皇帝ティートの慈悲

Mozart:La Clemenza di Tito
9月17日、パリオペラ座(ガルニエ)にて。

指揮:Gustav Kuhn
演出:Ursel and Karl-Ernst Herrmann
舞台:Karl-Ernst Herrmann
衣装:Karl-Ernst Herrmann
照明:Karl-Ernst Herrmann、Heinz Ilsanker

Tito:Christoph Prégardien
Vitellia:Anna Caterina Antonacci
Servilia:Ekaterina Syurina
Sesto:Elina Garanca
Annio:Hannah Esther Minutillo
Publio:Roland Bracht

もうただただすばらしい舞台に大感激しました。ガルニエでオペラを見るのは初めてだったのですが、コヴェントガーデンに比べてこじんまりしたこのホールの空間がさらに感激を高めてくれた気がします。

まず、演出、舞台、衣装に脱帽です。白と薄いエメラルド系の色を使った簡素で現代的な舞台ながら様々な工夫がなされていて、物語の内容と全く違和感がありません。一つ難点があるとすれば、セストの放火で炎上する宮殿の様子が舞台を正面から見る観客にしか見えないことでしょうか。私は正面だったので廊下のように作られた古代ローマ式列柱の奥で上がる炎と煙はよく見えましたが。
衣装も美しいデザインであるだけでなく、裏返して着て色を変え、心の中を表現したりするきめの細かさには感心するのみ。
皇帝が次々と花嫁候補を変えていくのですが、候補の女性に肩掛けを羽織らせることでメッセージを伝えたり、花嫁衣裳をつけたユダヤの王女が大きな卵形の岩をくりぬいたようなものに横たわって舞台を右から横切っていきシンプルな舞台に彩を与えますが、彼女がその肩掛けを落としていくことで求愛を断る様を表現したり、全く細かいことを見逃せないけれどわくわくする舞台です。オリジナルプロダクションは1982年にブリュッセルのモネ劇場で上演されたもので、1992年にはザルツブルグでも上演され、ここガルニエでは2005年に初上演されたものとのことです。

指揮のクーンはとても軽快な音楽作りでオケと歌手のバランスもよく、モーツァルトの音楽をたっぷり楽しませてくれました。

歌手では、セストを歌ったズボン役のエリーナ・ガランチャ(1976年生れ)が声も歌も最高!その上演技も容姿もよく、きりっとした美しい顔がこの役にぴったりです。もちろん観客の拍手もこの人に集中していました。彼女はラトヴィア生まれで既にヴィーンやザルツブルグで名を成している人ですが、来年7月のロイヤルオペラのコジ・ファン・トゥッテでドラベラ役を演じることになっています。楽しみが増えました。
アンニオを歌ったチェコ出身のミヌティロも同じくメゾですが悪くはないもののちょっと地味な存在です。
ヴィテリアを歌ったアントナッチもなかなか良いソプラノです。もうすぐロイヤルオペラでカルメンを歌うことになっていることからもわかりますが、声はやや太めです。時々ヴィブラートがかかることがありましたが全般的にはなかなかの熱唱でした。
セルヴィリアを歌ったシューリーナは最初ちょっと調子が出ない感じでしたが、2幕はいい声を披露してくれました。
ティート役のプレガディエンは容姿的には皇帝にぴったしですが、声はややバリトン的なテノールです。歌や演技は上手かったと思います。
プブリオ役のブラハトはこれも適任。声はバスというよりもややバリトン寄りでしたが。

写真は向かって左から、ブラハト、アントナッチ、クーン、ガランチャ、プレガディエン、ミヌティロ、シューリーナです。クリックするともう少し大きくなります。
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by dognorah | 2006-09-20 20:57 | オペラ
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