ペレアスとメリザンド

2007年5月21日、ROHにて。

PELLÉAS ET MÉLISANDE: Opera in five acts
Music: Claude Debussy
Libretto after Maurice Maeterlinck's play Pelléas et Mélisande

Conductor: Simon Rattle
Director: Stanislas Nordey
Associate Director: Arnaud Meunier
Set Designs: Emmanuel Clolus
Costume Designs: Raoul Fernandez
Lighting: Philippe Berthomé
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Mélisande: Angelika Kirchschlager
Golaud: Gerald Finley
Geneviève: Catherine Wyn-Rogers
Arkel: Robert Lloyd
Pelléas: Simon Keenlyside
Yniold: Tom Norrington
A shepherd/the doctor: Robert Gleadow

初めて見るオペラですが、前半の1幕から3幕までは演出不在、舞台装置も何じゃこれは?と言う訳のわからないちゃちなもので、音楽がいいだけにこれじゃコンサート形式の方が遙かにましという代物でした。
しかし第4幕の惨劇の場面では演出家はちゃんと仕事をしたらしく、舞台装置とのマッチングもよくて戦慄を覚える秀逸な出来です。血を表すどす黒い色の抽象画をあしらった衝立が何枚も手前から奥の方に並び、奥へ行くに従って幅が広くなって最後のものは舞台幅いっぱいになります。劇の進行と共に一枚ずつその衝立が上部に引き上げられるとその場面の登場人物がそこに立っているという趣向です。最後の舞台幅いっぱいの衝立が現れるとそこに剣を手にしたゴローが立っています。劇的な音楽をバックにした歌手たちのすばらしい歌唱と演技も相俟って極限まで緊張が高められた状態でストンと幕になる。さすがにここだけはブラヴォーも出ましたね。ノルデが非凡な演出家であることはよくわかりました。第5幕はまた平凡なコンサート形式的舞台でしたが照準を第4幕に合わせたということで前後の不出来な幕も許せるかなぁという感想です。

音楽的には大満足です。フィンリー、キーンリーサイド、キルヒシュラーガーをはじめ脇役たちもいい声でした。不思議な性格の女であるメリザンドをキルヒシュラーガーはとてもよく演じています。その声質も容姿もイメージを損なうことはなく的確な配役といえます。キンリーサイドと共に純粋無垢な二人の性格と関係は爽やかさを残す演技でした。猜疑心の強い中年の王子、ゴローを演じるフィンリーも全く文句なし。この辺は演出家の指導もしっかりしているのでしょう。ラトル指揮の管弦楽はすばらしく、ドビュッシーの音楽的本質をしっかり表現していたと思います。非常に楽しめました。
衣装については昨年のザルツブルグ公演以来いろいろ言われていますが、子供の持つ無垢な性格をそのまま持ち続ける大人たちによる幻想的な物語にふさわしいもので特に違和感はありません。
写真は好演したFinley、Kirchschlager、Keenlysideです。
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by dognorah | 2007-05-22 20:50 | オペラ
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