ティーレマン指揮の「パルジファル」

2008年3月29日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Parsifal
Bühnenweihfestspiel in drei Aufzügen
Text und Musik von Richard Wagner

Dirigent: Christian Thielemann
Inszenierung: Christine Mielitz
Ausstattung: Stefan Mayer
Chorleitung: Thomas Lang

Amfortas: Falk Struckmann
Titurel: Ain Anger
Gurnemanz: Stephen Milling
Parsifal: Thomas Moser
Klingsor: Wolfgang Bankl
Kundry: Mihoko Fujimura
Erster Knappe: Cornelia Salje
Zweiter Knappe: Daniela Denschlag
Dritter Knappe: Alexander Kaimbacher
Vierter Knappe: Peter Jelosits
Erster Gralsritter: Gergely Németi
Zweiter Gralsritter: Clemens Unterreiner
Erstes Blumenmädchen 1. Gruppe: Ileana Tonca
Zweites Blumenmädchen 1. Gruppe: Jessica Pratt
Drittes Blumenmädchen 1. Gruppe: Sophie Marilley
Erstes Blumenmädchen 2. Gruppe: Simina Ivan
Zweites Blumenmädchen 2. Gruppe: Alexandra Reinprecht
Drittes Blumenmnädchen 2. Gruppe: Elisabeth Kulman
Stimme von oben: Daniela Denschlag

Qrchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

翌日はイースターの聖金曜日(劇場はお休み)なので今回の再演初日をこの日に持ってきたのでしょうか。私が切符を買ったときはイースターなんて意識もしませんでしたが。

パルジファルは割と最近ROHで聴いた演目で、あのときは歌手はよかったのに感動からはほど遠い印象でしたが、こういう風に上演すると感動できるんだと納得できる演出であり演奏でした。

演出は2004年プレミエのものです。ヴィデオ多用のモダンなものながら全体としては説得力があり感動を呼べる出来です。細かい部分もよく考えられているという印象です。舞台は第2幕を除いてはグレーを基調とした地味なもので、上下の動きが目立つ装置で悪くはないと思います。第2幕冒頭でヌード女性が出てきてすぐ引っ込むのはよく意味が分からず、単なるサーヴィスか。第2幕の花の乙女達のシーンは散漫であまりいい出来ではありませんが、彼女たちが引っ込んだ後のパルジファルとクンドリのやりとりの場面は演劇としてもよくできていると思います。

歌手は、藤村実穂子のクンドリが圧倒的にすばらしく、第2幕でのパルジファルとの長い対話は感動的です。へなへなテノールのモーザーもこの場面では彼女に触発されたのかしっかりと歌っていましたし、ティーレマンの演奏が更に彼女から力を引き出すような感じでした。彼女が雄叫びのように叫んだ後、非常に長い休止を指示して緊張感を高める彼独特のより方は本当に効果的でした。彼女は今年のバイロイトでもこの役をやるんですね。この人はまだまだポテンシャルがあるように思えてきました。

次いでシュトルックマンがよい出来で、ROHで歌ったときより迫力がありました。ミリングのグルネマンツはいいときはとてもいいのですが全体としてはムラがあり、これはトムリンソンにはかなわないです。クリングゾルを歌ったバンクルもよく声が出ていました。情けないのが題名役のトーマス・モーザーで印象は先日ROHで見たサロメと全く同じです。第1幕、第3幕では声量が無く終演後はこの人だけがブーを貰っていました。ブーの場面に出くわしたのはヴィーンでは初めてです。ヴィーンともあろうものが何でこんなテノールを使うのでしょうか。

ティーレマンですが例によってピットに入場するだけでブラヴォーが飛び交い、2幕、3幕と冒頭のブラヴォーもどんどん増えていく有様でしたが、演奏はすばらしいものでした。前奏曲では特にどうという印象ではないのですが、幕が上がると俄然オケの存在感が増し、テンポの変化、ダイナミズムの凄さもあって感動的でした。特に上に述べたように第2幕でクンドリの声はオケとも演出とも完全に噛み合い、このオペラはこうでなくてはと思わせるものでした。ティーレマンはやはり凄い!

このパルジファル、バイロイトでは一切拍手をしないしきたりだそうですが、ヴィーンではプログラムに第1幕終了後だけ拍手をしないで欲しいと書いてありました。それを知らない人たちが拍手をしましたがすぐに「シー!シー!」と制止されて拍手は無し。しかし第2幕と最後は普通に拍手があり、それぞれカーテンコールもありました。
最初の写真は第2幕のカーテンコールのもので、左からThomas Moser、Mihoko Fujimura、Wolfgang Banklです。藤村さんは長い髪の毛をしていますが第3幕では鬘で短い髪の姿に変わります。下の写真は左からThomas Moser、Mihoko Fujimura、Stephen Milling、Christian Thielemann、Falk Struckmannです。
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by dognorah | 2008-03-24 00:08 | オペラ
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