ラニクルズ指揮BBC交響楽団演奏会(12月18日)

イギリス人でありながら主な活躍の場がアメリカやヨーロッパのオペラ劇場で、余りロンドンでは指揮をしないラニクルズ(Donald Runnicles)が夏のPROMS以来の登場ということで聴いてきました。

【1曲目】
メシアン作曲「神の現存の三つの小典礼」(1943-4年)
Olivier Messiaen – Trois petites liturgies de la Présence Divine

Piano:Steven Osborne
Ondes martenot:Cynthia Millar
Chorus:BBC Symphony Chorus(女声のみ)

この曲は、メシアンが戦争捕虜から帰還してすぐに発表したもので、構想は捕虜時代にあったとされています。初演は1945年にパリで行われています。自由になった喜びが元気よく表現されている感じがします。ピアノの使い方が印象的で、80%ぐらいは鍵盤の右半分しか使いません。鋭い高音と合唱のハーモニーが面白い。オンド・マルテノという珍しい楽器が使われていますが、第2次大戦前に開発された電子楽器だそうで、舞台写真でピアノの右側に写っている小型の電子ピアノみたいなもので、音は複数のスピーカーから出ます。様々な音が出せるようですが、この曲では風の音、口笛の音、水面に大き目の石を投げ込んだときのような音などが出ていましたがあまり自己主張的ではなく、特にこの楽器を使わねばならなかった必然性は感じられません。オーケストラは弦のパートが6人構成の小型です。
ラニクルズの指揮は無駄のない捌き方で、完璧なコントロール、最初から最後まで息もつかせず緊張感を持続させる説得力あるものでした。
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【2曲目】
デュリュフレ作曲レクイエム、作品9(1947年)
Maurice Duruflé – Requiem, op.9

Mezzo-soprano:Sarah Connolly
Baritone:Christopher Maltman
Chorus:BBC Symphony Chorus

デュリュフレは1902年生まれで、1908年生まれのメシアンとはほぼ同世代ということもあり両者は親交があったようです。デュリュフレの方がやはり伝統的な音楽に近い傾向があったようで、このレクイエムは彼のグレゴリア聖歌好みが反映されているということです。始まって直ぐはフォーレのような感じと思いましたが、演奏が進むにつれて、確かにグレゴリア聖歌的な趣が強くなり心に染み入る曲でした。とはいっても曲は楽器の種類も多いフルオーケストレーションで、曲想はダイナミックにうねり、力強さもたっぷりです。
演奏は、ここでも合唱がすばらしく、ラニクルズの指揮は隅々まで気を配った繊細なもので気品を感じさせます。独唱陣のサラ・コノリーは声量があり陰影に富んだ表現が印象的で感心しました。しかし、この曲、40分以上の演奏時間のうち彼女が歌うのはほんの数分なのです。後はずっと座っているだけというもったいなさ。バリトンのマルトマンは昨年ROHで見たコシ・ファン・トゥッテにグリエルモ役で好演した人で、今日も朗々としっかりした歌唱を聞かせてくれました。これも2回歌ったもののトータルでは数分でした。
写真は終演後の出演者たちです。
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今日は意図的に同世代のフランスの作曲家二人を選んで時節にふさわしい曲を演奏したものと思われますが、あまりポピュラーとはいえない作品で初めて聴いたにもかかわらずとても楽しめました。得にメシアンの作曲家としての力量に再び感心させられた夜でした。また、ラニクルズは一度オペラで聴きたいと思いましたが、今のところROHの予定はないようです。

今日のコンサートはなぜかバービカンの1階席のみに聴衆を入れての演奏でした。なぜかはよくわかりませんが。このホールはストールと呼ばれる1階席、サークルと呼ばれる2階席、およびバルコニーと呼ばれる3階席で構成されています。ストール席だけだと1200人ぐらいでしょうか。人数を絞りたかったのか、あるいは地味な曲であまり観客数が期待できなかったのか。
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by dognorah | 2005-12-19 23:56 | コンサート
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