2005年 06月 01日 ( 1 )

バッキンガムパレス美術館のフェルメール

Queen’s Galleryは恐らく10年ぶりぐらいの再訪でした。現在の特別展は17世紀オランダ絵画です。英国王室ではチャールズ1世以降ジョージ4世ぐらいまでオランダ絵画を蒐集する趣味があったようです。そのため、オランダ絵画だけで200点ぐらいのコレクションになっています。今回の特別展はその中から約100点ぐらいが展示されていました。もちろんフェルメールとレンブラントが含まれているので再訪したわけです。

c0057725_965334.jpgそのフェルメールは、「A Lady at the virginals with a gentleman」別名「Music lesson」という題名のものです。大きさは74x64cmでフェルメールにしては大きめの部類です。彼が32ないし35歳のときの作品で、非常に精緻な描き方でかなりのエネルギーを感じます。左側と奥の壁に注目すると、光に応じた微妙な壁の色の変化の表現法に圧倒されます。画面真ん中にある椅子の青色は彼が好んだ色で、有名な「真珠のイアリングをつけた少女」のターバンと同じ色だそうです。その同じ系統の薄い色がvirginalsの影になっている壁にも使われ、椅子の唐突な青が和らいでいます。手前のテーブルにかけてある織物のなんと精緻に描かれていることか。この絵を顕微鏡で調べた研究者によると、絵全体が細かい点描のような手法で描かれているそうです。相当な時間がかかったでしょう。

右上にはこれもよく使われるキューピッドの姿が半分描かれています。二人の男女の関係を暗示しているのでしょうか。この絵では珍しく鏡もあります。向こうを向いている女性の顔を映すのはわかりますが、フェルメールのイーゼルも映っているのです。これは何を意味するのでしょう。鏡の向こうの世界でその女性に思いを寄せるフェルメールを表現したかったのでしょうか。この鏡を使うという方法はベラスケスの「宮廷の侍女たち」が有名ですが、このフェルメールより30年ぐらいあとなので、この絵の影響を受けた可能性もありますね。

とにかく飽きずに観察できる絵です。どこをとってもただただ感心するばかり。これでロンドンにある4枚の絵はすべて再鑑賞したわけですが、この絵に最も感銘を受けました。UKには後一枚がエディンバラにありますが、初期の作品でしかも宗教画なので私はあまり興味がなく、そこまでもう一度見に行く気はありません。
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by dognorah | 2005-06-01 09:08 | 美術