今日の予定はコンピエーニュの森から南下してブルゴーニュ(Burgogne)地方のシャロン・スール・ソーヌ(Chalon-sur-Saône)の近くまで。途中で久しぶりにランス(Reims)に立ち寄り、前回は存在を知らずに見損なったシャガールのステンドグラスを見ることにする。それがノートルダム大聖堂にあることを昨年フンメルさんの記事で知り、今回はそれを見る時間を計算して旅程を組んだ。
聖堂内にはバラ窓を始めたくさんステンドグラスがあるが、一番奥にあるシャガールのものは遠くからでもすぐそれとわかる。イギリスでタドリーとチチェスターの2箇所の作品を見て憶えた特徴は共通しているからだ。ランスに昔から伝わる技術を使ってガラスを製作したと書いてある。深く且つ透明な色がとても魅力的。何と言ってもシャガールはその色使いがいい。中でも特に、濃い青の中に使われた深紅が深みがありとても印象的でじっと見続けても飽きない。双眼鏡で見るとさらに迫力があり、しばらく見とれてしまった。写真を撮ってみたがとてもデジカメじゃその印象は表現できない。 他のステンドグラスも美しいが伝統的なものに混じってモダンなものもあるのにびっくり。イギリスの古い教会ではお目にかかったことがない。戦災で壊れた部分を現代作家に依頼したのだろうが、シャガールほどの出来ではない。下の写真は面白いと思った図柄。 このあと100kmほど南に行くとディジョン(Dijon)であるがもう夕方だし旅行の帰り道でも通るので今日は懐かしの国道74号をボーヌ(Beaune)を経由してひたすら南に行く。途中で今日の宿に電話するが誰も出ない。そういえば唯一最後の確認メールを受け取っていないところだという。これはまずい。ひょっとして予約が入っていないかも。じゃあ、代わりにどこへ行こうかということになって、前回宿が満杯で泊まれなかったムルソー(Meursalt)に行こうということになった。村のセンターに行ってみるとかなりの人出だ。子供向けのアトラクションまで出ている。夏はいつもこうなのかと思って車を駐める所を探していると、先ほどの宿から電話がかかってきた。やっぱりこちらの最後の電子メールが届いていないという。部屋は空いているが今から食事の用意は出来ない(当然だろう)とのこと。駐車した周りにかなりのレストランがあったのでそこで夕食をとることにした。レストランはえらく込んでいてなかなか料理が出てこず、予想以上に時間がかかった。料理はまあまあおいしかったが暑いのには閉口してメインが出るまでしばらく外で涼んだりする。そのうち薄暗くなってくるとレストラン前の広場は花火や爆竹などで騒然としてきた。どうやらお祭りらしい。後で知ったのだが、革命記念日の14日はパリで騒ぐが地方は前日に騒ぐとのこと。既に車進入禁止の措置が取られた場所からほうほうの体で車を出し、急いで宿に向かう。しかしこのお祭りはあちこちで障害となった。行きたい道路が封鎖されていたり迂回させられたりで、目的の宿の近くに着いたときはほとんど真夜中で、我がナヴィゲーションシステムはご機嫌麗しくなく最後の詰が出来ない。車内灯をつけて地図を見ながら相手に電話するも彼らの言う目標が認識できない。弱っていると助け舟が。お祭りのためそういう深夜でもうろついている家族連れがいて、親切にも声をかけてくれたのだ。こういう助けは実は過去に何度も経験しているがゆえにますますフランスが好きになる。先方に電話をかけて詳細な道順を聞き、自分の車で先導してくれた。行ってみるとすぐ近くまで来ていたのだが。 宿の建物は17世紀の領主の狩場用のもの(Hunting lodge)を住居に転用したもので、何十ヘクタールの広い狩場がそのまま屋敷の敷地となっている。部屋は広くていいのだが現代的感覚ではやや使いにくい。 一時期はワインも作っていたらしく、今でも保存してある大きな樽や果汁絞り機などを翌朝見せてくれたがレギュレーションがうるさくなってかなり前にやめてしまったらしい。何しろここはブルゴーニュの真っ只中だからなぁ。
by dognorah
| 2006-08-04 00:08
| 旅行
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Comments(12)
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助六
at 2006-08-04 06:06
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ブルゴーニュのブドウ畑に囲まれた小村、いいですね。私もノルマンディ・プロヴァンスと並んで好きな地方です。ボーヌ周辺はドイツ方面からフランス・スペイン各地へ下る車が皆通るから、田舎の割りに夏季は結構込みますね。
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dognorah at 2006-08-04 07:42
ブルゴーニュも10数年前に比べるとワイナリーを訪問する人が増えていることも込む原因でしょうか。大きなCaveがあちこちに出来ているのに目を見張りました。
ブドウ畑は革命後小作農に分配されたせいで今でも同じ名前の畑に異なる経営のワイナリーひしめいているのもボルドーとは全然違う環境でヴァリエーションに富んでいますね。例えばクロ・ド・ヴージョは大きい畑ですが20以上のワイナリーが同じ名前のワインを出していて、それらを飲み比べるという楽しみもあります(一度日本でやったことがあります)。
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Bowles
at 2006-08-04 08:38
