オペラ「青髭公の城」と「Erwartung」

5月30日、ロイヤルオペラにて。

(1)A Kekszakállú herceg vára (Duke Bluebeard’s Castle)
Music: Béla Bartók
Libretto: Béla Bartók after a fairy-tale by Charles Perrault
Duke Bluebeard: Albert Dohmen
Judit: Petra Lang

(2)Erwartung (Expectation)
Music: Arnold Shönberg
Libretto: Marie Pappenheim
The Woman: Angela Denoke

Conductor: Kirill Petrenko
Director: Willy Decker (revised by Gregor Lütje)
Designs: John Macfarlane
Lighting: David Finn

どちらのオペラも短い(青髭公60分、エルヴァルトゥング30分)1幕物で、初めて観たのですが、管弦楽も歌手も舞台もすばらしくとても楽しめました。特筆すべきはまず、キリル・ペトレンコの指揮でしょうか。なんと芳醇なバルトークでありシェーンベルクであったことでしょう。

c0057725_19563965.jpg最初に上演された「青髭公の城」で青髭公を演じたアルベルト・ドーメンは1956年ドイツ生まれのバス・バリトンで今回初めて聴くのですが、最初の発声から魅了されました。歌も演技もとても上手いと思います。Juditを演じたペトラ・ラングは過去に「トリスタンとイゾルデ」のブランゲーネなど数回経験していますが、歌は今回が一番よかったと思います。青髭公とのバランスもよかった。
演出と舞台装置もなかなかの出来で、プレミエの2002年にはオリヴィエ賞にノミネートされたらしいですが、光とのコンビネーションがとても印象的で、舞台と音楽がぴったり同期してわくわくさせます。完全に舞台にのめりこまされた感じです。

c0057725_19573451.jpg次の「エルヴァルトゥング」は、歌唱はソプラノの独演です。ほぼ30分間歌いっぱなしなので歌手にとってかなり大変だと思いますが、アンゲラ・デノーケ(左の写真)は相変わらずの美声で声量もあり全く破綻もなく歌いきります。ウイグモアホールで彼女のリサイタルを聴いたときにこのロイヤルオペラデビューへの期待感を述べましたが、やっぱりいい歌手です。
舞台は大部分が「青髭公の城」と共通で、森とか家とかは全く関係ない手抜きともいえるもので、ちょっと不満ですが30分という短いものにあまりお金はかけられないのでしょうか。もっぱら観客の想像力任せになります。まあ、もともとそういう内容のオペラでもありますが。舞台を見ていて、ふとサミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」を思い出しました。ベケットは1906年生まれで、この戯曲はずっと後の時代に書かれているので、あるいはベケットもこのオペラを見たのかもしれません(オペラの初演は1924年)。

「青髭公の城」が1911年の作曲、「エルヴァルトゥング」が1909年の作曲ですから共に時代の同じ風の影響を受けているはずで、舞台の筋としてはどうにでも解釈できる謎的なものが支配しています。絵画で言えばシュールリアリズムと相通ずるところがあるような気がします。

劇場では先日コンサートを聴いたばかりのメゾソプラノ歌手、榎本明子さんにばったり会いました。彼女も青髭公を歌ったドーメンを高く評価していました。
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by dognorah | 2006-05-31 20:05 | オペラ
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