パウル・バドゥラ=スコダのピアノリサイタル

2008年6月1日、ウイグモアホールにて。

ピアノ: Paul Badura-Skoda
プログラム
Joseph Haydn: Sonata in A-flat major, Hob.XVI/46
Ludwich van Beethoven: Piano Sonata in e-minor, op.111
Frank Martin: Fantasia on Flamenco Rhythms (1973)
Robert Schumann: Symphonic Etudes, op.13

私が若かった頃この人が来日してコンサートの模様がラジオで放送されたし、音楽雑誌にも記事が掲載されていたので名前はよく知っている。イェルク・デームスおよびフリードリッヒ・グルダと共にヴィーン三羽烏といわれて人気を博していたこともよく憶えている。今回のリサイタルを知るまで失礼ながらまだ存命中だということも知らなかった。1927年生まれなので今年81歳になる。因みに今回一緒に聴いた老若男女いろいろの国籍の人に訊いてみたが誰も彼のことは知らなかった。
プログラムの記述を読むと80歳を記念して4大陸でリサイタルを行い、今回はロンドンでも20数年ぶりのリサイタルを開催することになったとある。

私は怖いもの見たさという気持ちもあって行ったが、何の何のまだまだすばらしいピアニズムで感動した。ハイドンは実に味わい深い音と演奏だったし、ベートーベンは今までこの曲にはあまり感動したことがなかったのに奥行きの深い表現に聴き入ってしまった。さすがに出だしのフォルティッシモあたりはやや音が濁っていたが、繰り返しの時にはそれもなくなっていた。3曲目のフランク・マルタン(1890-1974)はスイスの作曲家でこの曲とピアノ協奏曲をバドゥラ=スコダに捧げている。10分程度の曲であるが結構才気煥発さを憶える面白い曲である。最後は華やかに締めくくられるがその音を両手で弾き終わって直ちに聴衆の方に向いてどうだと言わんばかり。笑いを誘っていたが結構茶目っ気のある人だ。最後のシューマンの交響的練習曲も淀みなく緩急自在に演奏して、自然でスムーズな音楽の流れに私など完全に魅了されてしまった。この年でこれだけ弾くということはずっと休みなくコンサートをこなしてきたに相違なく、そういう人にしか表現できない何かを感じることが出来る。すばらしいコンサートに感謝!このところブーレーズ、マゼールと高齢の音楽家達のすばらしい演奏に接してきたが、改めてそういう方々だからこそ出来るある高みに達した演奏と思い知った。
彼は歩く姿も元気だし、すべて暗譜だし、しかも何とアンコールを3曲もサーヴィスしてくれた。最初はトロイメライだったが2曲目はシューベルトの即興曲D935で3曲目もシューベルトか。今後演奏活動を続けるかどうか知らないが、まだ当分大丈夫と思った。
写真は終演後挨拶するPaul Badura-Skoda。
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by dognorah | 2008-06-02 22:58 | コンサート
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