エルガーのオラトリオ「ゲロンティウスの夢」(12月13日)

バービカンホールで行われた公演です。

Edward Elgar作曲:TheDream of Gerontius
メゾソプラノ:Anne Sofie von Otter
テノール:David Rendall(Ben Heppnerの代役)
バス:Alastair Miles
合唱:London Symphony Chorus
指揮:Colin Davis
管弦楽:London Symphony Orchestra

ベン・ヘップナーが出演するのをとても楽しみにしていたのに、残念ながら病欠されてしまいました。代役のレンドールがよかったので演奏に不満はありませんが、なぜかヘップナーの歌がまだ聴けずにいます。縁が無いのか。昔東京で聴いたアルゲリッチがとてもよかったのでロンドンでもと思ってリサイタルの度に切符を買っていたのに3回もキャンセルを食らったことを思い出し、ちょっといやな気分です。

この曲は今年の夏のPROMSでマーク・エルダー指揮ハレ管弦楽団の演奏があり、私はTVで見て興味を持ちました。それまでは全然知らない曲だったのです。
今日の演奏はすばらしいもので、感動的です。

レンドールも初めて聴く人ですが、いい声をしています。声量もあり劇的な表現もうまい。世界中のオペラハウスで活躍している理由がよくわかります。ちなみにRoyal Academy of Music出身のイギリス人です。

フォン・オッターは言わずもがなのうまさですが、前半は声量がやや物足りない感じだったのが、後半になってボリュームが上がりました。紫っぽい紺のビロードのドレスがよくお似合いです。

バスのマイルズは、9月にロイヤルオペラのコンサート形式によるドニゼッティの「ドン・セバスティアン」で大審問官をやった人で、そのときと同様迫力ある歌唱で低音部を引き締めています。
ということで、独唱陣はなかなかの粒ぞろいです。

しかし、今日の一番の立役者は合唱隊だったかもしれません。強弱緩急自由自在に美しいエルガーの曲を表現しつくした感じです。終演後の拍手も合唱に対するものが一番でした。この合唱隊はいつ聴いてもほんとにすばらしい。すごい実力だと思います。

そして、コリン・デイヴィス指揮のロンドン交響楽団も大いに賞賛されるべき完璧な演奏で、全く言うことなし。弦も管もアンサンブルに全く乱れがありません。

エルガーのこの曲、歌詞の内容は宗教的ですが、音楽そのものは全くそういう感じではなく、19世紀の香りたっぷりの叙情的なとても魅力的な音楽です。最初から最後までうっとりと聴かせてもらいました。

写真は挨拶する3人の歌手です。向かって右の太目の人がテノールです。
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今日の入場料はバルコニーの最前列で£4.25(今のレートで約900円)でしたが、UBSというシティーの金融会社がスポンサーになっていて、プログラム(£2.5)が無料、おまけにコリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団によるエルガーの交響曲1番から3番までを収めたCD3枚組みのアルバムもプレゼントされるという大盤振る舞いで、このすばらしい演奏を体験した上におつりまで貰ってしまったという気分のよさでした。この会社は、金持ちの資産を運用するビジネスをやっているようですが、よっぽど儲けているんですね。こういう還元はこの国ではいっぱいあって助かります。今度の大晦日の終夜運転もすべての公共交通は無料になるのですが、そのスポンサーはナショナル・ウエストミンスター銀行です。日本だって今年は大手銀行が未曾有の利益を上げているようですが、芸術やスポーツを通じて一般の市民に対して何か還元しようという動きは無いのでしょうか。
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by dognorah | 2005-12-14 09:59 | コンサート
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