2005年 06月 08日 ( 1 )

Rebecca Horn展覧会「Bodylandscapes」

South BankのHayward Galleryで現在開催中の展覧会を観てきた。レベッカ・ホーンは1944年ドイツ生まれのアーティストである。
c0057725_94613.jpg彼女の作品は、絵画、フィルム、詩、彫刻からInstallationまで及び、当初は偶然性のなせる表現を織り交ぜた絵画やInstallationが主作品であった。例えば、モーター仕掛けのスプレーが噴出する絵の具で描くとか(最初の写真)、定期的に運動する鏡による光の投影などである。

そういった作品群は一時期流行したような手法で、私はあまり感心しない。ほとんど感動がない。そういった中で、明確なメッセージを感じる作品もある。
c0057725_95192.jpg例えば左の写真に示すもの。これはモーターが間欠的に動いて、蟹の足のように配置されたナイフが対向するナイフの切っ先と一瞬触れたかと思うとまたゆっくり離れる動作をする。そして左側のナイフには赤い文字が一字ずつ書いてある。L・O・V・Eである。これに対して右側のナイフには黒い文字で、H・A・T・Eと書いてあるのだ。愛と憎しみが織り成す我々の世界を象徴した作品といえるだろう。

それが最近の(恐らく2000年以降の)Installation作品では、モーターと光を使う点は同じだが、スピーカーから流れるニュージーランドの作曲家Haydon Chisholmの静かな音楽と相俟って、Installation全体がより洗練された独特の世界を強く提示している。ひとつの独立した空間が必要であるが、その中では詩を感じるとともに、ほかの芸術とは違う雰囲気に包まれていつまでもそこに居たい気を起こさせる。

今回の最後に展示されている「Light imprisoned in the belly of the whale」がその代表的なもので、暗くした大きな空間の中で複数の投射機によって、壁、天井、床に彼女の詩が黒抜きの文字で回転しながら投射される。床の真ん中には3mx4m程度の四角い水盤が置かれており、天井から吊り下げられた巨大な針状の棒が水面近くをモーターの力でランダムな軌跡を描いて行く。その動きは間欠的である。私も含めて多くの観客が心を打たれてその部屋のあちこちにたたずみ、瞑想にふけっていた。「鯨の腹に閉じ込められた光」とはよく言ったものだ。

最新のInstallation作品というものは最近ずいぶん見ているのだが、感想を書けるほどの感銘を受けたものはこれが最初かなという気がする。
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by dognorah | 2005-06-08 09:07 | 美術