PROMS - Julian Andersonの新作

8月6日、ロイヤル・アルバート・ホールにて。

プログラム
ジュリアン・アンダーソン(1967 - ): Heaven is Shy of Earth(世界初演)
モーリス・ラヴェル(1875 – 1937): ダフニスとクローエ(全曲)

演奏
メゾ・ソプラノ:Angelika Kirchschlager
合唱:BBC Symphony Chorus
管弦楽:BBC Symphony Orchestra
指揮:Andrew Davis

最初の演目はこのPROMSのためにBBCがアンダーソンに委嘱したものである。アンダーソンは毎月サウスバンクでMusic of Todayという現代音楽紹介の催し物を主宰し、世界中の作曲家を招いてインタビューし、フィルハーモニア管弦楽団の協力で彼らの作品を紹介している。私も何回かそれを聴きに行ったので馴染の人である。彼自身の作品を紹介したこともあった。 なかなか魅力的な音楽を作る人で、温かそうな人柄の快活な人物である。Royal College of Musicで学んだ後ケンブリッジでも学んだ。Royal College of Musicで教鞭ととっていたが現在はアメリカのハーヴァード大学の教授だそうだ。

今回の作品はメゾ・ソプラノ独唱と合唱、それに大編成の管弦楽を駆使した規模の大きい作品となっている。演奏時間は30分程度。
歌詞はラテン語による賛美歌の一節とイギリスの詩人Emily Dickinson (1830 – 86)の詩(英語)を組み合わせたもので、一見宗教的な構成であるが、彼自身の解説によると宗教とはあまり関係なく、美しい自然を讃えたものらしい。
題名はディッキンソンの詩の一節;
Blue is blue – the world through –
Amber – amber, dew – dew
Seek, friend, and see –
Heaven is shy of Earth …
から取ったもので、地上の自然の美しさに天国も恥じ入る、という意味らしい。
曲は賛美歌の様式に従って構成されているが、メゾ・ソプラノと合唱が美しく歌う心に染み入る曲だ。音的にはかなり現代的なものだが全体としては伝統音楽的アプローチで、誰にでも受け入れられる優しさを持っている。テーマがテーマだからそういうニュアンスになってしまうのだろう。実はもう少し先鋭的な音やメロディを期待していたがやや肩透かしを食らった感じである。でも、音楽としてはとてもよく出来ていて、恐らく彼の代表作として挙げられるものになるだろう。

c0057725_054191.jpgメゾソプラノのキルヒシュラーガー(スペル通り読んでみたが、日本ではキルシュラーガーという読み方もあり、BBCではそういう発音だった)は数年前にコヴェントガーデンで「バラの騎士」のオクタヴィアンを聴いて、いい歌手と思ったが、今日もすばらしい歌唱だった。このプレミエが成功とすれば彼女の功績はかなりのものだろう。曲想と完全にマッチしている。透明で瑞々しい声はずっと聴いていたいと思うほど。左の写真のごとく額に皺を寄せて歌う癖のある人である。
合唱も管弦楽もよくコントロールされてすばらしいアンサンブルだった。終演後舞台に迎えられたアンダーソンは大歓声を浴びて満足そう。写真は合唱指揮者も交えて拍手に答える出演者。キルヒシュラーガーの右側がアンダーソンです。
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2曲目のラヴェルは桂冠指揮者アンドリュー・デイヴィスとBBC交響楽団が一糸乱れない生き生きとした演奏を披露してくれた。合唱も前の曲に続いて実力を発揮。
プログラミングに魅力を感じなかった人が多かったのか、客の入りは3-4割程度。指揮者が腕を完全に下ろすまで拍手が出なかったのはいいが、演奏中にフラッシュを焚いて写真を撮る人が数名いたのはいただけない。
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by dognorah | 2006-08-08 00:57 | コンサート
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