カテゴリ:観劇( 15 )

ロイヤルオペラハウス昨シーズンの統計データ

2006年8月で終わった昨シーズンの活動について興味深い数字が一部ですが発表されています。それによりますと、

・£1の補助金(主に宝くじの収益金から回される)を使って£2の収益を得たお陰で7年連続の黒字決算を達成。(収益はたぶん寄付金、広告、入場料などでしょう)
・オンラインによる切符販売の売り上げは700万ポンド(15.4億円)以上。
・メインステージでの公演数は285。
・他のステージでの公演数は426。
・BP Summer Big Screensの聴衆は41000人以上。
・教育プログラムを通じて14万人以上の子供と親が参加。
・メインステージでの学校用のマチネー公演に9324人の子供が出席。

決算の詳しい数字というのは見たことがありませんが、興味津々です。発表されるものなのかどうか知りませんが。何はともあれシティが活況で寄付は集まりやすい環境だと思います。健全なる財政が継続して運営されるのはオペラとバレーファンにとっては歓迎すべきことです。
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by dognorah | 2006-09-29 03:26 | 観劇

市川海老蔵(11代目)ロンドン公演

6月4日、Sadler’s Wellsにて。

ここで歌舞伎をやるのは3-4年ぶりか。前回は近松の浄瑠璃「曽根崎心中」をやったので中村雁次郎と扇雀など今回よりたくさん来てはるかに華やかな歌舞伎だったけれど(浄瑠璃は本当の歌舞伎じゃないという意見もありますが)今回は主演二人だけの小規模公演です。

演目
・藤娘(30分)
   市川海老蔵(藤娘)
・かさね(50分)
   市川亀治朗(かさね)
   市川海老蔵(与右衛門)

藤娘は海老蔵の女形としての踊り。しらふのときと酒を飲んで酔っ払ったときの踊りの違いを見せる。衣裳を2回替えるので舞台上での早業を見れるのかと思ったら、全くそんな用意はしていなくて舞台裏に引っ込んでかなり時間をかけて着替えただけ。イギリス人観客も多かったので引き抜きの技を見せてあげたかったなぁ。

かさねは怪談物。人殺しなど平気でやってのける悪浪人、与右衛門は腰元のかさねに手をつけて妊娠させてしまう。当局から追及の手が伸びているのでとんずらを考えているがかさねから一緒に連れて行けと縋られてしまう。そこに川の水に流れて鎌が刺さったどくろが到着する。卒塔婆も一緒についており、それはかつて与右衛門が殺した男のもの。ところがその男はかさねの父親であり、自分を殺した憎い男と駆け落ちしようとする娘に憑依して顔に醜い傷跡を現す。それを見て嫌気が差した与右衛門はその鎌を使って彼女も殺す。
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荒事の様式がきちんと表現された本物の歌舞伎でした。海老蔵も悪くなかったけれど題名役の亀治朗はとても上手かった。写真はカーテンコール時のものです。下の写真は、花道もちゃんと作ってあるところを示したものです。藤娘でカーテンコールがなかったのは残念。
前回のときもそうだったけれど、イギリス人観客で声を出す人が数人いて、盛んに「Naritaya!」とか「11代目!」とか掛け声を発していました。また、私たちの隣にいたイギリス人女性の二人組は歌舞伎を見るのは初めてで翻訳機も借りずに見ていたのに、舞台だけで大体の筋を掴んで感動して泣いていました。全くの異国の文化を見るために大枚叩いて入場するというのも感心しますが、それを理解するという感受性にも感嘆です。こういう人たちが多くの芸術を支えているんでしょうね。
私はもっと別の演目、例えば「勧進帳」みたいなのを見たいものだと思っていますが、ここはロンドン、贅沢いっちゃいけませんね。次回はいつになるでしょう。
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by dognorah | 2006-06-07 01:04 | 観劇

アダム・クーパー主演の「Wallflowering」

マシュー・ボーン(Matthew Bourne)の「白鳥の湖」で一躍世界的に有名になったバレーダンサー、アダム・クーパー(Adam Cooper)はその後マイナーなプロダクションで踊ったり、振り付けをやったりといろいろやっているもののあまりぱっとしない。以前、ストラヴィンスキーの「兵士の物語」という台詞入りのバレーに出演したときの模様を記事にしたが、それほど好評とも言えない地味な出来であった。その後、今年の2月に日本で初演した「危険な関係」という自分でプロデュースした作品をイギリス中で公演したものの評判は冴えない。

その彼が、ケント州のセヴンオークス(Sevenoaks)というさほど大きくもない町の劇場で標記の題名の演劇を奥さんであるSarah Wildorと共に上演しているのを見に行った。ロンドンから一般道路をゆっくり南下して1時間足らずの距離である。私のパートナーが彼の大ファンであるので引っ張られた行ったようなもの。まあ、ロイヤルバレーの最高地位であるPrincipal Dancerを勤めていた二人のダンスを見るのも悪くなかろうと思ったわけだ。

