ヌレエフとフォンテーンの白鳥の湖

c0057725_1953177.jpg40年前の映画をDVDで観た感想を。

チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
オデット/オディール:マーゴ・フォンテーン(Margot Fonteyn)
ジークフリート王子:ルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev)
ヴィーン国立歌劇場バレー団
管弦楽:ヴィーン交響楽団
振付:ルドルフ・ヌレエフ
指揮:ジョン・ランチベリー(John Lanchbery)
撮影年:1966年

美しい映像で音も想像以上によい。舞台での演技をそのまま撮ったものであるが観客はいない。ヌレエフの演出はプティパなどとはかなり変わっていて、宮廷の友人とか道化役とかがいない。また悪魔はあまり踊らない。要するに男性ダンサーでまともに踊るのは王子だけ。主役の自分が振付けるとこうなるのだろう。見ているほうは他のダンサーの妙技も見たいのだが。最後も王子だけが溺れ死ぬ筋にしてある。

まあとにかく絶頂期のヌレエフはたっぷり堪能できる。セクシーで美しい人だ。フォンテーンだってまだまだすばらしい踊りである。両腕の動き一つ取ってみても完成された技を感じる。これの7年ぐらい前に撮影された「火の鳥」を映画館で見たときは漲る若々しい生気に圧倒された記憶があるが、さすがに年はとっている。
第3幕の有名なオディールの32回転は数えてみたら28回転ぐらいではあるが見事。しかしそのすぐ後に王子が20回転以上やる。これがすごくてぞくぞくする。回転スピードが恐ろしく速いのにピシッと決まっているのだ。こういうのはあまり観たことがない。二人のすばらしいバレーに感銘するが晩年の悲惨さに至る過程を思い出しもし、つい涙ぐんでしまう。

1961年にソ連から西側に亡命したヌレエフは62年にフォンテーンとジゼルで初の共演をしてお互いに魅かれ、63年からロイヤルバレーを中心にペアを組むようになる。1919年生れの彼女はもう引退を考えていたが19歳年下のの天才ダンサーに出会って啓示を受け、さらに数年間ペアを組んでバレーを続けることを決意。引退したのは70年代になって、パナマの外交官である夫に従ってパナマに行ったとき。政敵に撃たれて体の自由の利かなくなった夫の世話で財産を使い果たし、心身とも疲れ果てた彼女は癌にかかって1991年に死亡。一方のヌレエフは男色にふけったのか、AIDSにかかって93年に死亡。ペアを組んで活躍中の二人は公私とも親密になって彼女は妊娠もするが流産してしまう。もし流産しなければ二人のその後はかなり違った人生になっただろう。
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by dognorah | 2006-10-17 19:11 | DVD
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