2008年3月3日、ROHにて。
Salome Music drama in one act Music: Richard Strauss Libretto from Hedwig Lachmann's German translation of Oscar Wilde's play Salome Conductor: Philippe Jordan Director: David McVicar Designs: Es Devlin Lighting design: Wolfgang Gobbel Choreography and movement: Andrew George Video designs: Leo Warner and Mark Grimmer for Fifty Nine Productions The Orchestra of the Royal Opera House Narraboth: Joseph Kaiser The Page of Herodias: Daniela Sindram First Soldier: Christian Sist Second Soldier: Alan Ewing Jokanaan (John the Baptist): Michael Volle A Cappadocian: Vuyani Mlinde Salome: Nadja Michael A slave: Pumeza Matshikiza Herod: Thomas Moser Herodias: Michaela Schuster First Jew: Adrian Thompson Second Jew: Martyn Hill Third Jew: Hubert Francis Fourth Jew: Ji-Min Park Fifth Jew: Jeremy White First Nazarene: lain Paterson Second Nazarene: Julian Tovey Naaman (Executioner): Duncan Meadows 感動的名演でした。サロメを歌ったナディア・ミヒャエルとROH管弦楽団を指揮したフィリップ・ジョルダン、それに演出のデイヴィッド・マクヴィカーに最敬礼です。先にご覧になったbibingaさんが既に記事を書いていらっしゃるのを読んで今回の新演出の中身が分かっていたわけですがそれでも印象は強烈でした。 まず新演出。舞台構造も含めて全体にとても斬新なもので、全く違和感なくそのまま劇の中に入っていけます。2階建ての構造にして上階のヘロデの宴会シーンも同時に見えるようにしているのは新鮮。俳優を多く使うのはマクヴィカーの特徴ですが、今回もその俳優達の配置や立ち居振る舞いがしっかりと舞台を支えていて演劇性を重視する彼のやり方に感心しました。サロメの7つのヴェールの踊りでは彼女はスリップ姿になるだけで観客の期待を裏切りますが、その代わりに俳優が演じる娼婦役などが全裸や半裸姿を披露しますし、首切り役人に全裸で仕事をさせて男女とも裸が出てくるというマクヴィカーらしい演出です。これだと脱ぐのが厭だという歌手でも問題なく出演できるでしょう。ただ、ヘロディアスに全裸にされた首切り役人が地下牢に降りていき切り落としたヨハナーンの首を持って地上に上がってきたときは返り血で全身血だらけで、喜んだサロメが彼に抱きつくものだから彼女も血だらけになるという生々しさが強烈ですが、人の首を切るのだから仕方がないでしょう。最後は裸の首切り役人がヘロデの命令でサロメに飛びかかり殺すという設定です。マクヴィカーは初めて「リゴレット」で見て感心したのですが、今回のものは私が過去に見た中では最高の演出と思います。 フィリップ・ジョルダンがサロメを振るというのはあまり期待はしていなかったのですがなかなかどうしてとても立派な演奏で驚きました。舞台上の動きと完全に同期して活き活きとした演奏で重厚な音もよく出ていてわくわくしました。 歌手ですが、ミヒャエルは声量がある美声が役にふさわしくすばらしい。オケの大音量をものともせずにびんびんと鋭い声が伝わってきます。この人は演技的にもなかなかすごくて表情や仕草がきめ細かくてサロメになりきっています。時々最高音が苦しそうなのと最後の方でややスタミナが落ちた感じなのが惜しいところですが。 ヘロディアスを歌ったシュースターは初めて聴く人ですがこの人もいい歌唱でした。 ヘロデを歌ったトーマス・モーザーも初体験ですが、この人は普通。大きな体からはもう少し音量が欲しいところです。 ヨハナーンを歌ったミヒャエル・フォレは昨年のプロムスで第9に出演して良い印象を持っていましたが今回も立派で特に文句はありません。良い人選だったと思います。 ナラボートを歌ったヨーゼフ・カイザーも初体験ですが、美声が心地よいいいテノールです。ナラボートのことを好いているヘロディアスのページ役を歌ったダニエラ・ジントラムは2006年の12月にパリでガランチャの代役でオクタヴィアンを歌った人ですが今回はそのときより遙かにすばらしい声でした。 写真は左からMichela Schuster、 Thomas Moser、 Nadja Michel、 Philippe Jordan、 Michael Volle、 Joseph Kaiser、 Daniela Sindrumです。 なお、今日はTVカメラが入っていましたのでいつかBBCで放送されることでしょう。
by dognorah
| 2008-03-04 11:15
| オペラ
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Comments(2)
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Sardanapalus
at 2008-03-04 18:11
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私が旅行中にso-netのブログがリニューアルしまして、URLが変わりましたので、もしお時間があったら変えておいてください。もちろん今のままでも見られます。
このサロメは、2月中に見ました!私もdognorahさんとほぼ同意見です。特にジョーダンの指揮は嬉しい驚きでしたよ(^^)マクヴィカー得意の俳優起用も面白かったですし、何よりも美しいサロメで説得力がありましたね~。 >TVカメラが入っていました 映像収録していたのですね!最近Opus Arteと提携したはずなので、DVDも期待してしまいます♪
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dognorah at 2008-03-04 22:13
URLは変わっていないように思いますが・・・
Sardanapalusさんはもう日本に帰られたのでしょうか?お忙しいようでブログは何もアップされていませんね。 このサロメ、初日が始まったときでもまだかなり切符が余っていたのですが評判が良かったのかさすがに現在までに全部売り切れたみたいです。私はもう一度見れることになったので非常に楽しみです。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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