プッチーニのオペラ「トスカ」公演

6月16日、ロイヤルオペラハウスにて。
Music: Giacomo Puccini (1899)
Libretto: Giuseppe Giacosa and Luigi Illica
(after the play by Victorien Sardou)

コヴェントガーデンのトスカ(Tosca)が40数年振りに新演出となった。なぜ40年以上も続いたかというと、やはりよく出来ていたということもあるが、かのマリア・カラス(Maria Callas)がコヴェントガーデンでタイトルロールを歌うのに合わせてイタリアの名演出家ゼッフィレッリ(Franco Zeffirelli)が演出した記念すべきものであったからでもある。この演出による最後の公演は2003年4月2004年7月にされたそうで、したがってトスカの公演は今回が3年2年振りということになる。ちなみに私はその旧演出を4-5年前に一度見ただけであるが、非常にまっとうな演出と古めかしいながらも美しい舞台装置であったことを憶えている。その公演でカヴァラドッシを歌ったルチアーノ・パヴァロッティは確かそれがコヴェントガーデンでの最後の出演だったと思う。コヴェントガーデンにとってこの思い出多い舞台装置は、シカゴのLyric Operaによって買い取られ、さらに使われ続けるという。

本日のキャスト
Floria Tosca: Angela Gheorghiu
Mario Cavaradossi: Nicola Rossi Giordano
Baron Scarpia: Bryn Terfel
Cesare Angelotti: Carlo Cigni
Sacristan: Graeme Danby
Spoletta: Enrico Facini
Sciarrone: Robert Gleadow
Gaoler: John Morrissey

Conductor: Antonio Pappano
Director: Jonathan Kent
Designs: Paul Brown
Lighting: Mark Henderson

カヴァラドッシを歌う予定だったマルセロ・アルヴァレスは病気で降板、ダブルキャストのもう一人が急遽歌いました。

新演出
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筋を追っても特に目新しい演出というのは気付きません。よく知っている物語をごく普通に演じるものでした。舞台装置は完全に古典的というか写実的なもので、第1幕の地上と地下に分かれたセットは美しい仕上げですが、ゼッフィレッリの古典的装置の呪縛からは逃れることができなかったような気がします。ということであまり新演出という感じはしないのですが、物語には素直にのめりこめるものです。第3幕のサンタンジェロ城の屋上の上方に何か雲のような造形物がかかっているのですが(上の写真)、私の座ったAmphithetreの席からは何かよくわかりませんでした。この辺りは演出家の意図があるはずです。

歌手
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アンジェラ・ゲオルギューは前回「La Rondine」で見て以来1年半ぶりですが、かなり痩せたような気がします。そのせいか、相変わらず美しいのですがちょっと鋭い顔つきの印象です。最初に舞台に登場して第一声を聴いたときはあれっ?と思うぐらい声量が小さいと感じましたが進行と共に正常に戻りました。声自体は全レンジ昔通りの美しさで心地よい。声による感情表現も上手いし立ち居振る舞いもスマート。出てくれてよかった。カーテンコールでの歓声はやはり一番大きい。

カヴァラドッシを歌ったジョルダーノ、私は初めて聴く人ですが、テノールにしては長身で容姿もよく、舞台栄えします。声もなかなか魅力的で、これだとアルヴァレスの代わりでもいいかと思ったとたん耳障りな声を出す場面があってがっかり。声を張り上げて歌うところはいいけど声量を下げたり音程を下げたりするとその欠点が出るように思います。第3幕のトスカとの最後の二重唱も彼の声が耳障りで全くだめ。「星は輝き・・・」のアリアは比較的上手く歌えた方だと思いますが拍手一つなし。カーテンコールでもブーこそ出なかったものの声はかけてもらえず拍手のみでした。

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スカルピアを歌ったターフェルも1年2ヶ月ぶりですがやはりちょっと痩せていました。歌は上手かったしスカルピアの迫力もさすがによく出ていました。この人はどちらかといえば悪役の方がいい味が出るような気がします。カーテンコールは盛大なブラヴォー。

指揮
すばらしいの一言です。パッパーノは思いっきり叙情的に演奏しましたがプッチーニの美しさが余すところなく表現されただけではなく劇的な部分も内面から出てくるようなエネルギーを感じました。今日はオケもほとんどミスがなくほぼ完璧な演奏でした。オケに対するブラヴォーも大きかった。
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来週もう一度行きますが、アルヴァレスが復帰していて欲しい。カヴァラドッシさえまともになれば今回のプロダクションはかなりのレヴェルになるでしょう。
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by dognorah | 2006-06-18 01:23 | オペラ
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