最近飲んだワインで感心したものを2種類紹介します。
(1)メルロー品種で作った赤ワイン Tarantella Merlot 2004 Morso D’amore Tarantino IGT 手頃な価格のイタリアワインです。産地はイタリア半島を長靴に例えるならその踵の部分であるプーリア(Puglia)州で、暖かい気候ゆえブドウの糖分が高く、したがってアルコール濃度も上がってこのワインの場合は14%です。この地域はTarantinoと呼ばれ、以前は大量に安いワインを産出していたのですが、近年は若いワインメーカーが品質の改良に取り組み、その結果すばらしいワインがどんどん生れている注目すべき産地です。 色は濃厚なルビー色。 グラスに注いだだけで熟した果物、濃いブラックカラント、オークなど高級赤ワインでお馴染の香りがむわーっと立ち上ります。グラスを回すとさらにトロピカルフルーツ、コーヒーや各種スパイスの香りも加わります。最初に一度にこういう香りが出てきて、時間的な変化は余りありません。 飲むと濃厚な果実味がスムーズに口中に広がります。味はチョコレートをイメージさせるプラムなど干した果実を連想させるもの。文句なくおいしく、リーズナブルな価格(6-7ポンド)がうれしくなりました。 (2)ジンファンデル品種主体の赤ワイン かなり高級なカリフォルニアワインです。 Ridge 2003 California Zinfandel Pagani Ranch ジンファンデルはカリフォルニアに昔から自生しているブドウ品種で、ちょっと欧州のメイン品種とは異なるフレーヴァーを持っているので独特の味がします。今までこの品種のものをそれほどたくさん飲んだわけじゃないのですが、そこそこおいしいものは経験しました。しかし今回は過去のイメージを完全に覆してくれました。ボルドーやブルゴーニュの高級ワインに一歩も引けをとらない濃厚で上品な香りと味に仰天した次第です。これぐらいのクラスになると品種の差よりもワインそのものの出来を云々すべきものであることを実感しました。香りは確かに独特のスパイス香があるものの基本的には干した果物の濃厚なもので、時間が経つと葉巻の香りも出てきます。なお、Pagani Ranchというのは畑名らしく、ここに他の畑名が書かれているものも各種出ているようです。 セパージュを詳しく書くと(年によって少々異なりますが)、 90% Zinfandel, 6% Alicante Bouschet, 4% Petite Sirah で、このボトルの場合アルコールは15.3%です。同じメーカー(Ridge社)でブドウを遅摘みしたものだけで作ったワインがありますが、それは15.8%もの濃度があります。 このワインは日本では5000円前後で販売されているそうです。私はアメリカから来た友人にプレゼントしてもらったのですが、イギリスでも25ポンド前後のようです。
by dognorah
| 2006-08-27 21:08
| ワイン
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Comments(10)
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助六
at 2006-08-28 06:11
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プーリア地方大好きですが、ターラントには行ったことがありません。アドリア海側は海に近い平地は延々とオリーヴ畑が続くので、ブドウ畑は山の方なんでしょうね。タランテッラと言うとこの地方の舞踊起源だという舞曲形式を思い出してしまいます。毒グモに刺された時の毒抜き用気違い踊りだったとか言うのですが。ロッシーニの歌曲「ダンツァ」はこれだし、ショパンやリストにもそういう題の曲があったと思います。見つかったら、曲を聞きながら呑んでみようと思います。
フランス国内では依然手に入る外国ワインは大変限られてますが、海外市場で仏ワインは南米・オーストラリアの「新世界ワイン」にシェアを年々奪われ、仏業者は深刻な危機感を抱いています。知名度に胡坐を掻いていた形の仏業者も遅まきながら、カリフォルニアやオーストラリア・ワインの質の高さを認め、特にラヴェルの分かりやすさなど参考にし始めてますね。 英発着便は、欧州内でもワインの機内持ち込みは困難になってるんでしょうかね?
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dognorah at 2006-08-28 07:44
さすが助六さんはプーリア地方も行かれたことがあるのですね!アドリア海側も見所が多いようで、いつかは、とは思っているのですが・・・
このワインの説明書によると、まさしくその舞踊から取った名前だということです。踊るのは女性だけらしいですが、ものすごくエロティックだとのこと。同じことなら映像付きの音楽で飲みたいですね(笑) フランスワインは知名度が上がると同時に値段も上がっているのが問題ですね。同じ値段だったら新世界ワインの方がおいしいというのは皆さん仰っているし。 イギリス発はとにかく全ての液体はだめなようです。しかし、検査が終わってから免税店などいっぱいあり、そこで買う分はOKなので機内に持ち込めるそうです。欧州発イギリス行きの便でも規制されているのでしょうか?
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Bowles
at 2006-08-28 10:38
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プーリアは、プリミティーヴォやマルヴァジーアなど地方原産のブドウで作ったワインが多いですね。このようにメルロー主体というのは珍しい...。プーリアはどこまで行っても平地が続いて「山」というのはほとんど無いので、ブドウも平地に近い丘で栽培されています。レッチェがあるサレント半島、ロコロトンドのあたり、北のカノーサ・ディ・プーリアあたり。以前は南の濃厚なワインはあまり好きじゃなかったんですが、最近はそこそこ気に入って、値段とも折り合いがつけやすいので(笑)、よく飲んでいます。
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Bowles
at 2006-08-28 10:44
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ターラントには去年行きました。旧市街がかなり荒れて廃墟化が進んでいます。ちょっとすさんだ雰囲気のところもありました。
タランテッラというと、例のタンバリンでのピッツィカ・ピッツィカと切り離すことはできません。レッチェの本屋にタランテッラ関係の本がわんさか売られていることからもわかるように、本場はサレント地方。毎年お祭りもあります。 >踊るのは女性だけらしいですが、ものすごくエロティックだとのこと ヴィデオもあります(笑)。一種の憑依現象的なところも...。
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Bowles
at 2006-08-28 11:07
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dognorah at 2006-08-28 20:20
多分Bowlesさんは行った経験がおありだろうと思っていましたがやはりそうですね。仰るとおりプリミティーヴォなど地域固有の原産種で作られることが多いようですね。手元にある本でもジンファンデルの原種と書いてありました。移民がこれをアメリカにもって行ったのでしょう。ターラントでもきちんと作られたものはジンファンデルと同様に長期熟成に耐えられるいいワインになるそうです。
タランテッラのヴィデオがあるんですね。チャンスがあれば見れるように記憶にとどめておきましょう。
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ponchikrin at 2006-08-28 23:18
あ、Ridgeのジンファンデル!私も好きです~。ワインの名前などなかなか覚えられない私が覚えている数少ないワイナリーの一つです(笑)。このPagani Ranchは飲んだことがありませんが、ジンファンデルをとっても美味しいと思ったのはここのがはじめてでした。
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dognorah at 2006-08-29 02:29
Ridgeは名の通ったワイナリーで、愛好家にもとても評判のいいワインを生産していますね。多分何を買っても信頼できるでしょう。
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助六
at 2006-08-29 08:29
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あの後飛行機を利用したことはないので実情は知りませんが、報道によれば、パリ発アメリカ・イギリス・イスラエル行き便では、液体の機内持ち込みは禁止されているようです。
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dognorah at 2006-08-29 19:43
パリ発でもそんな規制があるとは。アメリカやイスラエル行きは飛行機を使わざるを得ませんが、ロンドン行きはユーロスター利用が増えたでしょうね。航空会社から不公平だと文句が出て、列車でもチェックが強化されないかと心配です。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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