オペラ「バラの騎士」公演

2006年12月10日、パリオペラ座(バスティーユ)にて。

Richard Strauss: Der Rosenkavalier
Comédie en musique en trios actes
Livre de Hugo von Hofmannsthal

Direction musicale: Philippe Jordan
Mise en scène, décors et costumes: Herbert Wernicke
lumières: Werner Breitenfelder
Chef des Choeurs: Peter Burian
Orchestre et chœurs de l'Opéra national de Paris
Maîtrise des Hauts-de-Seine
Chœur d'enfants de l'Opéra national de Paris

Die Feldmarschallin: Angela Denoke (Anne Schwanewilmsの代役)
Der Baron Ochs: Franz Hawlata
Octavian: Daniela Sindram (Vesselina Kasarovaの代役) 
Herr von Faninal: Olaf Bär
Sophie: Heidi Grant Murphy
Marianne leitmetzerin: Michèle Lagrange
Valzacchi: Ales Briscein
Annina: Helene Schneiderman
Ein Sänger: Tomislav Mužek
Ein Polizeikommissar: Scott Wilde
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin: Wilfried Gahmlich
Der Haushofmeister bei Faninal: Mihajlo Arsenski
Ein Notar: Lynton Black
Ein Wirt: Christoph Homberger
Eine Modistin: Elisa Cenni
Drei adelige: Waisen Claire Servian, Ghislaine Roux, Carla Vero
Ein Tierhändler: Pascal Meslé
Vier lakaien der Marschallin: Robert Catania, Gérard Noizet, Guillaume Petitot-Bellavène, Rodrigo Garcia
Vier Kellner: Grzegorz Staskiewicz, Christian-Rodrigue Moungoungou, Omar Benamara, Alexandre Ekaterinski
Der Hausknecht: Denis Aubry

日曜のマティネーをロンドンから日帰りで見てきました。
見に行った経緯はBowlesさんやガラちゃんさんが良くご存知ですが、Octavian役のVesselina Kasarovaが初日から休演しており代役が出演していたのですが、10日はガランチャが出演と発表されたためです。しかし切符を手当てした直後に彼女が入院してヴィーン国立歌劇場で出演していた「バラの騎士」の最終日である7日の公演をキャンセルというニュースが入り、今回も涙を飲んだのでした。

まず演出ですが、舞台に鏡を全面的に使うアイデアはまずまず成功だと思います。ただ、ヴェニアだかプラスティックだかのペラペラの鏡が風が吹いただけでヒョコヒョコと波打って無様になるのはいただけません。他に舞台にお金のかかるものはオクタヴィアンが銀のバラを届けるシーンぐらい(階段がせり出てきてなかなかすばらしかった)だったのでもう少し頑張ってガラス製の本物の鏡を使って欲しかった。何しろ、壁や建物など全てペンキ絵でしたから。衣装はまずまず。特にバラの騎士の白い燕尾服に白いシルクハットはおしゃれです。ガランチャのその姿を見たかった(笑)
元帥夫人の小間使いとしてなぜかピエロ姿の役者が演じていましたが、彼が幕開けと幕引きをやるので、喜劇の始まり始まりーという調子なんでしょう。顔の大半を黒く塗っていますが、最後にゾフィーの落としたハンカチを拾って顔を拭います。多分、元帥夫人とオクタヴィアンの不倫を唯一知っていてわだかまりのあった状態を黒い顔で表現していたのが、オクタヴィアンとゾフィーの普通の恋愛関係になって心が晴れたというところでしょうか。オットー・シェンクの黒人少女を使うだけの演出より気が効いていると言えるでしょう。

歌手ですが、代役とはいえつい先日までヴィーンで同役を歌っていたアンゲラ・デノーケの歌唱が声も含めてすばらしい。彼女は今年の5月にROHでシェーンベルクのErwartungを好演し、私の点数が高い歌手ですが今日もとてもよかったのです。本日随一と言えます。立ち居振る舞いの気品さという点ではフェリシティ・ロトにはかないませんが。
オクタヴィアンのダニエラ・シンドラムはいきなりの代役で大変だっただろうと思いますが、歌唱はなかなかのものです。声もよく出ていました。ただ、この人はちょっと顔が痩せ過ぎで骨ばっていて、特に男装しなくても男性のように見えるのが難点ですね(汗)。
男声陣の要であるオックス男爵を歌ったフランツ・ハウラータは歌は上手いのでしょうが声質が余り好みではありません。特に第1幕は声もあまり出ず、興醒めでした。第2幕以降はかなりましになりましたが。
ゾフィーを歌ったハイディ・グラント・マーフィーは近くで聞けばそれなりに上手い歌手と思いますが、ちょっと声が響かず元帥夫人とオクタヴィアンに比べるとかなり落ちます。他の歌手は概して水準以上で、特にアンニーナを歌ったヘレン・シュナイダーマンはよく声が出ていて好演でした。
フランス系スイス人のフィリップ・ジョルダンが指揮するオケがドイツ音楽をどう料理するかちょっと心配なところもありましたが、シュトラウスの音楽のなかでもちょっと軽めなのが幸いしたのか生き生きした美しい演奏で、楽しめました。最初ちょっとアンサンブルがどうかと思うところがあったもののどんどんよくなりましたし。

このバラの騎士は実演を聴くのはまだ2回目です。DVDではクライバー指揮のヴィーン国立のものと、大昔フルトヴェングラー指揮(真贋のほどに問題があるといわれていますが)の映画を見たぐらいです。映画は非常に美しかった印象がありますが記憶がかなり薄れています。クライバーのDVDのものは現在でもヴィーンで上演されているプロダクションと思いますが、演出、舞台ともちょっと古すぎますね。
その点、コヴェントガーデンの物は、これも結構古いプロダクションと思いますがシュレージンジャーの演出はかなりお金がかかった豪華な舞台ですばらしいです。私が見たのは2年半前ですが、フェリシティ・ロト、アンゲリーカ・キルシュラーガー、クルト・ライドルが主演で大感動しました。多分これを上回る公演にはなかなかお目にかからないだろうと思います。

写真は、前列左からMurphy、Hawlata、Denoke、Jordan、Sindramです。
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by dognorah | 2006-12-11 23:35 | オペラ
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