ヴェルディのオペラ「ドン・カルロ」公演(ロイヤルオペラ)

2008年7月3日、ROHにて。

Don Carlo
Opera in five acts (1886 version)
Music Giuseppe Verdi
Libretto Joseph Mery and Camille du Lode after Friedrich van Schiller's dramatic poem,

Conductor: Antonio Pappano
Director: Nicholas Hytner
Designs: Bob Crowley
Lighting design: Mark Henderson
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
Don Carlos: Rolando Villazón
Tebaldo: Pumeza Matshikiza
Elizabeth of Valois: Marina Poplavskaya
Count of Lerma: Nikola Matišić
Countess of Aremberg: Elizabeth Woods
Carlos V: Robert Lloyd
Rodrigo: Simon Keenlyside
Philip II: Ferruccio Furlanetto
Princess Eboli: Sonia Ganassi
Priest Inquisitor: Alexander d'Andrea
Voice from Heaven: Anita Watson
Grand Inquisitor: Eric Halfvarson

ロイヤルオペラでは随分長い間上演されていなかった演目で、私がコヴェントガーデンで見た記憶があるのはキーロフオペラが客演したときぐらいなものです。従って今回のプロダクションが何年ぶりの新作かよく知りませんが、1985年にハイティンクが指揮したもののDVDは持っていますのであるいはそれ以来かも。台本は1985年と同じく1886年版で5幕ものです。つまり一般に上演されるフランス語版とほぼ同じ内容らしい。

キャストではロドリーゴを歌ったサイモン・キーンリーサイドは2006年12月にヴィーンで同役演じたのを見ましたが今回もほぼそれと同様に立派な歌唱で、声の迫力はヴィーンの時の方がありましたが、今日は声の艶がそのとき以上の魅力的なものではないかと思いました。
ロランド・ビリャソンの声を聴くのは昨年バルセロナで聴いたマノンのデ・グリュー役以来ですが、その間声が出ない不調期間があったものの今日は全盛期を思わせるすばらしい歌唱で魅力的な高音がよく出ていました。ヴィーンではホセ・クーラがややキーンリーサイドに押され気味でしたがビリャソンはそういうこともなく立派に渡り合っていました。
フィリッポ2世役のフェルッチョ・フルラネットは過去に何度かROHで見ていますが最近のものは2004年の「運命の力」なので久々の登場です。私は2006年にパリの「シモン・ボッカネグラ」でも聴いていますがそれでも2年振りです。今回も迫力あるすばらしい低音を響かせてくれて歌唱は大満足です。
エリック・ハーヴァーソンが演じる大審問官もなかなかよかったし、カルロ5世を歌ったロバート・ロイドも好演。
男性歌手陣がすべて印象的な歌唱を聴かせてくれたものの、女性歌手陣は予想通りいまいちで、不満が残ります。エリザベッタを歌ったマリーナ・ポプラフスカヤは台詞的な場面では美しい声で期待を抱かせるもののアリアになると、もう少しましなソプラノはいくらでもいるだろうにと嘆かせる声と歌唱で魅力はありません。エボリ公女を歌ったソニア・ガナッシは第2幕第2場でのアリアは平板な歌唱であまり感銘を受けません。しかし第4幕第1場での「呪わしき美貌」ではかなり調子を上げていましたがまだ迫力不足と感じます。テバルド役のROHヤングアーティスト、プメザ・マチキザは好感の持てる歌唱でした。

パッパーノ指揮のオケは今日はまるで憑かれたかのような演奏で、音といいアンサンブルといい美しくも迫力ある表現でヴェルディの音楽を堪能させてくれて二重丸でした。

演出ですが、今回は演劇の専門家にやらせたのでオペラ門外漢ですが、オペラを邪魔することのない演出だったと思います。ただ最後の場面は私が過去に見た2回の舞台や、DVDでは突然現れたカルロ5世に連れ去られますが、それとは違ってドン・カルロは衛兵達に刺殺されます。カルロ5世は魂の悩みは天上で解決されるみたいなことを言って幕となりますが、合理的と思います。
舞台装置は冒頭からなかなか美しく好感が持てます。所々手を抜いたのか殺風景な壁だけとなるのが惜しい。衣装はかなり古典的なものでこれもよろしい。

全体としてはすばらしい男性歌手陣とオケの演奏で大変楽しめたよいプロダクションと言えます。

写真は左からSonia Ganassi、Feruccio Furlanetto、Rolando Villazón、Marina Poplavskayaです。
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by dognorah | 2008-07-04 23:57 | オペラ
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