チェロリサイタル

2008年6月2日、ウイグモアホールにて。

チェロ: Thomas Rann
ピアノ: Wu Qian

プログラム
George Crumb: Sonata for Solo Cello
Beethoven: Sonata No.4 in C major, Op.102 No.1
Debussy: Cello Sonata in D minor
Peter Sculthorpe: Requiem for Cello Alone
Tchaikovsky: Pezzo capriccioso, Op.62
Tchaikovsky: Andante Cantabile, Op.11
Martinu: Variations on a Theme of Rossini

またまた若手のすばらしいチェロ奏者を聴きました。オーストラリア人で初期音楽教育は故国で受けたものの2000年にロンドンに来てGuildhall School of Music and Dramaに入学、卒業後は故国を始め欧米で演奏活動。今回がウイグモアホールデビューです。見たところ25歳前後。チェロは18世紀のイタリア製を貸与されているそうです。全体的に明るい音色で低音部にも艶がたっぷりの(多分倍音が多い)音色的にはかなり優れた楽器と思いました。

伴奏のピアニストは1984年上海生まれでそこで音楽教育を受けた後13歳の時に奨学金を得てMenuhin Schoolに入学、現在はRoyal Academy of Musicのマスタークラスに在学中。演奏経歴はRannよりも遙かに華々しく、とっくにウイグモアホールやロイヤルフェスティヴァルホール、クイーンエリザベスホールなどの主なロンドンのホールにはデビュー済みで欧州でも活躍し、TVではBBCだけでなくNHKでも放送されたそうです。

まず最初の曲は1929年生まれのアメリカ人作曲家クラムが1955年に作曲した無伴奏曲。ピチカートを多用した10分程度の美しい曲で、大好きなチェロの中音域がくすんだ響きを放ってなかなか魅力的でした。
ベートーヴェンは二人とも力強い演奏で溌剌としていながらも内省的な深みも感じられる優れた演奏です。ここでもこのチェロの音色の魅力がものを言っています。
ドビュッシーの曲はピアノとチェロのバランスがすばらしく二人のタイミングぴったりの掛け合いが楽しめます。10分程度の短い曲ながら大変楽しめました。
次のスカルソープは1929年タスマニア生まれのオーストラリア人です。レクイエムらしい雰囲気たっぷりの曲想ですがちょっと暗すぎてやや退屈でした。
それを補うかのように次はチャイコフスキーの甘美なメロディでリラックス。
最後のマルティヌーは短いながらも聴き応えのある曲で、ロッシーニのMosesというオペラから取ったテーマの変奏曲です。変奏曲だけあってやたら変化しますがテクニックを要するだろうと思われる部分も軽妙に弾ききります。
今日はいろいろ面白い曲を聴かせて貰いましたが一級のテクニックと魅力的な音色で大変楽しめました。
盛大な拍手にこたえて演奏された曲は誰か知らない作曲家の名前がアナウンスされましたが、ゆっくりしたテンポでチェロの美音がたっぷり鳴るロマンティックな曲でした。
驚いたことにこの人には11にも上る団体がスポンサーになっており、それもあってか終演後は聴衆全員がレセプションに招待されました。赤のスパークリングという珍しいオーストラリア産ワインや白ワインがたっぷり振る舞われる太っ腹振りで仲間共々小1時間のパーティを楽しみました。もちろん演奏者も参加していましたが、舞台で見るのとは違って以外に小さい人(170cmあるかないか)であるのにちょっとびっくりしました。
写真は終演後のThomas RannとWu Qianです。
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by dognorah | 2008-06-04 07:02 | コンサート
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