ドン・ジョヴァンニ(コンサート形式)

6月27日、バービカンホールにて。semi-staged形式の公演で歌手たちは結構演技をします。パリのシャンゼリゼ劇場との共同制作です。

作品:Don Giovanni, dramma giocoso in two acts, K527
作曲:Wolfgang Amadeus Mozart
台本:Lorenzo da Ponte
初演:1787年

Don Giovanni: Ildebrando D’Arcangelo(バリトン)
Leporello: Lorenzo Regazzo(バス)
Commendatore: Giovan Battista Parodi(バス)
Donna Anna: Patrizia Ciofi(ソプラノ)
Don Ottavio: Francesco Meli(テノール)
Donna Elvira: Alexandrina Pendatchanska(ソプラノ)
Masetto: Alessandro Luongo(バリトン)
Zerlina: Anna Bonitatibus(ソプラノ)
Chorus: Théâtre des Champs-Élysées
Orchestra: Concerto Köln
Conductor: Evelino Pidò

とっても楽しい公演でした。コンチェルト・ケルンはピリオド楽器による小さな管弦楽で音はあまりいいとは思えませんが、ピドの指揮がすばらしく、生き生きとしたモーツァルトで心を躍らせながら聴きました。歌手たちもかなりの水準です。

タイトル・ロールのダルカンジェロは丁度1年前にコヴェントガーデンでロッシーニの「イタリアのトルコ人」のセリム役ですばらしい歌唱を聴かせてくれた人ですが、今日も何も言うことのない立派な歌唱でした。ハンサムで演技も上手そう、あれじゃ女はみんななびくだろうと自然に思ってしまいます。過去にはレポレロも歌ったことがありますが、私はドン・ジョヴァンニの方がよいと思います。今秋予定されているロイヤルオペラのカルメンでエスカミーリョを歌うことになっているので楽しみです。

レポレロを歌ったレガッツォは過去にロイヤルオペラで2度ほど出演したことがあるものの私は初めて聴く人です。最近Bowlesさんに名前を教えていただきましたが、キャラクターのあるバスバリトンと思います。歌唱は終始安定している上、コミカルな役どころを実に上手く表現してくれました。来年夏にはロイヤルでコジ・ファン・トゥッテのグリエルモ役への初挑戦をするそうです。

オッタヴィオを歌ったメリは張りのあるいい声をしたテノールで声量もあり、これは儲けものと思いましたが、時間の経過と共に低音部で何か喉に引っかかった様なあまり心地よくない声を出すようになり評価を下げてしまいました。それさえなければ上背もある立派な体格でいろいろな役に引っ張りだこになるだろうに惜しい。やはりテノールは難しいものです。

ドンナ・アンナのチオフィは登場直後は声量もなく声に張りもなくまるで下手なカウンターテノールのような腑抜けた歌唱でしたが、時間と共によくなり声を張り上げるようなところでは名声に恥じないコロラチュラソプラノのすばらしい声が出るようになりました。しかし終始一貫とは言えず、時たまカウンターテノール的なあまり好きではない声も出て私はいまいち楽しめませんでした。ちょっと調子が悪かったのかもしれません。来年夏にはロイヤルでジルダをやることになっていますがそのときは好調であって欲しいものです。

女性陣で唯一終始好調を維持していたのはドンナ・エルヴィラを歌ったペンダチャンスカで、ちょっと太目の声ながらいい歌唱でした。予定を見てもコヴェントガーデンでの出演は近い将来ではなさそうですが、もっと聴いてみたい人です。

ツェルリーナを歌ったボニタティブスは自分の見せ場のアリアではかなりすばらしい歌唱でしたが、その他の場面では声をセーヴしているような歌い方が見受けられちょっと残念です。

しかしこの公演全体としての出来はとても満足のいくもので、私は元来このオペラはあまり好きじゃなかったのに、音楽がこういう風に流れに乗って躍動するととてつもなく魅力的なものになることを知ったのは大きな収穫でした。
c0057725_20164643.jpg

写真は拍手に答える出演者たちで、向かって左から、ルオンゴ、ボニタティブス、レガッツォ、チオフィ、ダルカンジェロ、ピド、ペンダチャンスカ、メリです。
[PR]
by dognorah | 2006-06-28 20:18 | オペラ
<< 建築家、安藤忠雄氏の講演会 小野明子ヴァイオリンリサイタル >>