイヤルバレーで1976年に初演されたものです。今回は33回目の公演で、私は初めて見ましたが甚く感動しました。
音楽はよく知られたフォーレのレクイエムですが、振り付けの美しさ、またそれにマッチしたシンプルなステージと照明は本当にすばらしい。衣装は流線型の模様の入ったタイツが主ですがベンジャミンはタイツが白で白の長いスカートを着け、アコスタは腰巻だけの裸です。ダンスはヴァリエーションに富み、マクミランらしい難度の高いデュエットなどもいっぱいでとても見ごたえがあります。
バッセル、ベンジャミン、アコスタは多数の中でもすばらしい踊りが目立ちます(注目しているからかもしれません)。一人代役で出たSoloist格のペニーファーザーがややリフト等がおぼつかなく、相手役のベンジャミンがひやひやする場面がありましたが大きな失敗はなかったです。
とにかくこれは完成度が高く、もう一度見たいバレーの一つです。
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写真左は、ベンジャミンを支える4人の男性とバッセル、右は、ベンジャミンを肩でリフトするペニーファーザーとアコスタです。

以上の写真はすべてJohn Rossというプロの撮ったものをネットから借用してきました。彼は昨日の午前中に行われたリハーサルで撮ったと思いますが、アップが早いのにびっくりです。
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by dognorah | 2006-03-27 06:28 | バレー

バレー「ロメオとジュリエット」(3月3日)

ロイヤルバレーの公演です。

音楽:Sergey Prokofiev
振付け:Kenneth MacMillan
デザイン:Nicholas Georgiadis
指揮:Mikhail Agrest

Juliet: Tamara Rojo
Romeo: Carlos Acosta
Mercutio: José Martín
Tybalt: Thiago Soares
Benvolio: Yohei Sasaki
Paris: David Pickering
他多数

遅刻をしたので第1幕を見れず。
第2幕の群舞はなかなかすばらしい。その中でもアコスタのロメオの一段と高いジャンプにしなやかな肢体がひときわ目立つ。久しぶりに見る彼は少しやせた印象を受けたが、ダンスは相変わらず見栄えがする。佐々木もマーティンもいつもの安定した踊りである。
第3幕でようやくロッホとアコスタのデュエットがあるものの振付けはあまり派手ではない。仮死状態のジュリエットをロメオが嘆き悲しんで抱えながら踊るシーンがあるが、本当の死体のように筋肉に力が入っていないかのごとくロメオに合わせて抱えられるジュリエットの演技はなかなかのもの。

舞台も衣装も古典的でとても美しい。音楽と振付けも違和感なく溶け込んでいる。オーケストラの音だけ聴いていてもいいくらいのすばらしい演奏だった。
しかしマクミランの振付けにしては退屈なバレーだ。いつごろの振付けか知らないが恐らくまだ若いころの作品だろう。今日が379回目の公演だというから。第1幕からずっと見ていた連れの言葉でも、1幕最後のバルコニーでのデュエット以外は見るべきダンスはなかったらしい。後ろの席からはいびきも聞こえたそうな。あの「マノン」で見せてくれたすばらしい振付けに匹敵するものじゃないとせっかくのプリンシパルダンサーがもったいない。私にとってはマクミランのロメオとジュリエットはこれが最初にして最後となるでしょう。
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写真は、カーテンコールに応えるタマラ・ロッホとカルロス・アコスタです。二人には惜しみない拍手とブラボーでした。
ところで、このPrincipalに格付けされているダンサーと、佐々木のようにそのすぐ下のFirst Soloistに格付けされている人の違いは何かという視点で見ると、ダンスの切れがかなり違うということがわかりました。専門的に見るともっといろいろあるのでしょうけれど。
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by dognorah | 2006-03-04 21:56 | バレー

今年観たバレー

続いてバレーですが、少ないです。
・ チャイコフスキー:白鳥の湖(マシュー・ボーン振り付け)
  ホセ・ティラド、ニール・ウエストモアランド、オクサナ・パンチェンコ他
・ マスネー:マノン
  タマラ・ロホ、カルロス・アコスタ他
・ マスネー:マノン
  シルヴィー・ギエム、マッシモ・ムッル他
・ ストラヴィンスキー:春の祭典他
  タマラ・ロホ他
・ ストラヴィンスキー:兵士の物語
  アダム・クーパー、ゼナイダ・ヤノフスキー他

以上、4演目5回ですがすべてレベルが高く、一つだけ選ぶとすれば、ロホとアコスタのマノンでしょうか。この二人の息の合った美しいダンスの完成度は感涙ものでした。
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by dognorah | 2005-12-31 20:48 | バレー