シラノ・ド・ベルジュラック (Cyrano de Bergerac)

5月11日ロイヤルオペラハウスにて。

Music: Franco Alfano (1875-1954)
Libretto: Henri Cain after Edmond Rostand(フランス語)
Conductor: Mark Elder
Director: Francesca Zambello
Sets: Peter J. Davison
Costumes: Anita Yovich
Lighting: Natasha Katz

Cyrano de Bergerac: Plácido Domingoc0057725_2224238.jpg
Roxane: Sondra Radvanovsky
De Guiche: Roman Trelel
Carbon: Clive Bayley
Christian: Raymond Very
Le Bert Iain Paterson
Ragueneau: Carmelo Corrado Caruso
Lignière: Jeremy White
Montfleury: Daniel André Pageon
Vicomte de Valvert: Mark Stone
The Duenna: Frances McCaffery
Cook: Nigel Cliffe
Lisa: Sarah Pring
Musketeer: John Bernays
First Sentinel: Neil Gillespie
Second Sentinel: John Heath
Spanish Officer: Mark Stone
Sister: Ana James
Mother Superior: Elizabeth Sikora

このオペラについて
フランコ・アルファーノというあまりポピュラーではない作曲家が1936年に作曲したオペラは今回がロイヤルオペラの歴史上初めての公演であるが、METとの共同制作とドミンゴが主演するという事情で実現したのである。上のキャストで示したように登場人物が多く、そのほかに合唱と俳優とダンサーにかなりの人数を要して上演しにくいオペラではある。フランス語圏では時々公演されているらしく、ロベルト・アラーニャの主演しているDVDなどが出ている。

そのMETの公演は丁度1年前の2005年5月に初演され、今年1月に再演された。今回のロンドン公演も含めて主要キャストもほぼ同じという。
ドミンゴは昨年5月の初演では予定通り出演したが、この前の記事で述べたように今年1月のMET公演では気管支炎を患い、全てキャンセルし、代わりにAntonio Barasordaというアンダースタディが歌ったそうである。幸いなことにコヴェントガーデンではリハーサル時から今回にいたるまでの3回は全て出演した。
そして、公演はアルファーノの平凡な音楽にも拘らず、すばらしい出来と言わざるをえない。歌手と舞台装置を含む演出がすばらしかったのだ。
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演出と舞台
演出は恐らく原作に忠実な筋運びで登場人物の性格付けも納得のいくもの、舞台はMET好みの豪壮で美しいもの。全4幕5場でそれぞれが大掛かりな異なる舞台装置というのも贅沢なものだ。共同で費用負担しないととてもやっていられないだろう。衣装も17世紀のものを再現したもので典型的なクラシック舞台となっている。台詞が多くて字幕を読むのも忙しいオペラだが舞台の美しさが救ってくれる。特に最終幕は絵になるような美しい舞台だ。

歌手
c0057725_2205875.jpgドミンゴは往年の迫力ある声量はないものの(特に第1幕)、美声と歌唱のうまさは健在で、この状態でも並みのテノールなど寄せ付けない。第2幕以降は安心して彼の歌唱に浸れた。そしてロクサーヌ役を演じたアメリカ人ソンドラ・ラドヴァノフスキーが掘り出し物的なすばらしいソプラノで、ドミンゴとの2重唱(左の写真)を類まれな高貴な状態にしている。第4幕最後のシラノの死の直前など涙が出そうなくらい感動させてくれた。これでロンドンでもこの人の実力は広く知れ渡ることになろう。早速来年公演される予定のヴェルディのStifferioでLina役をやることになっていると聞く。
他の歌手も全て好調で文句なし。マーク・エルダーの指揮をもってしても管弦楽のつまらなさはどうしょうもないが、歌手は歌いやすかったのであろう。
来週もう一度これを見るがとても楽しみだ。

あらすじ
ガスコーニュ地方の連隊に所属するシラノは剣の名人で大きな顔をして自由奔放に振舞う兵士。詩を愛する文化人でもある。いとこのロクサーヌのことが好きだが自分の醜い鼻を気にして愛の告白が出来ないでいる。そのロクサーヌから、実はクリスチャンという好きな人があなたと同じ連隊にいるので彼にラブレターを書くように言ってくれと頼まれる。自分の心を抑えて彼はクリスチャンに伝えるが、全く詩心のないクリスチャンがレターなんか書けないというので代筆してやる。彼女のバルコニーの下でクリスチャンに成り代わってレターの朗読までしてやり、彼らを結ばせる。
スペインとの戦争で忙しいときもからはせっせとクリスチャンの代わりにレターを書いてやる。クリスチャンは戦死するが、遺体のポケットにあった最後の手紙を形見としてロクサーヌは修道院に入る。15年後、不正を暴くので権力側から敵視されていたシラノは暗殺者に刺され、瀕死の状態で最後の力を振り絞ってロクサーヌに会いに来る。彼女が形見として持っている手紙を読ませてほしいと頼み、その手紙を空で朗読する彼を見て彼女は全ての真実を悟るも、シラノは死んでしまう。
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by dognorah | 2006-05-12 22:06 | オペラ
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