4月29日バービカンホールにて。満席でキャンセル待ちが出るほどでした。
曲目 ベートーヴェン:交響曲第1番 ベートーヴェン:交響曲第9番 指揮:ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink) ソプラノ:トワイラ・ロビンソン(Twyla Robinson) メゾソプラノ:カレン・カーギル(Karen Cargill) テノール:ジョン・マック・マスター(John Mac Master) バリトン:ジェラルド・フィンリー(Gerald Finley) 合唱:London Symphony Chorus 昨年から続いていたハイティンクのベートーヴェンサイクルはこれが最後のプログラムです。先日の演奏会で第4番について述べた感想がそのまま第1番にも適用できます。面白おかしく演奏できる曲でもないので、妥当なところでしょう。 第9番は全体にやや速めのテンポで、第1楽章と第2楽章は畳み掛けるような激しい演奏でした。だからといってそれが感動的かどうかは別の話ですが。第3楽章は特に思い入れもなくあっさりと流す感じで、起伏がなくやや退屈。第4楽章は3つのテーマを否定したり新しいテーマを提示する低弦が惚れ惚れする美しい演奏で導入部を引き締めます。そのあとの管弦楽も第1楽章と同様にダイナミックな演奏。 ジェラルド・フィンリーのバリトン導入部はすばらしい歌唱でした。当初歌手をチェックせずに会場に座ったらそれが平土間で、オケが邪魔して後方に位置された4人の独唱者が見えず、誰が歌っているのかわからなかったのですが、さすがにフィンリーだと後で思いました。これに比べるとテノールはかなりがっかりで、やはり世の中いいテノールは少ないんですね。ソプラノもよかったが、メゾはまあまあというところ。合唱はいつもの通り言うことなしの出来で、この曲を聴きに来る目的は成就されました。 全般的にはハイティンクは絶好調とは言いがたく、終了後の疲れようを見ると体調的にもベストではなかったことが響いているかもしれません。1929年生まれですからあまり無理が利く年齢ではないので体調管理には気をつけていただきたいものです。 翌日も同じプログラムが演奏されますが、それ以降ハイティンクはロンドンでは2007年前半までLSOを指揮することはなく、当分お目にかかれません。
by dognorah
| 2006-04-30 21:02
| コンサート
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Comments(13)
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助六
at 2006-05-01 09:14
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ハイティンクは際立った技術も派手さもない人だから、ダメなときは何となく終わっちゃうけれど、うまく行ったときは素晴らしいですね。ヴィーン・フィルとのマーラー9番は珍しくヴィーンの楽員が拍手送るほどの高密度の名演でしたし、仏国立管との「ペレアス」は終始インスピレーションに満ちた美しさ、パリ管との「火の鳥」もトゲトゲしたところの全くないポエジー溢れる指揮がユニークでした。逆に期待してたヴィーンとのブルックナー8番はまるでダメでしたが。9月のパリでのLSOとのベートーヴェン、益々楽しみになってきました。
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助六
at 2006-05-01 09:21
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書き忘れましたが、ページ・トップのいかにもイギリスっぽい美しい田園風景はどの辺りのものですか?
