2008年2月11日、ヴィーン国立歌劇場にて。
Mozart: Cosi fan tutte Dirigent: Riccardo Muti Fiordiligi: Barbara Frittoli Dorabella: Angelika Kirchschlager Gugliemo: Ildebrando D`Arcangelo Ferrando: Francesco Meli Despina: Laura Tatulescu Don Alfonso: Natale De Carolis 指揮者も含めた主要出演者はオーストリア人のキルヒシュラーガーとルーマニア人のタツレスクを除いて全員イタリア人という布陣です。 フリットリは絶好調の歌唱で高音から低音までとても瑞々しい声です。歌の表現力は凄いものがあります。昨年1月にここで同じプロダクションを見ましたが、そのときの歌手リカルダ・メルベートも大満足でした。しかし今日のフリットリはそれをも凌いで私の過去の5回の経験の中では最高です。ムーティもさぞかし満足したことでしょう。 キルヒシュラーガーは1幕前半は余り調子が出ず、彼女らしいノーブルな歌唱ではありましたが声に潤いが無くちょっと満足できませんでした。しかし後半以降は調子が上がり2幕の有名なアリアではいつもの彼女に戻っていました。 ダルカンジェロは昨年1月の公演ではドン・アルフォンソを歌っていましたが今回はグリエルモに挑戦です。そしてしっかり歌い上げ本日の男声陣では一番の出来でしょう。 メリは2006年6月にバービカンで公演されたコンサート形式のドン・ジョヴァンニでドン・オッタヴィオ役で初めて聴き、高音のすばらしさに魅せられたものの中低音部で不快な声を時折出すという欠点も認識しましたが、本日は長所の方が遙かに欠点を上回っていてとても楽しめました。 タツレスクは素直な声がとても魅力的でいい歌唱でしたが有名な最初のアリアではやや一本調子で陰影があまりないのが気になりました。 ナタレ・デ・カロリスというバスは初めて聞く人ですが、低音はやや迫力不足で、ダルカンジェロに比べると軽い声という印象です。歌唱的には水準でしたが舞台上での存在感はいまいちでした。 ムーティの指揮は序曲では音も演奏もあまり印象的ではなく「あれ、こんなものなの?」と思ってしまいました。オケは恐らくヴィーンフィルの主力は抜けていました。しかし舞台上の歌手が歌い出すとどんどん調子を上げていって結局のところはすばらしいモーツァルトとなっていました。特に歌手の声とオケが完全に融合して得も言われぬアンサンブルを醸し出していたことに感心しました。さすがにムーティと言わざるを得ません。ここまで細かく舞台とピットをコントロールできるんですね。時々目をつぶって音楽に集中してみましたが至福でした。 トップの写真は左から Ildebrando D`Arcangelo 、 Barbara Frittoli 、Riccardo Muti、Angelika Kirchschlagerです。 次の写真は左から Natale De Carolis、 Laura Tatulescu、 Ildebrando D`Arcangelo 、Barbara Frittoli 、 Angelika Kirchschlager、 Francesco Meli です。
by dognorah
| 2008-02-14 01:13
| オペラ
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Comments(4)
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ギュンター・ネッツァー
at 2008-02-14 04:17
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ウィーンでの上演の様子と写真を、嬉しく拝見しました。
ありがとうございます。 ムーティが力(権力)で押しまくる指揮者でないことを、こうやって多くの人に知らせていただけて、感謝します。 (ムーティへの関心という、シングル・イシューの書き込みで申しわけありません)
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こちらも2/6の公演を録音しました。少しずつ聴いているところです。キルヒシュラーガーの歌は、仰る通りの印象を持ちました。
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dognorah at 2008-02-14 08:35
ギュンター・ネッツァーさん、私は基本的にムーティの指揮を非常に評価していましたが、初めてのオペラ指揮に接してますますファンになりました。こういう指揮振りを見ると数年前にコヴェントガーデンの「運命の力」をキャンセルされたのが実に残念です。
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dognorah at 2008-02-14 08:39
ご~けんさん、いろいろ録音されているんですね。私はラジオの録音までは手が回りませんが、同じ講演を聴いていらっしゃって別の観点から感想を聞かせていただくのは有意義なことです。コメントをよろしくお願いします。
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