マノン(Manon) -ロイヤルバレー公演

c0057725_223978.jpg

   Tamara.RojoとCarlos AcostaによるManonの1シーン

昨夜コベントガーデンのオペラハウスで見たバレーの感想を述べる。
演目はマスネー(Jules Massnet)の作曲した同名のオペラのバレー版。振り付けは高名なChoreographerであるケネス・マクミラン(Kenneth MacMillan、故人)による。
原作は18世紀のAbbe Prevostの小説。同じ内容でマノン・レスコーという題でプッチーニもオペラを作曲しており、オペラとしてはこの方が有名である。

あらすじは、兄の斡旋で娼婦として金持ちから金銭を得ているマノンがあるときグリューという名の学生と恋に落ちる。金持ちの金を盗んで彼との生活を楽しむが警察に捕まり、アメリカに放逐される。グリューも一緒についていくが放浪の末マノンは死んでしまう。

今夜の主演は、マノン役にタマラ・ロホ(Tamara Rojo)、グリュー役にカルロス・アコスタ(Carlos Acosta)という共に当代世界屈指のダンサー。アコスタはこれまで何度かロイヤルバレーで見たことがあるが、ロホは今まで当日不出演などがあって私にとって今日が初めてである。

この二人が一緒に踊るバレーは筆舌に尽くしがたいくらいすばらしい。第1幕で二人が出会ってお互いに愛を告白するシーンと第3幕最後でマノンが死ぬ直前のデュエットは息を呑むパーフォーマンスであった。振り付けは曲芸的な動作を要求しているが、二人の動きを見ると非常にスムーズなので一見苦も無くやっているように見える。しかし細部を見るとそれぞれが高度なテクニックを連続して組み合わせたもので、息の合ったこの二人だからこそ演出家の要求する感動的な空気を余すところなくかもし出すことが出来たものと思われる。

私はアコスタと言う人はしなやかな筋肉で持って激しい動きを美しく表現する人と言う印象を持っていたが、今日の公演を見て微妙な感情も感動的に表現できる人であることを発見した。ロホも高名なバレリーナであることは知っていたが、今日目の当たりに見て並外れた技量を持った人であることを確信した。

数十人に及ぶ共演のダンサーたちも一流といえる技量を持つ人が多く、ロイヤルオペラの層の厚さを感じさせる。日本人ダンサーはRyoichi Hiranoという人が参加していた。
しかしこのような感動的パーフォーマンスを日常のごとく見ることの出来るロンドンというところは底知れぬ芸術都市である。それを育ててきた英国人のよき伝統にも拍手喝采したい。私がロンドンを離れられぬ理由のひとつである。
[PR]
by dognorah | 2005-02-23 21:56 | バレー
<< 今日のワイン フランスドライブ旅行(その1)... >>