「コジ・ファン・トゥッテ」公演

2007年1月13日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Cosí fan tutte
Opera buffa in zwei Akten von Lorenzo da Ponte
Musik von Wolfgang Amadeus Mozart

Dirigentin : Julia Jones
Inszenierung : Roberto de Simone
Bühnenbild : Mauro Carosi
Kostüme : Odette Nicoletti
Chorleitung : Thomas Lang

Fiordiligi : Ricarda Merbeth
Dorabella : Elina Garanča
Guglielmo : Adrian Eröd
Ferrando : Saimir Pirgu
Despina : Simina Ivan
Don Alfonso : Ildebrando D'Arcangelo

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

これは2003年にプレミエだったプロダクションですがなかなかすばらしい舞台で、今まで見たこのオペラの中では最も気に入りました。変にいじる演出ではなく衣装も時代的ですが美しくデザインされているので抵抗なくオペラに引き込まれます。背景のペンキ絵も丁寧に描かれ美しい港湾の奥行き感が十分に出ています。円筒形の一部を何枚か使って動かすことで庭になったり部屋になったりする工夫も好ましい。

6人の歌手の中ではデスピーナ役が残念ながら一段落ちますが、後の5人は全て水準が高くすばらしい出来です。当初の配役ではこのデスピーナを昨日スザンナを歌ったタツレスクだったのですがスザンナに予定されていたArchibaldという歌手が降りたために皺寄せが来てしまったようです。タツレスクが歌っていればプロダクションとしては完璧だったでしょう。
まずお目当てのガランチャですが、過去2回振られているだけに予定通り出演してくれてうれしかった。けれども調子は完璧ではないと見ました。あのセスト役で聴いたときにたっぷり潤いのある声に魅了されたのですが、今日は時々その潤いがなくなって乾いた声になることがあって、やはり完全復調ではないようです。でもかなりの歌唱で本来の声が聴けたので、これから出演回数を減らして調子を整えていけば元に戻るのではないかと期待しています。7月のコヴェントガーデンで同じドラベラ役を歌いますので楽しみです。
ドイツのソプラノRicarda Merbethは高音まで素直に伸びる美声がすばらしく、歌唱の上手さでもレヴェルの高い人です。ガランチャも人気がありますが拍手はこの人のほうが盛大で、それが納得できる出来でした。
相手役のテノールとバリトンも文句なしの上手さであり、声でした。バリトンのAdrian Erödは昨夏エクスで聴いた魔笛でパパゲーノをやった人で、今回ともども感銘を与えてくれましたので相当な実力の持ち主という印象です。
そして、これまた私のお気に入りのイルデブランド・ダルカンジェロですが、彼は決して裏切らないことが今回も明らかになりました。この劇場でのドン・アルフォンソ役デビューなのですが深みのある低音と上手い演技で安心して聴いていられます。老け役のメーキャップも上手く出来ていました。

指揮のジュリア・ジョーンズは1961年生まれのイギリスの女流指揮者ですが、教育こそマンチェスター、ブリストル、ロンドンで受けたものの80年代半ばから主にドイツのオペラ劇場で活躍しているそうで、今回初めて名前を聞きました。モーツァルトを得意としているようです。全体にテンポがゆったりとした指揮で特に第1楽章前半は遅くて、聴いていてあまり乗れなかったのですが、その後は躍動感が出てきて楽しめるモーツァルトとなりました。しかしイギリスで聞いたことがないイギリス人指揮者にこういうところで出会うというのも面白いですね。

写真は左から、Julia Jones(指揮者)、Ricarda Merbeth(フィオルディギーリ)、Saimir Pirgu(フェランド)、Elina Garanča(ドラベラ)、Ildebrando D'Arcangelo(ドン・アルフォンソ)、Simina Ivan(デスピーナ)、Adrian Eröd(グリエルモ)です。
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by dognorah | 2007-01-17 20:40 | オペラ
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