Claudio Abbado: Lucerne Festival Orchestra
Soprano: Eteri Gvazava Contralto:Anna Larsson Chorus:Orfeón Donostiarra 2003年に収録したもの。このオケはベルリンフィルなどあちこちの団体のトップ奏者を集めて編成されているそうで、確かに見たことのある人たちがたくさんいる。寄せ集めにしてはしっかりしたアンサンブルで、一流の音色とともに心地よい演奏だ。独唱陣と合唱も声、歌唱ともにすばらしい。要するに演奏者は理想的なくらいレベルの高い人たちが集められているように思える。弦楽器配置は、第1、第2ヴァイオリンが左側、右手前がヴィオラ、その後ろ中央寄りにチェロ、さらにその後ろの右壁際にコントラバスというちょっと変わったもの。 アバドは指揮振りを見る限り快調そのもので、やや速めのテンポでダイナミックにぐいぐいとドライブをかける現代人好みの表現だが、間はしっかりと取り、心にずしっと来る力強さを感じる。しかも叙情的な部分はうっとりする美しさ。エネルギーが凝縮した密度の高い演奏だ。コントラルトのアナ・ラーソン(左の写真向かって右)は声もいいが滋味溢れる歌唱が心を打つ。 以前、キャプラン指揮の実演を聴いたときのことを記事にし、コメント欄に手持ちのCDがいくつかあることを述べたが、長い曲ゆえなかなか比較することもままならずそのままになっている。今回はその中でテンシュテット指揮ロンドンフィルのものを聴いて、このDVDのアバドと比較してみた。 テンシュテットはアバドとは対照的な演奏で、ゆったり目のテンポで巨人の歩みのように始まるが、そのテンポは速いところはすごく速くて緩急の差が激しい。全体としては朴訥と言える独特の雰囲気もあって味わい深い演奏である。あまり主張は強くなくやや強引さがあるアバドとは違うが、これはこれで名演と思う。演奏時間は、スコアが違うかもしれないので一概に比較は出来ないが、アバドが81分そこそこに対してテンシュテットは88分とかなり長い。
by dognorah
| 2006-01-12 06:53
| DVD
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Comments(6)
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Sardanapalus
at 2006-01-12 09:05
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アバドは、手術してから一気に痩せて倒れそうな雰囲気にドキドキした時期がありましたけど、何というか死線を越えて戻ってきた凄みが加わったような気がします(^_^;)お目当ててCDを買うほどのファンではないですが、テレビやラジオで聞く機会がある度についついチャンネルを合わせてしまう指揮者ですね。このDVDも演奏レベルが高そうですので、マーラーの2番を聞くときには参考にさせていただきます。
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来週の土曜日に、読響のマーラー「2番」を、サントリーホールに聴きに行きます♪ ルツェルン音楽祭のDVDって、若手とベテランさんが混在していて、面白いですよね^^。TBさせていただきました。
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dognorah at 2006-01-12 20:36
アバドは久しぶりに見たときあまりのやせように別人かと思ったことがあります。昔はムーティとあまり違わない体格でしたから。その当時ウイーンフィルでマーラーの1番のすごい演奏を聴いたのですが、いまとなっては指揮者がどっちだったかわからなくなってしまいましたよ(笑)。このDVDでは顔の血色がよくて精気が漲っており、始まる前から名演になりそうな予感を与えてくれます。
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dognorah at 2006-01-12 20:43
おさかな♪さん、ずいぶん前に記事にされていたんですね。失礼しました。おさかな♪さんの記事は過去も含めて全部読んでいるはずなんですが、やっぱり忘れているんですね。オーケストラに関する詳しい情報はとても参考になります。最初にあれを編成したのは第2次大戦前のトスカニーニだったそうですね。
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carlabley at 2006-02-18 14:37
はじめまして、今更ですがトラックバックさせていただきます。
改めてアバド再評価の今日この頃です。
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dognorah at 2006-02-18 21:28
carlableyさん、はじめまして。TBありがとうございます。私の方からもTBさせていただきますね。アバードは一定上の水準が期待できて、いつも安心して聴けます。DVDでは他にマーラーの9番を持っています。2004年にシチリアでやった演奏会の録画です。若い人のオケを振ったものですがなかなかすばらしい演奏です。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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