2007年 12月 05日 ( 1 )

すばらしいチェリストに遭遇

2007年12月3日、ウイグモアホールにて。

Alexander Chaushian: cello
Yevgeny Sudbin: piano

プログラム
Mieczyslaw Weinberg (1919-1996): Sonata No.1, Op.21 (1945)
Ludwig van Beethoven (1770-1827): Sonata in A major, Op.69 (1817)
Robert Schumann (1810-1856): Adagio and Allegro, Op.70 (1849)
Dmitri Shostakovich (1906-1975): Sonata in D minor, Op.40 (1934)

チャウシアンは1977年生まれのアルメニア人で、ロンドンとベルリンの音楽大学を卒業後コンサート活動に。
スドゥビンは1980年レニングラード生まれで、チャウシアンとは逆にまずベルリンで学び後にロンドンのRAMを卒業して現在はロンドン在住。

二人ともすばらしい音楽家で、最初のワインベルグの作品からして二人の作る音楽世界の魅力の虜になりました。チェロは特に朗々と鳴るという印象ではなく松ヤニを連想させる中音のくすんだ響きが特に美しく、スタイルは豪胆で緻密という感じです。ピアノがまたすばらしく左手のデモーニッシュな響きに乗った右手の高貴なメロディなど溜息の出そうな美しさです。
ワインベルグという作曲家は今回初めて聴いたのではないかと思うのですが、ポーランド生まれながら社会主義に憧れてソ連に移住してモスクワで亡くなった人です。途中共産党政府から例によって弾圧を受けて作品の書き直しを要請されても屈せず、投獄までされましたがショスタコーヴィッチの取りなしで出獄したエピソードもあります。そのショスタコーヴィッチとの交友関係でロストロポーヴィッチと知り合い、彼のためにいくつかのチェロ作品を書いたようです。スターリンの死後は積極的に作曲し、オペラ7つ、交響曲を25もものにしています。その割にはあまり演奏されないような。

ベートーヴェンの曲は非常にポピュラーでCDで何回も聴いているものですが、今日の演奏はとても新鮮で啓示に富み、二人の発するエネルギーに陶然となりました。熱演も大熱演、息を飲むチェロとピアノのやりとりに興奮しました。絶対に実演でないと味わえない音楽的体験です。終了後はブラヴォーの嵐。
後半のシューマンとショスタコーヴィッチもそれぞれ立派な演奏で、特にショスタコーヴィッチは二人ともかなり乗っていました。ショスタコーヴィッチの曲もなかなか面白いのですが、名演であっても受ける感動はベートーヴェンとはやはり質が違うようです。
ロビーでは今日のプログラムを含むCDが販売されていましたが、チェリストのものはそれ1枚のみながらピアニストは更に独奏ものを2枚も既に出していました。二人とも別の機会にもう一度聴いてみたい演奏家です。
写真は終演後に挨拶する二人です。
c0057725_622474.jpg

[PR]
by dognorah | 2007-12-05 06:23 | コンサート