ストラヴィンスキーのオペラ「The Rake’s Progress」公演

2008年7月7日、ROHにて。

The Rake's Progress
Opera in three acts
Music Igor Stravinsky
Libretto W.H. Auden and Chester Kallman

Conductor: Thomas Adès
Director: Robert Lepage
Set designs: Carl Fillion
Costume designs: François Barbeau
Lighting design: Etienne Boucher
Choreography: Michael Keegan-Dolan
Video: Baris Firquet

The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Co-production with Theatre Royal de La Monnaie, Brussels, Opera National de Lyon, San Francisco Opera and Teatro Real, Madrid, in collaboration with Ex Machina, Quebec

Cast
Anne Trulove: Sally Matthews
Tom Rakewell: Charles Castronovo
Trulove: Darren Jeffery
Mother Goose: Kathleen Wilkinson
Nick Shadow: John Relyea
Baba the Turk: Patricia Bardon
Sellem (an auctioneer): Peter Bronder
Madhouse keeper: Jonathan Coad

ストラヴィンスキーがウイリアム・ホガースの同名の銅板画シリーズを見て作曲を決意した作品。言語は英語です。音楽は過去の作曲家のいろいろなテーマも使われているらしく、物語もファウストに似たようなところもあります。

カナダの演出家、Robert Lepageの仕事がすばらしく、よくできた舞台装置やコスチュームと相俟ってオペラとして大変楽しめました。実に細かいところまで念入りに演出され、笑どころも満載で最初から最後まで感嘆しきり。歌手は超一流が出演していたわけでもないのにこれだけ満足を与えてくれた舞台は初めて経験するものです。初日だったのでカーテンコールで演出家も登場しましたが彼にだけブラヴォーを進呈しました。
実は予習で1996年のザルツブルグフェスティヴァルでの公演のDVDを見て、このオペラへの失望感であまり期待しないでコヴェントガーデンに行ったのでした。しかし期待に反してすばらしいプロダクションで、あのザルツブルグは一体何なのかと思いました。歌手だって今回の人たちより上手いのに。ストラヴィンスキーの作品を貶めるようなひどい演出をしたのはペーター・ムスバッハ(Peter Mussbach)で、画面を見ていて退屈さを通り越して不快感さえ感じました。

今回の歌手ですがタイトルロールのチャールズ・カストロノーヴォは予想通り大した声ではないものの無難な歌唱でした。恋人役のアンを演じたサリー・マシューズは全面的に好きという声ではありませんがかなりの美声で歌も上手かったと思います。Nick Shadowという悪魔役を演じたジョン・リライアは過去に何度もすばらしい歌唱を聴いてきましたがこの日も満足できる声であり演技でした。Baba the Turkを演じたパトリシア・バードンも文句なしの上手い歌唱と演技です。この役はザルツブルグでも髭をつけていたので台本がそうなっているんでしょうね。今回は手足まで毛を生やしていました。
Trulove(アンの父)を歌ったDarren Jefferyは大きな図体に相変わらず蚊の泣くような声ですが、劇場側がこれはイカンと思ったのか途中からスピーカーのヴォリュームを思い切り上げていました。
トーマス・アデスの指揮するオケはまあ普通の出来でストラヴィンスキーの音楽を十分楽しませてくれました。

写真は左からソプラノSally Matthews、指揮者Thomas Adès、演出家Robert Lepage、一人置いてテノールCharles Castronovo、バスJohn Relyeaです。
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あらすじ
アンとトムは恋人同士ながら彼はお金がなくて二人はなかなか結婚できない。トムが「ああ、お金が欲しい」と溜息をつくと地下から悪魔扮するニック・シャドーが現れ、トムの伯父が死んで財産をトムに残したと言ってトムをそこから連れ出してロンドンに行く。二人はある契約をする。シャドーはロンドンでは彼に娼婦を抱かせたり、髭を生やしたトルコ人女性と結婚させたり、挙げ句の果てにインチキ機械を販売するビジネスで金を使い果たさせてしまう。その間心配したアンがやってきたりするが追い返されてしまう。1年後に本性を現した悪魔は契約に基づいて彼に支払ってくれと凄む。トムがお金がまたできたら支払うと言うと、欲しいのは金ではなく魂だと。最後に悪魔が譲歩して、トランプのカードを3枚的中させたら許してやるということになり、トムはそれらをすべて的中させる。悪魔は滅亡するが最後の呪いでトムは精神異常を来す。精神病院に彼を訪ねてきたアンも落胆して去る。
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by dognorah | 2008-07-08 22:46 | オペラ
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