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ブルゴーニュは約30年ほど前、パリから車で行って、ロマネスクをいくつか見てきました。そのころは情報もなかったし関心もなかったし、お金もなかったしで(最後の理由がいちばん大きい!)、とてもとてもCave巡りなど...。ただしどこで飲んでも、安酒でもおいしかったです。
友人が毎年出かけているボーヌの音楽祭、ちょうどdognorahさんがいらした14日はミンコが登場していました。あそこは週末だけ開催。毎年面白いプログラムなのでぜひとも行ってみたいと思っていますが、日本からだと難しい...。うまくペーザロとも組み合わせられないし。dognorahさん、次回はぜひどうぞ。
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dognorah at 2006-08-04 18:42
30年前とはこれまたすごい。パリに住んでいらしたんですよね?高速道路もあまりなかったのでは?当時のブルゴーニュじゃ日本人を見かけることは稀だったでしょう。今はワインブームでわんさか押しかけ、マナーが悪いので一部の有名ドメーヌでは日本人お断りの方針だとか。
ボーヌの音楽祭なんてあるのですか。本当に欧州は懐が深いですね。ペーザロとは距離もあるし両方行くのはちょっと難しい感じです。今回のエクスとヴェローナでもかなり無理しましたから。
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stmargarets
at 2006-08-04 18:56
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うわぁ、写真でもこれだけキレイな青という事は、実物は本当に筆舌に尽くしがたいのでしょうね。
私も最近ランスに行きたくなってきています(藤田礼拝堂も見てみたいので) その前にイギリスの2箇所のシャガールステンドグラスを観にいかなくちゃ!
今年は両親が結婚数十年記念なので、夫婦でヨーロッパへ3週間旅行へ行っています。昔イギリスに住んでいたので、dognorahさんのブログのような旅行をしているのかな・・・と思いながら、お土産話を楽しみにしているところです♪
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らぷそでぃ
at 2006-08-04 21:25
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こんにちは、欧州を車で旅する・・憧れです。いつか実現させたいなぁ・・
なんというブルーかと暫し見惚れました。
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dognorah at 2006-08-04 23:23
stmargaretsさんもぜひ車でどうぞ。楽しさが倍増しますよ。藤田礼拝堂は時間がなく今回もパスでした。
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dognorah at 2006-08-04 23:32
おさかな♪さんはフランスにいらっしゃった頃はあちこち旅行もされたのでしょうか。一家揃ってヨーロッパに縁があったんですね。
すっかり生活環境を変えてしまって音楽一筋ですか。若くしてやりたいことをやり通すのはとても羨ましいことです。私からは頑張ってくださいとしかいえませんが。また記事を楽しみにしていますね。
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dognorah at 2006-08-04 23:38
らぷそでぃさんならこれを見て詩がいくつか出来てしまうと思いますよ。
そう、いつか行くぞーと決意してください。そうすればほんとにいつか実現するでしょう。
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Bowles
at 2006-08-05 03:18
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いやいや、パリに責任を伴うような住み方はしていません。無責任にちょこちょこっと滞在していただけです。高速は南仏までは当時からちゃんと整備されていました。
ボーヌの音楽祭はバロックが中心なのですが、毎年渋いプログラムでがんばっています。ボーヌのあのオスピスの中庭、あるいはバジリクでのコンサート形式主体です。ペーザロとはホント、日程の調整がつかなくて。7月の各週末にしか演奏会のないボーヌと8月のペーザロとを組み合わせると、ヨーロッパで「オペラ難民」をしなくてはならなくなります。
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dognorah at 2006-08-05 19:11
>ちょこちょこっと滞在していただけ・・・
にしても30年前からフランス中を走り回っていたというのはやっぱりすごいなぁとおもいます。幹線的な高速は当時から結構あったのですね。今でも建設意欲はすごいですけど。 ディジョン近くの宿で貰ったパンフレットをよく見てみたら、Beaune International Baroque Opera Festivalというものがあるという情報が載っていました。最初からわかっていたら一週間後の週末も滞在していたのでタイミング的には見ることが出来ましたが、残念です。それにしても夏の間はどこへ行っても何かありますね。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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