新春室内楽コンサート

2007年1月7日、ウイグモアホールにて。

Pharos Trustというキプロスの財団主催で開催された室内楽コンサートが本年最初のコンサートになりました。毎年5月から7月にかけてニコシアでPharos International Chamber Music Festivalというのを開催しており、そのコンサートで協力した演奏家がロンドンで公演するときもこうしてバックアップしているようです。それもこのウイグモアホールで10周年という長さ。今日の演奏家は多数がロンドン在住ながらキプロス生まれのアルメニア人とかロシア人、リトアニア人など多彩な国籍の人たちで、11人の演奏家が様々な組み合わせで4曲を演奏しました。充実したプログラムで演奏時間は2時間半以上でした。

プログラム
Boccherini: String Quintet in C ‘La musica notturna delle strade di Madrid
演奏: Chilingirian Quartet+David Geringas (cello)

Brahms: Piano Quartet No. 3 in C minor Op. 60
演奏: Yuri Zhislin (violin)、Alexander Zemtsov (viola)、Alexander Chaushian (cello)、Martino Tirimo (piano)

Rachmaninov: Trio élégiaque No. 1 in G minor Op. posth
演奏: Yuri Zhislin (violin)、Alexander Chaushian (cello)、Ashley Wass (piano)

Dvořák: Piano Quintet in A Op. 81
演奏: Levon Chilingirian (violin)、Yuri Zhislin (violin)、Alexander Zemtsov (viola)、David Geringas (cello)、Bengt Forsberg (piano)

1曲目のボッケリーニはマドリッドの大通りを行進する夜警団の様子を描写したものとのこと。彼はイタリア人ですが人生の最後の15年間はスペインで過ごし、マドリッドで亡くなったそうです。軽いタッチの親しみやすいメロディの曲です。ゲストのチェロ奏者(中央の人)が非常に上手い。
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2曲目のブラームスは本日の圧巻。重々しい開始でブラームスらしい取っつきにくさが感じられますが進行と共にどんどん彼の世界に引き込まれていきます。スケールが大きくとてつもない深みが感じられます。その流れに沿いながらも第3楽章の雰囲気は美そのもの。ピアノと弦の調和が見事です。第4楽章はゴージャスな雰囲気で活き活きしており輝かしいコーダで終了します。ブラヴォー!
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3曲目のラフマニノフは1892年の作曲で彼が19歳の時のもの。生前には出版されなかった作品で単楽章の比較的短い曲です(演奏時間15分くらい)。題名の通り何かを悲しむかのような雰囲気が全編を覆っていますがどこか優しさも秘めています。主題メロディはどこかで聴いたことがあるような親しみやすいものでそれがどんどん敷衍されていきます。最後は消え入るように終わります。美しい曲です。
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最後はドヴォルザークのピアノ5重奏曲第2番。彼の作品でよくあるように民謡を元にした郷愁を感じるメロディが頻繁に出てきてブラームスに比べると遙かに取っつきやすく感じます。特に第2楽章などそうです。にもかかわらず全体として曲はそれにとどまらず心に深く語りかけてきます。曲が訴えてくるものはブラームスのそれとは大変異質ですが。
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各曲で演奏者が異なるのでそれぞれの演奏終了後の写真を掲げました。
しかしそれにしてもこの小さなホールでこういう曲達を名手達のこなれた演奏で聴くのはなんとすばらしいことでしょう。新年にふさわしいすがすがしい気分です。
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by dognorah | 2008-01-09 07:38 | コンサート
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