サラステ指揮BBC交響楽団

5月12日バービカンホールにて。

指揮:Jukka-Pekka Saraste
ソプラノ:Anu KomsiとPiia Komsi
演奏:BBC Symphony Orchestra

プログラム
Esa-Pekka Salonen:Wing on Wing (UK premiere)
Shostakovich:Symphony No.8(1943)

サラステという指揮者は特に華々しい経歴はない地味な存在ですが、先日聴いたフィルハーモニア管弦楽団とのすばらしいシベリウスの記憶も鮮明です。今年50歳の実力派で現在はオスロフィルの常任です。

若い頃一緒だった同門の指揮者にサローネン(48歳)がいます。そのサローネンは作曲家でもありますが、今日の1曲目はそのサローネンの2004年の作品。ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールからの委嘱作品で、その杮落としにサローネン自身によって初演され、今日の二人のソプラノはそのときのキャストと同じでフィンランドの姉妹です。写真のように、全く同じデザインのドレスを着ていました。
管弦楽は大編成で、各種打楽器など舞台いっぱい。第1ヴァイオリンとチェロの手前に一人ずつコントラファゴット奏者(大活躍)が座ります。二人のソプラノは最初、舞台の両端で歌い、次いで2階席の両端に移動、最後は指揮者の両脇で歌うという忙しさ。これに加えてスピーカーも使われ、アナウンス(英語)と各種ノイズがそこから出てきます。
音は特に不協和音も無く、鋭い現代的な音でもありませんがあまり馴染のない奇妙なメロディで始まります。ソプラノ二人は歌詞を歌うのではなく叫び声のような高音を出すだけです。途中起伏がありますが最後はお祭り騒ぎのような賑やかさ。特に感嘆すべき音楽というわけではありませんが、退屈せずに集中できる面白い作品です。25分程度の長さですが演奏は長大なショスタコーヴィッチより大変かも。
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演奏終了後、サラステはきょろきょろと会場を見渡していましたが、サローネンはすっぽかしたらしく、UKプレミエを指揮してくれた僚友の顔をつぶしてしまいました。二人並んだ姿を写真に収めることが出来なくて私も残念。

2曲目のショスタコーヴィッチ8番は実演を聴くのは多分初めてです。
導入部はショスタコーヴィッチの他の一桁台交響曲でもよく聴く郷愁を誘うようなメロディです。緊張の糸がピンと張ったやや悲劇的な雰囲気が感じられます。全部で5楽章の構成ながら、第1楽章だけで25分ぐらいかかります。全編を通して悲劇的で暗い雰囲気が持続するのはやはり戦争を念頭に置いた作品だからでしょう。第3楽章など戦争シーンの描写を思わせる激しい音が使われています。第1楽章から第3楽章まではダイナミックな音の競演という趣ですが第4、第5楽章は内に籠った悲しさを感じさせる音楽になっていて、最後は静かに終わります。
サラステの指揮は全曲を通してとても聴き応えがあるし、まとまりもあるものになっています。
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by dognorah | 2006-05-13 21:13 | コンサート
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