サリアホのオペラ「Adriana Mater」コンサート形式

2008年4月24日、バービカンホールにて。

Adriana Mater (UK premiere)
Music by Kaija Saariaho
Ribletto by Amin Maalouf (フランス語)

Conductor: Edward Gardner
Stage director: Kenneth Richardson
Adriana: Monica Groop (mezzo-soprano)
Refka: Solveig Kringelborn (soprano)
Tsargo: Jyrki Korhonen (bass)
Yonas: Gordon Gietz (tenor)

BBC Symphony Orchestra
BBC Singers

2006年作で同年パリで初演されたもの。パリの公演はフィンランドオペラとの共同制作でフィンランドでは今年2月に初演された。今回の配役はパリとフィンランドの公演に出演した歌手を二人ずつ動員して行われた。彼等は初めて聞く名前の歌手ばかりであるが4人とも何ら不満はない出来であった。
サリアホの音楽は以前作曲者紹介の舞台を見たことがあり、そのときは難解な音楽にかなり戸惑った記憶があるものの本人を目の前で見たことで馴染みを感じていた。今回のオーケストレーションは電子楽器を多用してコンピュータを使って作曲したということだが、新鮮な音響世界で注目に値する。合唱は意味のある言葉を歌うのではなく楽器の一部として人声が使われている印象である。その効果もなかなかのもので、とにかく音楽も音も独自の境地を発現していると言える。かなり感動した。
歌手は4人とも聴衆に見える形でマイクを装着していた。これは作曲者の意図かもしれないけれど、私は大音響のオケと同じ舞台で歌わなければならない歌手に配慮して指揮者が決めたのではないかと推測した。今回の場合はマイク使用は極めて妥当と思われる。
オペラとしては筋を追っていってもレイプシーン以外はあまりアクションが無く、コンサート形式で充分原作の良さは理解できるという印象を持った。
終始、音楽には歌も含めて感銘を受けた。拍手喝采!エドワード・ガードナーはEnglish National Operaの音楽監督を昨年から引き受けた今年33歳の若い人だがすばらしい指揮者と思う。若手ではダニエル・ハーディング、ウラディミール・ユーロフスキーとともに私の応援する指揮者だ。

写真は左から4人の歌手Gordon Gietz、Jyrki Korhonen、Solveig Kringelborn、Monica Groopと指揮者のEdward Gardner。
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【あらすじ】
戦争状態にある現代の国での話し。若い村人で酔っぱらいのTsargoがAdrianaの家を訪問し、我々は以前会ってダンスをしたことがある、つきあってくれと話しかけるが拒絶される。夜になって夢の世界が展開される。AdrianaとTsargoはダンスに出かける。彼女が彼に触れると彼は瓶に変身し、彼女はそれを落として割ってしまう。
次のシーンでは軍服姿のTsargoが、敵が侵入してきたようなので偵察のために屋根に上がらせてくれとAdrianaの家に押しかけて頼む。Adrianaは拒絶するが彼は強引に押し入った挙げ句彼女を強姦する。彼女は妊娠し男の子Yonasを産む。姉のRefkaがあんな男の子を産むなんてと非難するが、彼女は「いや、この子は私の息子であり彼の息子ではない」という。17年後に、Yonasは自分の出生の経緯を知り、母親に対してTsargoを殺すと約束する。夢のシーンではYonasは家族全員を殺し銃を自分自身に向ける。現実世界ではTsargoが数年間の外国暮らしの末に故郷に帰ってくる。Adrianaは姉のRefkaから、ほっておいたらYonasは殺人を犯すことになると警告されるが「彼が父親を殺さなければならないならそうするだろう」と動じない。YonasはついにTsargoの居所を突き止め面会する。しかしTsargoが老人で盲目であることを知るや殺す意志を失う。家に帰って母親に約束を果たせなかったと謝るが、AdrianaはYonasが殺人を犯さなかったことで彼は本当に自分の息子であることを認識し、私たちは復讐されないで救われる、といい、彼等は抱擁する。
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by dognorah | 2008-04-27 09:36 | オペラ
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