c0057725_199795.jpgしかし、ダンスといっても社交ダンスをほんの少し踊るシーンがあるだけで、大部分は二人(出演者はこの二人だけ)の会話、それも日常生活における夫婦の噛み合わないもので、退屈極まりない。左の写真は演じるアダム・クーパーとセーラ・ワイルダー。クーパーは眼鏡と付け髭で扮装しているのでちょっとイメージが違うが。
元一流ダンサーといえどもダンスだけでは食っていけなくなった二人は演劇の方向に変身中ということか。芝居そのものは非常にうまいというわけではないがそこそこのレベルではある。今回の台詞は原作通りオーストラリア英語であるが、一応それらしく明瞭な発音であった。しかし、ダンスを期待していった私にはrubbishである。私のパートナーは、目と鼻の先でパフォーマンスをするアダム・クーパーに感激していたが。何しろ劇場といっても、昔のダンスホールを模様替えしたもので、平坦なフロアの周りに2重に椅子を並べ、真ん中の空間(5m x 10mぐらい)で彼らが演技するので、下手をすると観客とぶつかる可能性もある身近さなのだ。観客数は80名程度で満席。

彼らはこれからのパフォーマンスの方向を模索しているのであろうが、才能ある二人のダンサーの先行きが心配である。さすがにダンスシーンはうまかったが。

あらすじ
場所は70年代のとあるオーストラリアの町で長年経営してきたものの、落ちぶれたダンスホールを経営している夫婦の家。世の中の価値観が急速に変化しているのについていけないのが落ちぶれた原因と思った二人はそれぞれ買って二字分はこう変わるべきだと思って意識を変化させるが、それが夫婦の間に亀裂を生み、日常生活での精神的軋轢がストレスとなって口論が絶えない。このあたりは舞台に登場した直後の二人のスムーズなダンスが途中でちぐはぐになることでも表現される。しかし、いろいろ口論をしている家庭で自分たちは変わる必要はなく、昔通り振舞えばいいんだということに思い当り、仲直りして最後に華やかな衣装に着替えてパサドーブレはじめいくつかの華麗なダンスを披露して終わる、というコメディタッチの物語。

原作:“Wallflowering”by Peta Murray
監督:Julian Woolford
振り付け:Adam Cooper & Sarah Wildor
プロデューサー:Helen Winning
照明:Mark Gilchrist

なお、このプロダクションはArts Council of Englandという宝くじの収益金を芸術活動に分配する団体から10万ポンド近くの補助を受けて可能になったということである。

15回程度公演されるスケジュールで最終日のマチネーに行ったのだが、ほぼ満席であった。こういうローカルな劇場というのに、日本からわざわざ見に来た人が少なくとも3名はいた。さすがにアダム・クーパー。その中の一人、中年の男声に話を伺ったら、この公演以外に昨日の夜も見たし、この後の夜の公演も見るという。話していて、この人をリンバリー劇場の「兵士の物語」のときも見かけたことを思い出した。クーパーの公演があると聞くと世界中どこでも行くという。私が、「今日の公演は退屈ですねー」なんてナイーブなコメントを出したら嗜められてしまった。「私は彼が出ていさえすれば内容なんてどうでもいいのです!」と。
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by dognorah | 2005-10-24 19:13 | 観劇

ウインブルドンでミュージカル

今日は地元のNew Wimbledon Theatreというところにミュージカルのハイライトを見に行った。この劇場(写真)はNewとついていてもビクトリア時代に新しく建て直したという意味である。
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ローカルながら結構世界的に知られたアーティストもツアーの一環で来ることもある。

今日は、Broadway!と銘打って有名なミュージカルのポピュラー曲をダンスを交えて歌うというショーである。次の写真は舞台の一部。
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West EndやBroadwayでやっているショーの演出にとらわれずに独自の振り付けと豪華な衣装で楽しませようという趣旨で、結構楽しめた。

例えばCatsの「メモリー」では歌手のそばで二人のダンサーがバレー風の振り付けでかなり高度なテクニックを披露してくれる。女性の方は全身を白地にちょっとサイケな模様のタイツに身を包み、男性は上半身裸で下半身はタイツで共に体の線をくっきり出した姿で踊っていたが、これがなかなかよく、今夜で一番楽しめた。あの鳥肌が立つ猫姿のちんけな踊りよりよっぽどましだ。

たまにはこういうお気軽エンタテインメントもいいだろうと思った。
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by dognorah | 2005-04-02 07:13 | 観劇

ロンドンで落語を楽しむ

昨夜はロンドンのレストランの定休日を利用した特別催し物があった。

現在文化庁から派遣されている笑福亭鶴笑師匠の落語とその弟子の笑子さんによる腹話術のショーである。久しぶりに涙の出るほど笑わせていただきました。

終了後は一杯飲みながらお二人を囲んで歓談の場があり、多くの方と知り合いになったこともうれしいことでした。

お二人は普段は英語で現地の学校などでそれらのショーをやり、興味を持った生徒に教えているということですが、当然ながら言葉も含めていろいろ苦労があるようです。でも、興行主が注目し出して、しばらくロンドンで活動してみようかという気になられたのは喜ばしい限りです。今後の成功を影ながら応援したいと思いました。

来英1年だということですが、ロンドンで日本語で落語をやるのは今回が初めてとのこと。次回は英語で披露しましょうということでそれもまた楽しみです。

開店1周年を記念してこういう有意義な場を提供いただいた日本料理屋Soho Japanと、積極的にそれを実現してくださった笑福亭鶴笑師匠に喝采です。
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by dognorah | 2005-03-15 10:19 | 観劇