The Anglo-Japanese Society of Wessex というJALと笹川財団の援助を受けている団体があり、主に日本人音楽家のリサイタルを昼時に教会を使って開催しています。
今回は2週続けてそのコンサートに行きましたので簡単にその感想を述べます。 (1)Trio de OGU-BI-RIEのリサイタル(2月21日) フルート:小倉正広、矢矧由希夫 ピアノ:青木理恵 2006年2月に結成されたフルート2本とピアノによる3重奏団です。フルーティストは共に学生時代から数多くの練習とオーケストラでの経験を積んできた方々ながらサラリーマン生活の傍ら演奏活動をしているアマチュア、ピアニストは国立音大のピアノ科を卒業し、現在はピアノ教師としても活躍されているのでプロと言うべき方でしょう。 プログラム C. Ph. E. Bach:Trio in E major Wq.162 G. Donizetti:Sonata for Flute and Piano G. F. Handel:Flute Sonata in G major Op.1-5 T. Narita:Hamabe No Uta (arranged for 2 flutes by A. Nanase) A. F. Doppler:Andante and Rondo C. Ph. E. Bach:Trio in A minorから第2楽章(アンコール) フルートに関しても無知だし、フルートソナタもあまり聴かないし今日の曲目のどれも初めて聴くものなので技術的なことは全くわかりませんが、お二人は苦もなく美しい音色を響かせ、音楽としてとても楽しめたコンサートです。 最初は大バッハの息子の作品。エマニュエル・バッハらしい愛すべき作品で、冒頭から3人の息の合ったアンサンブルが見事。2本のフルートは奏者の違い、材質の違い、受け持ちパートの違い等で音色的に微妙に異なっていましたが、それも合奏の面白さに通じるのでしょうか。 ドニゼッティは矢矧さんのフルート。ピアノ導入部からしてはっとする美しい世界が開けます。フルートは物静かな内に秘めた緊張感をゆっくり目のテンポで進め、後半は一転して速めのテンポで憂鬱さを吹っ切るかのように快活に締めくくられます。活き活きした演奏でした。小品ながらなかなかの名品と思いました。 ヘンデルは小倉さんのフルート。全体的に静かに思索にふけるような感じの曲です。フルートの柔らかい音色が楽曲にぴったりでした。 ドップラーは3重奏曲。2本のフルートが奏でる機知に富んだ楽想で構成され、ドップラーらしい華やかさが感じられます。素敵な曲であり躍動感溢れる演奏でした。 ここで終了予定時刻となりましたが、表記のアンコール曲が主催者側の期待に反して演奏されました(笑)。 こういう芸を玄人はだしというのでしょうけれど、プロでもないのにこのレヴェルを保っておられることに感心しました。すごいものです。写真は青木理恵さんのブログに掲載されています。 なお、当日は出演者の友人たちが大勢聴きに来られましたが、演奏中のフラッシュが目に余るものがあり、この教会の常連のイギリス人聴衆に迷惑がかかったのではとちょっと心配です。 (2)Asuka Kurogiソプラノリサイタル(2月28日) ソプラノ:黒木あすか ヴァイオリン:Mizuka Yamamoto ピアノ:Masachi Nishiyama プログラム G. F. Handel:9曲のドイツアリア集からヴァイオリンとピアノ伴奏による5曲 Fernando Obradors:歌曲La mi sola Laureola/Al Amor/Del cabello mas sutil/Chiquitita la novia ヘンデルの曲は昨年の彼女のリサイタルで2曲が披露されましたが、今日は残り3曲も加えた5曲が演奏されました。後の4曲は管楽器などとの共演なので本日はなし。ドイツ語歌詞ではヘンデル最後の作品らしい。詩の内容は神を讃えるもので、全体に静かで美しいメロディに満ちたもの。ヴァイオリンとピアノによる伴奏も素敵です。あすかさんの声は以前に比べると今日はちょっと硬さを感じましたが、曲の雰囲気を上手く表現していたと思います。 次の曲は1945年没のカタロニアの作曲家オブラドルスがスペインの古い歌に基づいて作曲した歌曲。ピアノ伴奏です。民謡調で、ヘンデルとは打って変わった明るい愛の歌。カンツォーネ的な部分もあり彼女の美しい声にふさわしい選曲でした。
by dognorah
| 2007-03-03 01:20
| コンサート
|
Comments(6)
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ガラちゃん
at 2007-03-03 06:58
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うひゃー、誉め殺し。その手で来ましたか。。。(汗)
でも、この格式高いBy The Thamesに評を載せていただいて、光栄です。 Trio de Ogu-Bi-Rieは、母音の前のdeなので、Trio d'Ogu-Bi-Rieにすべきであったことに後から気付き、実は、これはJALの「うどん で スカイ」と同様、「トリオ で オグビリエ」という日本語のローマ字標記なのだ(小倉説)、と開き直っています。ですから、助六さん、この点をズバっと指摘して斬らないでくださいね。 カメラのフラッシュ、そうでしたか。全く気付かないほど、演奏者は緊張しておりました(笑)。
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青木理恵さんのお名前は知っていましたが、これはどこで行われたのでしょうか? St.Martins-Within-Ludgateとあちこちに書いてあるのですが、一体どこ?
ガラちゃんさんは忙しいお仕事の傍ら、すごいですね。うちの会社のおじさんたちにガラちゃんさんの爪の垢でも飲ませてあげたいですよ。
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dognorah at 2007-03-04 02:29
ロンドンの椿姫さん、その教会はセント・ポール寺院の西側に位置し、Ludgate Hillという通りに面しています。
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dognorah at 2007-03-04 21:38
ガラちゃんさん、カメラのフラッシュが気付かないほど演奏に集中されていたんですね。気楽な聴衆の私は集中が邪魔されっぱなしでした(笑)
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青木理恵
at 2007-03-08 01:16
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dognorahさんのブログに載せて頂いている!
目が張り付きました! 私たち、まな板の上のブーフーウー状態です。 どうしよう・・・・思わず、走り読みしてしまいました。 でも、でも!愛情溢れ優しさのにじみ出るコメント。 思わずひれ伏してしまいました。 恐縮です・・・ 写真についてのさりげないフィードバックには、感謝します。 あまり撮りすぎると、身内度があがってしまって、コンサートの格調をそいでしまいますね。 ★椿姫さんにもいつかお会いしたいです。
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dognorah at 2007-03-08 08:58
青木さん、先日お会いしたキーシンのコンサートのときは椿姫さんは着物でいらしていました。タイミングが合えばご紹介しますね。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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