ベルリオーズのオラトリオ「キリストの幼時」

12月3日、バービカンホールにて
Hector Berlioz (1803-1869)
L'Enfance du Christ (1850-54)

出演
Karen Cargill (soprano) Marie
William Dazeley (baritone) Joseph
Yann Beuron(tenor、Ian Bostridgeの代役)The Narrator/Centurion
Matthew Rose (bass) Herod
Peter Rose (bass) Father/Polydorus
Tenebrae chorus
LondonSymphony Orchestra
Colin Davis conductor

曲は3部構成でヘロデによる赤ん坊虐殺、それを聞いてエジプトへ逃れるヨゼフとマリア、サイスというところで匿われて10年後にパレスティナに戻るまでの物語を音楽にしたものです。
この曲を聴くのは全く初めてですが、100分程度の演奏時間を要する大曲ながら聴き応えのある佳作です。歌詞がフランス語で字幕なし、非キリスト教者である私は純音楽として聴きました。テーマのせいでしょう、ベルリオーズにしては珍しく管弦楽が大暴れすることなく実に美しいメロディで構成されています。特に第3部中ごろのハープとフルート2本による3重奏は心に滲みる美しさです。デイヴィス指揮のLSOの音が本当にしっとりしたもので、月並みな表現ですが心を洗われるような感じでした。彼のベルリオーズは定評がありますが、この曲でも心からの共感を感じているようです。

ボストリッジはつい先日日本でリサイタル等を行ったのですが、風邪を引いて万全の調子ではなかったことをBowlesさんのレポートで知っていました。どうもそれが尾を引いているらしく、本日はダウンです。日本から英国への長距離フライトで悪化したのかもしれません。しかし代役のヤン・ブロンは知名度では劣るものの十分すばらしい歌唱でした。声も魅力的です。
その他の歌手も全く文句のない出来で、レヴェルの高いコーラスと共にすばらしい声のハーモニーを堪能させてくれました。このコーラスは2001年に元The King’s Singersの指揮者だったNigel Shortという人によって結成された若い団体で、テネブレイという宗教的な名前から推察されるように、この曲やメサイアのような宗教がテーマとなった曲に特化して活動しているようです。しかし先日の「ヴェニスに死す」で聴いたPhilharmonia Voicesといい、20-30代の若手による合唱団のすばらしいこと!よい指導者に恵まれればいくらでもこういうレヴェルのものができてしまう英国歌手界の層の厚さには感心します。

写真は、左からMatthew Rose、Beuron、Peter Rose、Dazeley、Cargill、Davisです。
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by dognorah | 2006-12-04 20:04 | コンサート
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