PROMS:ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団

8月18日、ロイヤル・アルバート・ホールにて。

出演
ヴィオラ:ユーリ・バシュメット(Yuri Bashmet)
指揮:ワレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)

プログラム
ショスタコーヴィッチ:バレー音楽 “The Golden Age” 作品22 抜粋
シュニトゥケ:ヴィオラ協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 「悲愴」

9月よりロンドン交響楽団(LSO)の音楽監督を務めるゲルギエフのPROMSお披露目。
最初の曲は、演奏されることが珍しいショスタコーヴィッチのバレー音楽からの抜粋。1929-30年に作曲されたもの。内容はソヴィエトのフットボールチームが絡むお話らしい。活き活きとした音楽ながら、ミュージカル、ジャズ、ダンス音楽とあらゆる要素が取り入れられたもの。ガーシュインやコープランドを思わせるような部分もある。例によって当時の共産党機関紙「プラウダ」からは「音楽というより単なる混乱」と酷評されたらしい。
演奏はさすがにロシア人ゲルギエフ、すばらしい。LSOがよくついていったな、と感心するくらい乗りに乗っていた。本日の演奏はショスタコーヴィッチ自身が管弦楽用に組曲として作った作品22aではなく、オリジナルのバレー音楽から抜粋したもの。

2曲目のヴィオラ協奏曲はシュニトゥケがバシュメットのために1985年に作曲したものである。ピアノ、チェンバロ、チェレスタの鍵盤楽器と各種打楽器が並び、弦楽器は少な目の楽器構成であるのが目を引く。
しかし、曲も演奏もあまり面白くなかった。小さなホールでじっくり聴けば渋さの中に光るものを見つけられるかもしれないが、ヴァイオリンやチェロに比べて派手さの少ないヴィオラはこのホールではほんとに地味な存在である。写真は演奏終了後のもの。
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最期の「悲壮」は、さすがにゲルギエフは暗譜で指揮をする。驚いたのはものすごい派手なアクションで指揮をすること。ジャンプしたりしゃがんだり指揮台狭しと左右に忙しく動き回る。大体いつも譜面をめくりながら指揮しているのでめったに見られない光景だ。

第1楽章は深みがある表現で、間を十分とって悲劇的な感情をたっぷり含ませたとても美しい演奏であった。しかし楽章が進むにつれてオケのアンサンブルの荒さが目立ち始める。弦も硬直化していく感じだ。あまりLSOらしくない。指揮者が派手に動き回るほどその傾向が強くなる。特に第3楽章以降。全体としてはスケールの大きい迫力のある演奏ではあったけれど、聴く方はちょっと集中力が萎えてしまったのも事実。

思うに、手馴れた曲ゆえリハーサルで手抜きしたか。前半の2曲のリハーサルでかなり時間を使っただろうし、ゲルギエフはこの後マリンスキーの手兵を使って連日大曲を演奏しなければならず、かなり時間的制約があったはず。来期からのLSO、超多忙なこの人の指導下で大丈夫かなと心配になってしまう。

しかし、ロンドンの聴衆もいい加減この曲の第3楽章終了時に拍手するのをやめて欲しいものだ。声まで出す人がいる。ゲルギエフは嫌がって直ちに第4楽章に進んで拍手をやめさせたが。以前はこんなことはなかったのに最近はひどい。
この「悲愴」、2-3年前にロイヤル・フェスティヴァル・ホールで聴いた小沢指揮サイトウキネンが私の中では最高の経験である。
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by dognorah | 2006-08-20 00:12 | コンサート
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