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ガーディナーのモーツァルト(2月9日)

John Eliot Gardinerが手兵のEnglish Baroque SoloistsとMonteverdi Choirを指揮してオールモーツァルトプログラムの演奏会を催したので聴いてきました。会場はカドガンホール(Cadogan Hall)です。

曲目
交響曲第39番 変ホ長調 K.543
交響曲第41番 ハ長調 ジュピター K.551
ミサ曲 ハ短調 K.427

ガーディナーを聴くのは久しぶりです。今まで大ホールでしか見たことが無かったのであまり感じませんでしたが、近くで見ると背の高さが目立ちました。恐らく190cm以上はあるでしょう。
ベートーベンの交響曲第9番をCDで聴いたときは速いテンポにあきれたことがあるのでモーツァルトも早いのかなと思ったら案に相違してゆったりしたきわめてオーソドックスなテンポでした。第39番はモーツァルトの美しい旋律をたっぷり響かせながらも終始緊張の糸が一本ぴんと張りつめている感じで極めて格調が高く、名演といえるものだったと思います。第41番も同様に構成感がしっかりしたもので、速めのテンポに設定した終楽章を劇的に終わり、興奮を掻き立てます。欲を言えば、第1楽章でもう少し溌剌とした躍動感がほしかったところですが、それにしても立派な演奏でした。

そして、休憩後のミサ曲、モンテヴェルディ合唱団の実力を見せ付けてくれます。このオーケストラと同程度の高々40人位の合唱団ですがヴォリューム的にもアンサンブル的にもすごいものがあります。4人の独唱者は必要なときに合唱団の中からメンバーが一段前に進んで勤めるのですが、これがまたうまいのです。ガーディナーはとてもきめの細かいことに、曲の場面に応じて男女の各パートを右や左に移動させてバランスを変化させます。時には器楽奏者まで動かして独唱者のそばに伴奏のフルートが鳴るようにしたりします。お陰で各パートの切れ目で舞台上はとても忙しいものになりますが、演奏は天国的ともいえる美しさと深みのあるもので、それが心の奥に滲み込み、これはマジ感動しました。恐るべし、ガーディナー。コンサート直前に切符を買ったので高い席しか残っていませんでしたが、Money for valueと実感しました。写真は終演後の演奏者たちです。
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今夜はこれに加えて余興もあります。このコンサートがずっと前に発表されたときはミサ曲を最初に演奏する予定だったのですが、上記のように順番が変更されました。理由は、2曲の交響曲の演奏を終了後直ちにCD化し、コンサート終了後に会場で販売するためです。休憩時間とミサ曲を演奏している間に簡単な編集とCDに焼く作業を必死でこなしていたわけです。こういう変わった企画に弱い私はもちろんCDを買いました。家に帰ってプレイバックしてみましたが、まあ満足できる音です。39番の方が音はよく、通常の念を入れて作ったCDとほぼ同様の出来です。41番は低音にバランスが移っている感じです。恐らく平行作業のため、39番とは別の人が編集したのではないかと思われます。途中、聴衆の誰かがプログラムをバサっと床に落としたのですが、ちゃんとその音も収録されていましたので、ほんとのライブ録音であることは間違いありません。限定3000枚を販売するようですが、今後SDGというレーベルで同様の企画を実現していくそうです。今回は初めてだったので、収益金はチャリティに寄付されるそうです。下の写真は今回購入したCDとジャケットです。
ガーディナーのモーツァルト(2月9日)_c0057725_2015398.jpg

ロンドンに住んでいながら、こういう情報を知ったのは おかか1968 の記事でした。読んであわてて切符を手配したわけですが、間に合ってよかった。坂本君さん、ありがとうございました。
by dognorah | 2006-02-10 20:03 | コンサート | Comments(6)
Commented by 「坂本くん」 at 2006-02-10 20:55 x
こん○○は。
早速upされましたね。
「第39番」と「第41番」で音のバランスが違う、というのは興味深いですね。ともあれ今回の試みが続くといいですね。
Commented by dognorah at 2006-02-11 08:34
ジュピターは低音が強調されすぎていましたが、ミキシング担当者の好みが反映されているのでしょう。トーンコントロールで簡単に調整できる範囲なので再生上は特に問題ないです。時間が無い故に最終責任者のチェックが甘かったのかなと思っています。何はともあれ面白い試みでした。ついでに出来のよかったミサ曲ももう一枚追加してほしかったです。
Commented by ja8cte at 2006-02-12 01:20
CDの件、とても面白い企画ですね。K427(K417a)ですが、数日前のN響コンサート放映で流れました。ブロムシュテットさんが同じように合唱団メンバーの配置を頻繁に変えていました。2/3の公演らしいのですが、とても珍しく思いました。さて、1991年バルセロナでのガーディナーハ短調ミサの記事をTBさせていただきます。
Commented by dognorah at 2006-02-12 04:34
合唱団メンバーの配置を変えるのは特にガーディナーの特許でもないんですね。実演は初めてだったので知りませんでした。
バルセロナの公演では変えてませんでしたか?さすがに15年前だと若いですね、彼は。
Commented by ???? at 2006-02-23 16:30 x
ついこの間、N響の定期演奏会でブロムシュテットの指揮でモーツァルトのミサ曲を聴きました。(女声合唱が素晴らしい曲でした。)
Commented by dognorah at 2006-02-24 02:35
ブロムシュテットも面白そうですね。N響はいろいろな指揮者が客演していますが、今は誰が一番人気なのでしょう?
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