小澤征爾の復帰公演「さまよえるオランダ人」

2007年4月29日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Der fliegende Holländer
Romantische Oper in drei Aufzügen
Text und Musik von Richard Wagner

Dirigent: Seiji Ozawa
Inszenierung: Christine Mielitz
Dramaturgie: Eva Walch
Ausstattung: Stefan Mayer

Daland: Janusz Monarcha
Senta: Nina Stemme
Erik: Stephen Gould
Mary: Zoryana Kushpler
Der Steuermann Dalands: Cosmin Ifrim
Der Holländer: Egils Silins (Alan Titusの代役)

長い静養後にやっと復帰した音楽監督の初日はすばらしい演奏でした。最初の音からぐっと惹きつけられる緊迫感あふれる熱のこもった演奏で、序曲だけで涙がこぼれそうになるくらい。全曲を通してやや速めのテンポながら音楽的な流れがとても納得のいくもので、旋律の歌わせ方も完全に共感できました。オケは管も弦も惚れ惚れする音で大満足です。

歌手ではゼンタ(ヴィーンの舞台ではセンタと発音されます。ザルツブルグをサルツブルグと発音するのと同じですね)を歌ったニーナ・シュテンメが力強く美しい高音でぐいぐい引っ張る感じが心地よく聴き惚れました。エリックを歌ったスティーヴン・グールドもいいテノールです。とにかく二人とも気持ちよく声が出てオペラの流れに乗れます。共に2回目の出演で慣れていることもあるでしょう。ダーラントを歌ったヤヌツ・モナルチャはまあまあという感じで特段上手いとは思いません。タイトルロールを歌ったエジルス・シリンズは急な代役にも拘わらず優れた歌唱で及第点。マリーを歌ったクシュプラーもよく声が出ていました。

演出は2003年にプレミエだったもので(やはり小澤の指揮)リブレットに忠実でわかりやすいもの。最後はゼンタが水に飛び込んで死ぬのではなく、水夫たちと自分にオイルをかけて火を放ち共に焼死するという設定でした。
写真は左からグールド、シュテンメ、小澤、クシュプラーです。小澤さんはこのようにオケの方ばかり見て観客の方になかなか顔を向けてくれないんです。
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さまよえるオランダ人あらすじ(プログラムから転載)
帰港を目前にしたダーラントの船は嵐に見舞われ、母港に近い湾に流れ着く。当直の航海士が眠り込むと、突然、大きな船が現れ錨を下ろす。これは、さまよえるオランダ人の船で、呪いをかけられた彼は永遠に世界の海をさまよわなければならない。だが7年に一度だけ上陸が許されており、彼に貞節を捧げる女性が現れれば、呪いが解けるという。 オランダ人はダーラントと会い、その娘ゼンタのことを聞く。彼はダーラ ントに宿を求め、同時にゼンタを妻にしたいと申し出る。 ダーラントの家では、女たちが船乗りの帰宅を待っている。ゼンタが、さ まよえるオランダ人の運命を語るバラードを歌う。それによれば、オランダ人は航行困難な岬に挑戦し、岬を回るまでは永遠に現場を離れないと誓い、その倣慢な態度によってサタンから呪いをかけられた。ゼンタは、この呪いを解くため、彼の妻になることを願う。ゼンタを愛する猟師エリックは、彼女を失うことを恐れ、彼女の思いをオランダ人から引き離そうと試みる。
そこへ、オランダ人を連れたダーラントが現れる。夢の中のように一瞬のうちに、二人は互いに分かち難い運命で結ぼれていることを悟る。オランダ人は永遠の貞節を求め、ゼンタは、彼への変わらぬ愛を誓う。 ダーラントの部下の水夫たちが帰港を祝い、女たちは婚約式の準備をする。水夫たちは、オランダ人の船の水夫をも祝いに招くが、彼らは動こうとしない。突然海が波立ち、死者たちの恐るべき歌声が聞こえる。 エリックは再度ゼンタを思い留まらせるべく、彼女が昔エリックに愛を誓ったことを訴える。これを聞いたオランダ人はゼンタから裏切られたと思い、彼女を死から救うため身を引き、船を出航させる。だが、ゼンタが 「死に至るまでの貞節」を示すため海に身を投げると、船は沈没し、オランダ人は永遠の訪偉から救済される。
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終演後、小腹が空いたので屋台で少し食べて戻ってきたら楽屋口はまだ人だかり。どうやら入り口ホールに小澤さんがいてみんなに取り囲まれ、なかなか出てこれない様子。皆さんサインをして貰おうと待ちかまえていたのですが、出てきたときにはもうサインをする雰囲気でもなくヴィデオカメラやその他大勢が取り囲んだまま。彼は背が低いのでほとんど見えない。後ろでオーストリア人らしい人たちが「日本人だらけでサインは難しそうだぜ」みたいなことをこぼしていました。私も隙あらばと思っていましたがあきらめて楽屋口の中に入り、ニーナ・シュテンメを探すとグールドと共に机に陣取ってみんなのサイン要求を満たしていました。大した行列ではなかったので私も並び、生まれて初めて出待ちでサインを貰いました。熱心なファンはA4版のカラー写真を何枚も用意してきてそれにサインをねだっていましたが、ニーナはとても感じのいい人で、みんなの具体的な要求に応えて丁寧にサインをこなしています。
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by dognorah | 2007-05-02 22:14 | オペラ
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