インヴァ・ムーラの「マノン」公演

2007年6月28日、バルセロナ・リセウ劇場にて。

前回に続いてBキャストの報告です。前回と異なる出演者は次の5人です。

Manon Lescaut:Inva Mula
El cavalier Des Grieux:Stefano Secco
El comte Des Grieux:Philippe Rouillon
Leseaut:Joan Martin-Royo
L'hostaler:Carlos Dasa

インヴァ・ムーラは初めて聴きましたが評判に違わずとても素敵なソプラノです。声は癖が無く素直に伸びています。昨日のナタリー・ドゥセに比べると性格がかなりおとなしめでまじめに歌う分マノンの悪女ぶりがかなり薄められる印象ですが。
ステファーノ・セッコは昨年5月にパリで聴いて注目していたテノールですが期待に違わず私の好きな声を響かせてくれました。ただ、ちょっと喉の調子が悪いときがあり、第二幕の食卓でマノンと食事中のアリアで声がかすれたりしていました。それにも拘らず大ブラヴォーをもらっていましたが、友人の評によると歌唱力はビヤソンより上とのこと。派手さはないものの堅実というところでしょう。それはムーラにも当てはまり、二人はバランスが取れたコンビといえそうです。二人とも劇の進行と相手に合わせようとしている分演劇的観点からも優れたオペラになっていると思われます。
他の歌手ではグリューの父親を歌ったフィリップ・ルイヨンが安定したバスで昨日のレイミーより遙かによかったと思いますが、レスコー役の歌手は昨日に比べて迫力が無く声だけを聴いているとなよなよという印象で喧嘩っ早くて気の強い軍人という役柄設定には合いません。
こうしてAキャストとBキャストを聞き比べるとそれぞれ演劇でも歌唱でも表現の仕方が異なっていて非常に興味深いものがあります。マノンが死ぬ場面でもドゥセは看守が路上に放り出してからずっと横になったままですが、ムーラは死ぬ直前まで立ってグリューに寄りかかりながら歌うなど大きな違いがあります。見ている方としては立って歌ってくれた方がいいのですが。
しかしこの劇場はキャストで入場料を大幅に変えているところが正直でいいです。例えばAキャストの最高席は174ユーロしますが、Bキャストでは66.25ユーロです。すごい差ですね。そのままギャラの差を表しているわけですが聴いている方はそれほどの差は感じられませんでした。ROHでも料金に反映させればいいのに。そこでは同じ値段なのでいつもBキャストの席がかなり空いています。もっともリセウでもAキャストは満員でしたがBキャストはこの安さにもかかわらず結構空席がありましたので観客のBig Name好みはなかなか押えられないというところでしょうか。
写真は終演後のStefano SeccoとInva Mulaです。
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by dognorah | 2007-07-03 01:09 | オペラ
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