シュトラウスのオペラ「ダフネ」

2007年4月30日、ヴィーン国立歌劇場にて。
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Daphne
Bukolische Tragödie in einem Aufzug von Joseph Gregor
Musik von Richard Strauss

Dirigent: Semyon Bychkov
Regie: Nicolas Joel
Bühne, Kostüme und Licht: Pet Halmen
Choreographie: Renato Zanella
Chorleitung: Janko Kastelic

Peneios: Ain Anger
Gaea: Janina Baechle
Daphne: Ricarda Merbeth
Leukippos: Roberto Saccà
Apollo: Johan Botha
Erster Schäfer (Majordomus): Marcus Pelz
Zweiter Schäfer: Peter Jelosits
Dritter Schäfer: Jens Musger
Vierter Schäfer: Hans Peter Kammerer
Erste Magd: Jane Archibald
Zweite Magd: Inna Los

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

ギリシャ神話のアポロとダフネの物語を素材にしたオペラです。

ダフネを演じたリカルダ・メルベートもアポロを演じたヨハン・ボータもプレミエの2004年に続いての出演ですが、共にすばらしい歌唱、特にメルベートがレウキッポスの死を悼む歌は感動的でした。この部分はイゾルデの死に匹敵する美しい音楽と思います。休みなしに声を張り上げるパートはかなり強靱な声帯が必要ですが、メルベートは長時間歌っても声の美しさは最初から最後まで変わりません。すごいスタミナです。二人共演技的には余りぱっとしませんが、これは演出のせいかも。レウキッポス役はやや弱く、もう少し美しい声がほしいところです。ペネイオスのアイン・アンガーとガイアのヤニナ・ベヒレは納得できるよい歌唱でした。

セミヨン・ビチコフ指揮のオケはシュトラウスらしい豊穣な音楽をたっぷりと鳴らしていましたが、後半のダフネの嘆きの部分では非常に叙情的な演奏で美しい。

舞台はギリシャ彫刻が両端に置かれたサロンで始まりますが、奥がオリーヴの木を描いたカーテンになっており、その向こうが舞台になっていて劇中劇のような形で物語が進行します。現実なのかダフネの夢なのかという曖昧さを残した演出になっています。最後にダフネはオリーヴの木を模した半透明の筒の中に入り、変身を表現していますが、ここは裸になった方がいいんじゃないかと思いました。
ところで、舞台両端から4分の1くらいのところに天井から床までワイヤーが張ってあり、何かのシーンで使う仕掛けと思っていましたが最後までそれはなく、一体あのワイヤーは何なのでしょう?

1965年のベーム指揮の公演ではアポロ役はJames Kingという人が歌っていたそうですが、プログラムに掲載されている写真を見ると凛々しく高貴でいかにもアポロというイメージです。でも今日のアポロはぶくぶく太りのボータで、えっ、これがアポロ?と思ってしまいました。容姿も考えて配役を決めてほしいものです。

終演後楽屋口方向に歩いていったらコンサートマスターのキュッヒルさんと出会いました。どなたかと話をしながら歩いていらしたので声をかけるのは遠慮しましたが。

写真は、左からビチコフ、メルベート、ボータ、ベヒレ、サッカです。
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あらすじ (プログラムより転載)
舞台は「ギリシャ風」のサロンである。薄暗いサロンの中央には寝椅子があり、若い女性が夢心地で横たわっている。サロンには2つの巨大なギ リシャ彫刻がある。アポロの足元には、怪しげな人物が椅子に坐っている。若い女性は寝たまま、不安げに身を動かす。彼女は夢を見ているのだろうか? 見守っているのは彼女の夫だろうか? 孤独なオーボエの音が響く。壁画の人々は、生きているかのように見える。眠る女性を見つめるディオニソスの像が、暗がりの中で輝きだす。壁から響く声が女性の耳に達する。身を起こした彼女は、魔術的な力で、壁に描かれた木々に惹きつけられる。彼女は「おお、昼よ、ここにいておくれ」と訴える。 夜を恐れる彼女は、とりわけ、これから始まる夜を恐れている。 壁が透明になる。若い男性が木の葉の中に眠っている。彼は突然立ち上 がり、歌う女性に近づく。2人の間のヴェールが落ち、2つの空間が溶け合う。女性はダフネとなり、若い男性はレウキッポスとなる。母はガイアであり、父はペネイオスである。夫はアポロに変身する。レウキッポスが執揃に彼女に迫ると、ダフネはサロンの現実から逃れる。部屋に入ってきた侍女に、レウキッポスが嘆きを告げる。侍女は、ダフネに近づくため、ダフネの服を身に着けるよう勧める。 ペネイオスが羊飼いとともに登場、オリンポスの美を称える。そこに見知らぬ人物が現れ、牧歌の世界を乱す。これは変装したアポロだが、人々は恐れて逃げ去る。一人になったアポロは、愚かな行為で自らを庇めた 自責の念にかられる。ダフネが寝椅子から起き上がる。神秘的な月光の中に彼女を見たアポロは、妹のアルテミスを思い出す。同時に彼は、ダフネに対し深い思いを寄せる。ダフネは、見知らぬ人物に対し懐疑的である。見知らぬ人物は、彼女を良く知っていると語り、最初の場面で彼女が昼の光に呼びかけた幾つかの言葉を繰り返す。アポロの中に自らと 同様の魂を見出したと信じるダフネは、彼の腕に身を投げかける。だが、彼が接吻すると、彼女は逃れようとする。

ディオニソスを称える祝宴が始まる。大きなマスクが現れ、その口から牧神とニンフが出てくる。大きなワインの泉がもたらされ、人々はワインに酔う。その一人は変装したレウキッポスで、誉め言葉とともにダフネに近づく。深い魂の紳が、ダフネを「娘」へと惹きつける。彼らは踊り始める。ダフネがマスクを取り除こうとすると、レウキッポスは荒々しく抵抗し、彼女を地面に投げ倒して強姦しようとする。この瞬間、アポ ロはレウキッポスの変装を見破り、激しい怒りの叫びを上げる。アポロが嵐を呼び起こすと、人々は逃げ去り、ダフネとアポロとレウキッポスだけが舞台に残る。レウキッポスはアポロに対し、素性を明かすよう迫る。ダフネも同様の要求をすると、彼は「私は太陽と昼の神アポロだ」と正体を明かす。レウキッポスが太陽神を呪うと、アポロは彼を殺す。ダフネは、ともに踊った人物の死を嘆き、彼こそ彼女のパートナーであったことを悟る。彼女はアポロの求愛を激しく退ける。深く心を動かされたアポロは、神々に対し、人間を欺いた彼の罪を赦すよう嘆願する。彼は父ゼウスに対し、ダフネを月桂樹に変えるよう願う。月桂樹となったダフネの枝は、最も高貴な人々の額を飾り、彼女は妹としてアポロと結ばれるというのが、彼の願いである。ダフネの変容が始まる。 まだしばらく、彼女の声が聞こえる。壁が再び閉じると、暗い室内に男性が坐っている。だが、寝椅子には誰もいない。
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by dognorah | 2007-05-03 21:53 | オペラ
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