2005年 06月 03日 ( 1 )

ロンドン交響楽団のリハーサル

c0057725_440252.jpg現在ロンドンで実力一番といわれているロンドン交響楽団が毎月一度だけリハーサルを公開していることを知り、練習場であるSt Luke’sというBarbican Hallの近くにある元教会に駆けつけた。参考のために外見と内部の写真を掲げる。
c0057725_4404637.jpg
感心したのは、ロンドン交響楽団がかなりのお金持ちであること。練習場としての目的でこの建物を買い取り、コンサートも開催できる程度にまで内部を改装したのだ。元教会だけに窓が多いので、内側から丈夫な金属フレームに嵌められたガラスをすべての窓に取り付けるなど防音処置を施し、天井と床は板張り、太い鉄の柱を4隅に立てて天井を支えると共に照明装置なども設置してある。さらに観客席(300席程度)を1階の一部と2階のギャラリーに設けてある。音もいいのだ。この改装費だけでも何億円とかかるだろう。

c0057725_4465491.jpgさて、本日のリハーサルは、ロストロポーヴィッチの指揮でチャイコフスキーの交響曲第4番と、ショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲第1番である。ヴァイオリン独奏は、木嶋真優という19歳の才媛(左の写真)。

チャイコフスキーは、いきなり演奏開始、金管が終わって弦が鳴り出すとすぐにストップさせて注文をつける。この有名なチェリスト兼指揮者、国際的キャリアーが長いものの、いかにも外国人という感じの下手な英語にまずびっくり。あまり細かいところは指示が100%は伝わらず、コンマスとチェロのトップがしょっちゅう指揮台の譜面のところにやってきて確認している。遠くの楽団員からは質問も発せられる。自分の譜面を指揮者に見せて違うんじゃない?なんて感じの場面もある。ということでこれは時間がかかるぞと思っていたらポイントを数箇所やっただけですぐに第2楽章へ。ここはトランペットとトロンボーンは演奏場面がないので、彼らはさっさと練習場を出る。コーヒーでも飲んでいるのかしら。第2楽章も結構やり直し場面があった。気に食わないフレーズをロストロポーヴィッチが、腰に手を当てて体をふにゃふにゃくねらせて、お前らの奏でるメロディはこんなだよー、とやって笑わせる。そろそろ第3楽章が始まろうかというときにはちゃんと金管連中も席に戻る。こういう調子で各楽章のポイントポイントだけをみっちり練習。曲は冒頭部分と終曲の部分はなぜかきっちりと演奏されたが通しての演奏はなし。リハーサル時間は50分で終わり。思うに、午前中にもリハーサルをやっていたのだろう。ここでずいぶん沢山の楽員が帰った。逆に新登場の楽員もいる。

しばし休憩の後、ソリストの木嶋さんと一緒に指揮者が登場。初顔合わせらしく、指揮者が木嶋さんをみんなに紹介していた。彼女全く物怖じしないで、いきなり冒頭部分を引き始め、オケも追随する。そのまま第1楽章を中断なしで終える。全く問題がないということですぐに第2楽章へ。
ところが第2楽章は問題だらけらしく、オケに対して何度も何度もやり直し。第3楽章も第4楽章もそうだった。第4楽章など通して2回も演奏した。そのたびに終了後楽員が彼女へ拍手を贈る。この曲、第2楽章は不協和音の単調な繰り返しがあってちょっと退屈だが、第3楽章は美しく、第4楽章は楽想もちりばめられ、強弱の変化も富んでいてとてもすばらしい。とにかく、初リハーサルのせいかこの曲だけで80分ぐらいの時間を使った。翌日がバービカンホールでの本番なので、きっと後はいわゆるゲネプロを本番直前にやるだけなのだろう。リハーサルというのは意外に短いんだなーと思った次第。指揮者にもよるだろうけれど。

リハーサル中、ロストロポーヴィッチ氏はオケに注文をつけるだけで木嶋さんにはあまり指示はしない。これから察するに、指揮者はソリストと既に綿密な打ち合わせを済ませているみたいであった。あとでWebで調べると、ロストロポーヴィッチ氏はモスクワで彼女のブラームスの協奏曲を聴いて以来、世界最高の若手ヴァイオリニストと評価し、自分の指揮するあちこちのオケと共演させている。したがってこの曲もどこかで弾いているはずである。

木嶋さんは13歳のときにポーランドのヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール・ジュニア部門で最高賞(1位なしの2位)を獲得したのを手始めに世界各地で賞を取っているらしい。今年始めから世界中のオケと協奏曲の予定が沢山入っているようだ。

ロストロポーヴィッチ氏、昔チェロも指揮も見たことがあるはずで、割と背の高い人だった印象がある。しかし今日間近で見ると意外にずんぐりむっくりだった。あれーという感じ。太ったせいかしら。リハーサルは精力的で、時には指揮棒で譜面台をたたきながら拍子をとったり、指示をがんがん飛ばしながらコントロールしたり。オケのリハーサルというものをビデオ以外で見るのは初めてだけれど、すごく面白かった。来月も行こうと思う。

ショスタコーヴィッチでは、ハープを2本使うがそれが第1楽章だけなのだ。で、第2楽章に入ると、二人のハーピスト、さっさとハープをケースに入れて台車に乗っけてごろごろさせながら帰っちゃった。とにかく自分の出番がなくなると即退出するというのが面白い。
[PR]
by dognorah | 2005-06-03 04:50 | 音楽