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ベッリーニのオペラ「清教徒」公演

2007年9月15日、ヴィーン国立歌劇場にて。

I puritani
Opera seria in drei Teilen von Carlo Graf Pepoli

Musik: Vincenzo Bellini
Dirigent: Michael Halász
Inszenierung: John Dew
Buhnenbild: Heinz Balthes
Kostüme: José Manuel Vasquez

Elvira: Edita Gruberova
Arturo Talbo: José Bros
Giorgio Valton: Vitalij Kowaljow
Riccardo Forth: Gabriele Viviani
Bruno Roberton: Marian Talaba
Gualtiero Valton: In-Sung Sim
Enrichetta di Francia: Adrineh Simonian

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

このプロダクションは13-4年前にプレミエだったものですが、舞台は極めてシンプルです。第1幕では舞台後方に聖者の大きい石像が10体近く並べられていますが、その首はすべてもぎ取られて舞台両端に転がされています。第2幕以降はほとんど舞台装置はありません。全幕を通して舞台は暗めに設定されています。悲劇にはふさわしい気がしますがそこに至る過程では華やかな場面があってもいいのじゃないかと思います。登場人物の衣装は、スコットランドのキルトで作ったロングスカートのような感じでしたが舞台はイングランドでそれはあり得ないしと思って見ていると、それは侍の袴だと気づきました。そういえばと思って彼等が腰につけている剣を双眼鏡でよく見るとまさに日本刀!リッカルドがアルトゥーロに挑む場面では両者共日本刀を両手で持つあのスタイルで対峙していました。何でこういうスタイルにしたのかはよくわかりませんが、演出家は日本の時代劇からヒントを得たのでしょうか。初めて見る男性歌手ばかりで、清教徒側の騎士はすべて同じようないでたちなので区別しにくく、誰が誰だかもう少しわかるように特徴を持たせてほしいと思いました。

エディタ・グルベローヴァは1946年スロヴァキア生まれだそうですから今年61歳になりますが、まだ驚くべき美声です。時折最高音が苦しそうで、出そうもないと見て取るとさっと音程を下げたり、外すか外さないか綱渡り的な場面もあって100%完璧というわけではありませんが、アリアのまとめ方はさすがに年季ものでどんな場面でもその美声をもっと聴きたいと思わせる魅力があります。ファンもよく承知でしばしば長く続く歓声と拍手でドラマは頻繁に中断されます。カーテンコールも非常に長いものでした。

このエルヴィーラに対する相手役アルトゥーロを歌ったホセ・ブロスがまたすばらしいテノールでベルカント的美声を朗々と発する様に惚れ惚れしました。伸びがあって柔らかく甘い声が響くのです。こういう人がいるからロンドン以外でオペラを見る必要があると言えます。彼は1965年バルセロナ生まれですから今年42歳。あまりハンサムではないけれど、何でもっと有名じゃないのかと思うくらいです。過去の評判では余りよく書かれていないのを見ましたので、ムラがあるのかもしれません。

低音陣も立派で、文句なし。その中でちょっとしか歌う場面がないエルヴィーラのお父さん役の韓国人In-Sung Simがなかなかのバスで、もっと聴きたいと思いました。

管弦楽は、現在中国方面に国立歌劇場がツアーに行っているということで見慣れないコンサートマスターと留守部隊による演奏ですが、いつものいい音を響かせていました。文句なし。

写真は左から指揮者のMichael Halász、Edita Gruberova、José Brosです。
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あらすじ
17世紀半ばのイギリス清教徒革命時代を背景にした物語。クロムウェル率いる清教徒軍がStuart王朝を倒すのであるが王党派に属するアルトゥーロと清教徒軍のヴァルトン卿の娘エルヴィーラは恋仲。一方、清教徒側の騎士リッカルドもエルヴィーラを愛している。ヴァルトン卿の兄弟であるジョルジオは、敵側の人間ではあるけれど娘の希望を叶えてアルトゥーロとの結婚を許すようにヴァルトン卿を説得することに成功する。
アルトゥーロは結婚式当日、ヴァルトン卿が連れ歩いている女性が気になり聞き質すと処刑されたチャールズ1世の未亡人、すなわち彼にとっては女王であることが判明する。王党派の騎士としては放置できず、エルヴィーラのために用意された花嫁用のヴェールを彼女にかぶせて二人で脱出する。
それを知ったエルヴィーラは正気を失い、狂乱の場を演じる。
イギリス議会によって死刑を宣告されているアルトゥーロはエルヴィーラのことが気になって密かに舞い戻る。家の近くで詩を歌うことで彼女を引き寄せ両者は再会する。逃走の理由を説明して許しを請い、エルヴィーラは再び正気に戻る。しかしそこに清教徒軍が来て彼は捕らわれる。リッカルドの執念で死刑を免れない状況の下に伝令が来て、ステュアート王朝崩壊によりすべての政治犯に恩赦を与える旨宣言される。エルヴィーラとアルトゥーロは抱き合い幸せな瞬間を迎えるが、嫉妬に狂ったリッカルドが二人を引き離した上、アルトゥーロを刺殺する。エルヴィーラはアルトゥーロの亡骸に取りすがって悲嘆に暮れ、幕。
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by dognorah | 2007-09-18 23:48 | オペラ
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