「ヴァルキューレ」公演

2008年8月9日、バイロイト祝祭劇場にて。
出演者情報に誤りがあり、8月12日に修正しました。
Die Warküre(ニーベルンクの指輪、第1夜)
CAST
Siegmund: Endrik Wottrich
Hunding: Kwangchul Youn
Wotan: Albert Dohmen
Sieglinde: Eva-Maria Westbroek
Brünnhilde: Linda Watson
Fricka: Martina Dike (Michelle Breedtの代役)
Gerhilde: Sonja Mühleck
Ortlinde: Anna Gabler
Waltraute: Martina Dike
Schwertletie: Simone Schröder
Helmwige: Edith Haller
Siegrune: Wilke te Brummelstroete
Grimgelde: Annette Küttenbaum
Rossweisse: Alexandra Petersamer

歌手はすべて二重丸の出来。昨日は迫力のない歌唱でがっかりさせられたフリッカは今日は美声とものすごい迫力ある歌唱で、びっくり。Michelle Breedtは病気降板でヴァルキューレ役の一人Martina Dikeが代役で出演したのだった(下の写真)。恐らくMichelle Breedtは昨日から体調が悪かったのだろう。何しろカーテンコールにも全く出てこなかったぐらいだから。それにしてもヴァルキューレなんかの端役に出ている人がこんな実力者とはさすがバイロイト、恐れ入りました。
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ブリュンヒルデを歌ったリンダ・ワトソンはフェスティヴァル開始直前に降りたAdrienne Duggerに代わって起用された人で、初めて聴いたがすばらしい歌唱で文句なし。ROHで聴いたリサ・ガスティーンより遙かに良い(下の写真)。
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クワングチュル・ヨーンもあの体であの迫力ある声量、言うことなし。演技もうまい。もう少し上背があれば舞台映えもするのだが惜しい。ジークリンデとジークムントもすばらしい歌唱だったがROHで聴いたときの方がより印象は強かった。ヴォータンは昨日と変わらず安心して聴いていられる。

管弦楽はまるで昨日とは別のオケのようにすばらしい音であり演奏だった。金管も全くミスが無く柔らかい音色で、美しい弦とともにうっとりさせられた。演奏自体も昨日とは打って変わって最初から緊張感が持続するような密度の高いもの。ドラマが盛り上がる部分での心に響き渡る音楽のなんとすばらしいこと。これがティーレマンか。

演出と舞台は今回もなかなかよく出来ている。第1幕でのフンディンクの家では室内になぜか折れた電柱が電線や瓦礫とともに横たわっている。ジークリンデの抑圧された心を表現しているのか。兄妹であることがわかった二人の喜びを表現する仕掛けもすばらしい。また第2幕冒頭でヴォータンが岩の上からたなびく雲を見渡す場面は雄大さと天上に住む神の威厳がよく表現されていて素敵だ。その岩にブリュンヒルデが寄りかかるように寝転がって二人の親密な関係を表現している。「ラインの黄金」のライン娘と同様アクセントにヴァルキューレの赤いコスチュームが効果的だ。二人の長い対話の場面ではヴォータンが踏んでいた岩が回転して左目がつぶれた彼自身の顔が現われて過去を見せたりヴォータンの影と思しき男が折れた槍をもって現われ、未来を暗示したりなかなか凝ったこともやっている。相変わらず現代の普通の人がちょこちょこ舞台に出てくるシーンが時々挿入されるが。

ともかく、とても質の高い「ヴァルキューレ」で大変満足した公演であった。

前半の立役者3人。左からSiegmund: Endrik Wottrich、Sieglinde: Eva-Maria Westbroek、Hunding: Kwangchul Youn。
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終了直後の舞台と出演者達。
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今日のChristian Thielemann。
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by dognorah | 2008-08-11 01:48 | オペラ
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