ヴェルディの椿姫(La Traviata)

ロイヤルオペラのドレスリハーサルに行ってきました。
これは通常本番初日直前に行われます。今シーズンの椿姫の初日は16日(月)なので今日(13日)がリハーサルだったわけです。衣装と舞台装置は本番と同じですがオケは普段着のままです。いい席は全部関係者と報道陣に配布され、残りがROHのFriendsに抽選で販売されます。価格は£10ですが、席の選択の自由はなくお任せになります。毎回申し込んでいますが、年間に2回ぐらいしか当りません。

下の写真は上から見たストール席の前半分ですが、このようにカメラマンが我が物顔です。
c0057725_464786.jpg
開演時にはもう少し報道陣の数が増えて三脚に固定された大きな望遠レンズ付スティルカメラが約10台あり、手に持って撮る人もかなり居ましたが席はがらがらの状態であることは変わりません。演奏中でも遠慮なくシャッター音を響かせています。こうして撮られた写真が、ROHの出版物はもちろんWebや音楽雑誌などにも掲載されるのです。
さらに、指揮者のすぐ後ろでは数人のスタッフがピットで使う照明付の楽譜立てを使って、上演中ずっとスコアを追っています。時々ひそひそと打ち合わせをしたりもしています。さらに、ストールのすぐ上の席も一般客は入れず、正面に大きな机を持ち込んでスコア、パソコン、ヘッドフォン、マイクなどが置かれていて、演奏中も誰かに指示を出しているようです。座っているのはたぶんディレクター達でしょう。

さて今回の出演者は次の通りです。
ヴィオレッタ:Ana Maria Martinez
アルフレード:Charles Castronovo
ジョルジオ:Željko Lučič
フローラ:Liora Grodnikaite
ドビニー侯爵:Robert Gleadow
ドゥフォール男爵:Eddie Wade
アンニーナ:Elizabeth Sikora
指揮:Philippe Auguin
演出:Richard Eyre

c0057725_4243511.jpg歌手の出来ですが、タイトルロールのアナ・マリア・マルティネスはすばらしい。声はネトレプコに通じる柔らかい響きで高音まで難なく出ています。声量もたっぷりでとても気持ちがいい。体もまだスマートな方でしょう。過去にROHに出演したことはあるようですが私は初めて聴く人です。例のドミンゴ国際声楽コンクールに1995年に出場し、3位までに入賞は出来なかったものの何かの賞はもらっています。プエルトリコ出身で、教育はジュリアードで受けています。年齢は恐らく30代後半というところでしょう。

c0057725_4252418.jpgこれに対して、アルフレードのカストロノーヴォはいけません。まず声量がない。声の質はテノールとしての華やかさがないので私の好みではありません。ヴィオレッタとの二重唱では完全に負けています。歌はうまいしちょっと小柄ながらスマートで整った顔立ちなのに惜しいことです。ザルツブルグの椿姫で歌ったヴィヤゾンは、歌唱はすばらしいのに顔がいまいちですが、なかなか両方揃った人は居ませんね。
それはともかくとして、カストロノーヴォはアメリカ生まれ、ロサンジェルスオペラからスタートした人で、各地のオペラ劇場に出演しているし、2004年にROHのコシ・ファン・トゥッテでFerrando役をやったときはそこそこの出来でしたので、ちょっと調子が悪かったのかもしれません。あるいはモーツアルトは合っているけれどヴェルディのこの役は無理があるのか。

ジョルジオ役のリュチッチ(とでも読むのでしょうか)は初めて聴く人ですが、とてもいいジョルジオでした。声に貫禄があり、お父さん役にはぴったり。最初の登場場面でヴィオレッタとしゃべるところでは緊張のためかやや声が硬く、あまり感銘を受けなかったのですが、2度目に出てきてアルフレードと会うところではリラックスして本領を発揮しました。初出演だし、やはり緊張するんですね。

あと、お馴染のROH Young Artistのグロドゥニカイテとグリードウは、今回はとても見栄えのする衣装を着せてもらって結構歌う場面があり、存在感をアピールしていたのはうれしい限りです。

指揮のオーギンはフランス人でカラヤンの下で働いたことがあるそうですが、2002年にROHでボエームを振ったのを聴いたことがあります。前回のことはあまり覚えていませんが、今回は、歯切れのよい演奏でヴェルディらしい音楽をきっちり提示してくれました。オケの音もなかなかよかった。

舞台は、ゲオルギューがブレークした1994年のプレミエ以来変わっていないもので、アールデコを思わせるクラシックで豪華な舞台装置です。私はこれを見るのは2回目ですが、前回と同じく今回も第2幕第2場のフローラ邸のラウンジが出現したときは拍手が起こりました。確かに機能性でも華麗さでもよく出来ています。まだまだ使い続けてほしい舞台です。
[PR]
by dognorah | 2006-01-14 04:10 | オペラ
<< テノールリサイタル(1月16日) DVD視聴記「マーラー交響曲第2番」 >>