PROMS:エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管弦楽団

9月4日、ロイヤルアルバートホールにて。

プログラム
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 作品64

演奏
管弦楽:The Philadelphia Orchestra
指揮:Christoph Eschenbach
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前日はスタッフや出演者のためのバーで小さな火事があり、それが原因で電源系統が落ちてコンサートは中止。翌日への影響が懸念されましたが、幸いにして復帰しました。

さて、2日間の予定で演奏するはずだったフィラデルフィア管弦楽団は残念ながら本日だけとなってしまいました。ポピュラーな曲が2曲ですが、断然ベートーヴェンがよかったと思います。颯爽とした現代風スタイルながら古典的構築美を力強く表現しています。間はあまり取らず、フェルマータは最小限という感じなのでテンポは少々速めです。これを聴いた限りでは第9番もかなり期待できそうで、昨日のキャンセルがほんとに惜しまれます。
しかしベートーヴェンの交響曲のように超ポピュラーな演目、特にその中でも第5番なんかは個性を出しながら作品のすばらしさを伝えるのは難しいでしょうね。今回の演奏スタイルはそれほど好きというわけではありませんが、この条件を満たしてレヴェルの高い演奏をしていたのは間違いありません。

チャイコフスキーの方は暗い曲ですが、なんかことさらにその暗さを際立たせるような演奏でした。ゆっくり目のテンポでダイナミズムを押さえ気味にチャイコフスキーの情念のようなものを表現しようとしたのでしょうか。楽章間に間を取らず全曲ほとんど切れ目なく演奏されました。管弦楽の方は、木管と金管は完全4管編成(ホルンは5本)という大編成で望んでいましたが、それほど迫力はなくちょっと薄っぺらささえ感じました。一昨日に聴いたベルリンフィルはそれに比べるとやはり重厚だったなぁと思わざるを得ません。

フィラデルフィア管はかなり前にロンドンで聴いた記憶がありますが、世代交代でいまや別物でしょう。奏者もコンサートマスターをはじめ東洋系が結構目立ちます。とてもうまいオケではあるもののかつてオーマンディが指揮した頃の豊麗で輝かしいサウンドは期待すべくもありません。そのオーマンディが来日したとき、インタヴューアがフィラデルフィアサウンドという言葉を発したら、「オーマンディサウンド」と言って欲しいとクレームをつけたそうですが、そういう音が消えてしまった今となっては彼の言葉はその通りだったんだと実感します。
写真は幕間にBBCのインタヴューに応じるエッシェンバッハ(1940年生まれ)です。
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by dognorah | 2006-09-05 22:28 | コンサート
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