グラインドボーン周辺もこんな感じでしょうか。
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dognorah at 2006-05-01 19:17
ハイティンクは全くその通りですね。私も、ブルックナーの7番はいまいち感心しなかったけれど、その数週間後に聴いたマーラーの1番は稀代の名演だった経験があります。しかし助六さんはマーラーの9番ではいろいろな名演に会われているんですね。
ページトップの写真はexciteのスキンから選んだものでどこの風景という解説はないのでわかりません。確かにイングランドらしい景色ではあります。グラインドボーン周辺といわれればそうですといってもあまり違和感はありません。あの周辺も緩やかな起伏があったり、平らな牧草地や麦畑があったりという風景ですから。
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Sardanapalus
at 2006-05-01 21:54
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>ジェラルド・フィンリーのバリトン導入部はすばらしい歌唱
この公演で唯一注目だったフィンリー(笑)予想は出来ても、やっぱり生で聞いてみたいですね。あ~ロンドンに戻りたい…。
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dognorah at 2006-05-02 01:41
Sardanapalusさん、私は今度はキーンリーサイドでこの曲を聴いてみたいです(笑) さぞかし迫力があるだろうなー。
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湯葉
at 2006-05-02 07:13
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私も29日に行きました。 ハイティンクはつい最近までロイヤルオペラの音楽監督だったこともあるのでしょうか、イギリスで人気ありますよね。 私もハイティンクの重厚なリングやマイスタジンガー大好きでした。 ハイティンク、第九の組合せの期待を裏切られることなく感動してきました。
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dognorah at 2006-05-02 07:30
湯葉さんとはまたニアミスだったのですね(笑) そうですね、彼はロンドンでは馴染の顔ですから人気はあると思います。ひょっとしたらアムステルダムより頻繁に演奏しているのじゃないでしょうか。
私は彼のワーグナーはトリスタンとイゾルデしか聴いていないのが悔しいです。
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supikametti
at 2006-05-02 07:57
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こんにちは。私は30日のほうにいってきました。
一番は、管楽器が体力をかなりセーブした感のある演奏でしたが、第九の原点であることをうかがわせ、観客の、第九へのさらなる期待をたかめる、抑制のきいたすてきな演奏でした。 第九は、ハイティンクのスケールの大きさが、存分に、とはいえませんがよくでていて、ホールに音が閉じ込められているのが不自然に感じられるくらいでしたよ。 きのうは低弦がじつにゴージャスでした。
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dognorah at 2006-05-02 09:32
supikamettiさん、こんにちは。バービカンはよくいかれるのでしょうか?結構皆さん行かれていたのですね。こうしてロンドン在住の音楽ファンがここに集まってくださるのはうれしいことです。これからもよろしくお願いします。
>第九の原点・・・ 確かにそういった見方もできますね。そのような聴き方をすることは気がつきませんでした。
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asako tamura
at 2006-05-02 21:29
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Dognorahさま;
はじめまして。いつぞやはわたしのBogにコメントを残していただいておりましたのに、すっかりコメント返しが遅くなり申し訳ありませんでした。 今回初めてこちらに寄せていただきましたが、 充実した内容にすっかり感心させられました。 音楽を楽しまれて心から愛されている様子に、こちらまで嬉しくなってしまいました。ところで、先日書いていらしたLisaGasdeenさんは、知り合いなのですよ。何年かまえに、CardiffSingerOftheWorldと言うコンクールをきっかけにお会いしました。このコンクール、UKではとても有名ですので、ひょっとしてご存知でしょうか?
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Sardanapalus
at 2006-05-02 22:07
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dognorahさん>
>今度はキーンリーサイド 私も聴きたいですよ~!私好みの怒涛のような導入部になりそうなので、もし歌うことになったらそれこそオッカケします(笑)CDで良いから出さないかなぁ。
おや、こんなところに田村麻子さんが。
Cardiff Singers of the Worldに出ていらしたことは覚えています。かのジョーン・サザーランドさんにマスタークラスを受けていらっしゃる様子もテレビで拝見しました。 実はそのすぐ後で、私の友人が麻子さんのお母様と知り合いだということがわかり、それ以来親しみを感じてウォッチさせて頂いてます。
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dognorah at 2006-05-05 06:28
田村さん、こちらに来ていただいてありがとうございます。ちょっと旅行をしておりましたので、今度は私のほうがコメント返しが遅くなってしまいました。
カーディフのコンクールは有名ですので、存じております。リサ・ガスティーンさんがそこに出ていたことも経歴を読んで知っていましたが、そのときに田村さんも出ていらしたことは知りませんでした。アメリカでご活躍中ですが、イギリスでも舞台に立たれることがあればいいなぁとお持っております。そういうことになればロンドンの椿姫さん、一緒に駆けつけましょうね。
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